軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第302話

「商業ギルド支部長はいるかのう?」

「はい。今お呼び致します。それとパイク=ラックさん宛に 三毛皇(みけおう) 様よりメッセージが届いております」

「ミーシャ=ニイトラックバーグさんがレンタルされましたマジックバッグも返却されておりましたのでご報告いたします。それと、ミーシャ=ニイトラックバーグさんにも 三毛皇(みけおう) 様よりメッセージが届いております」

俺にも 三毛皇(みけおう) さんから直接手紙が来てしまったよ。後で中身を確認しよう。

「パイク=ラック、ん…?またミーシャ=ニイトラックバーグが何か?」

「支部長、違うのじゃ。今日は儂の孫娘のアッシュ=ラックなんじゃ」

「商業ギルド支部長さん、こんにちは。わたしはアッシュ=ラックです」

「こんにちは。どうかしたのかな?」

「すまぬが防音の魔導具が使える場所に移動したいのじゃよ」

そしていつものあの部屋でオブラートの再現実験が始まった。

「ほう、それでアッシュ=ラックがミーシャ=ニイトラックバーグの作った【プルモッチ】を自宅で真似して作ろうとしたところ水分量を間違え、そこからその食べられる紙が生まれたと」

「そうなんじゃよ。そこに丁度良くミーシャが訪ねてきてのう。ミーシャが失敗作ではなく食べられる紙だから直ぐに登録に行こうと言いだしたんじゃ」

「確かに紙状だな。しかも材料がデンプンと水だ」

「商業ギルド支部長さん、ボクの見立てだとこの食べられる紙で苦い粉薬を包んで飲むとか、ベタベタする飴なんかを包んで手に付きにくくするとか出来ると思うんです。濡れたら溶けるので注意が必要ですが」

「ひみつのお手紙が書けますか?」

「秘密の手紙?」

「ひみつのおはなしを書いて、読んでから食べちゃえば消えるお手紙です」

「魔導具より単純じゃのう」

「何かに利用出来るであろう。アッシュ=ラックで登録しておく。経緯的にミーシャ=ニイトラックバーグのデンプン菓子【プルモッチ】から話が始まる訳だな」

商業ギルド支部長さんが苦笑いしてる気がする。

「それこそ【鉱夫飴】を包めばどうじゃろう? 【鉱夫飴】を食用紙で包み蝋引きの芭蕉紙で包むのじゃよ」

「登録名はどうする?」

「食べられる紙という事で【エッセン紙】はどうでしょう?」

「そのままじゃな」

俺としてはオブラートなんだけど、オブラートだと名前の理由付けが見つからなかったんだよ。

「それはそうと、ミーシャ=ニイトラックバーグの背中にいる そ(・) れ(・) は何かね?」

「これはボクの従魔のグライダー・カーバンクルのアンディーです」

ムキュウ

「これまたレアな魔獣を連れてきたな」

カーバンクルは商業ギルド的には特に関係が深い魔獣ではないので軽くスルーされた。

そして 三毛皇(みけおう) さんからの手紙の内容は、

「ちょっと、わらび餅のみたらしタレってマジですか!?

いやはや、ご馳走様でした。次はきな粉も期待してます。

それよりアレって醤油使ってるよね? 何処でどうやって醤油作ったの!?

あー、直接会って話してみたいや。まぁそっちが嫌なら諦めるけど。

また美味い菓子を宜しくです。 ミケヲ」

というちっとも偉い人からの手紙に見えない内容の物と、

「海鮮一族の長男の風呂の残り湯は存在しない。

越後屋、鰹節が無ければ煮干しを使えばいいじゃない。

by.代官」

と書かれた物との二通。何れも日本語での表記。どうやらこの世界には鰹節が無いらしい。ショック。そして鰹節は無いけど煮干しは存在している模様。鰯を茹でて干すんだっけ?魚偏に弱いと書いてイワシ。イワシ、なんで直ぐに死んでしまうん…。

そう言えば前世ではイワシの煮干しだけでなくアジを干したものやサバを使った物もあった様な……。アゴってのも聞いたこともあるし、……あ、イリコ出汁ってのも聞いたことがある。シラス干しは違うな。あれは出汁と関係ないと思う。

となると海産物を干せばいい? それって貝とか海老とか? ホタテの干し貝柱……いかん、ホタテビキニが副産物じゃないか。いや、実はホタテビキニの副産物が干し貝柱なんじゃあ…!?

ちょっと混乱してきた……。

「ミーシャ、 三毛皇(みけおう) 閣下の手紙には何と書かれておったのじゃ?」

「美味しいお菓子をありがとう、でしたよ」

余計なことは言わないぞ。俺に会いたがってるとか伝えたら謁見に連れて行かれそうだし。会ってみたい気持ちもあるけどまだちょっといいかな…。

「パイク=ラックさん、アッシュ=ラックさんの発明品の食べられる紙、暫定登録名【エッセン紙】の登録が修了いたしました。商業ギルドの管理下で研究検証がされます。次の【会議】もしくは【大会議】で取り上げられると思います」

「商業ギルドのおねえさん、ありがとうございます」

「どういたしまして。アッシュ=ラックさん、皆に言いたいかもしれないけど秘密にしておきましょうね」

「なぜですか?」

「悪い人がアッシュ=ラックさんを利用しようとしたり、知らない所に連れて行こうとするかもしれません。お爺さんと離れ離れになりたくないですよね?」

「はい。じいじと離ればなれはイヤです」

「もう少し大人になったら言ってもいいですよ。そこのミーシャ=ニイトラックバーグさんも沢山登録されてますが、全部秘密にしているんですよ」

「ミーシャねぇねもですか?」

「ボクも怖いから秘密にしてるんだよ」

本当は異世界知識を出しまくったせいで面倒くさいことに巻き込まれたくないから秘密にしているだけなんだけどね。

「それと、ミーシャ=ニイトラックバーグに強制依頼が来ている」

「強制依頼ですか?」

「ハーレー=ポーターが登録案件の開発に関して打ち合わせを希望している」

「ボクに拒否権は無いんですよね」

「ポンチ絵の件とコンロについて話があるそうだ。そう言えば分かるだろうとの事だ」

あ…それは俺じゃなきゃ説明出来ないやつじゃん。そして形にするのがハーレー=ポーターさんなんだ。仕方ない、請けよう。