軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第194話

「パイク=ラックさん、今リンド=バーグさんが古代エルフさんから依頼されたトマホークの仕事を請けることになっていまして、その古代エルフさんは職校の非常勤講師なんです。そしてボクがその古代エルフの非常勤講師さんの指導科目を履修することにした縁もあって、ボクにトマホークの柄を磨く仕事が回ってきました」

「それはまた数奇な巡り合わせじゃな」

「それで、木材と言えばパイク=ラックさんに聞くのが一番なのかな…と」

「それで、どんな木を使うつもりかのう?」

「【 魔包樫(マホガ) 似(ニー) 】は手配した。【 怨蠱(オンコ) の樹】は依頼主の手持ちから出してもらう。後は【 大厄杉(おおやくすぎ) 】を使えれば…といったところだ」

「なかなか過激な選択じゃな。クセの強い依頼主じゃろう?」

「ははははは、そっ、そうですね。オロール先生はお風呂とお酒が大好きで……色々と面白い話を教えてくれる方です」

「ドワーフと一緒なの?」

「アリサ、古代エルフは特殊な生き物だからな」

「ボク、これを渡されました」

ネタアイテムのつもりで持ち歩いていた【ホヤッキー】を取り出すとパイク=ラックさんに見せる。

「まさか【ホヤッキー】とは。古代エルフと言うておったから予想はしておったが…。これまた立派な【ホヤッキー】じゃ」

パイク=ラックさんは【ホヤッキー】を手に取ると、うんうんと頷きながら素材を改める。ホタテビキニは俺が思っているより凄い素材なのか…。俺の前世由来の先入観が悪いの?

「ミーシャ、この【ホヤッキー】を研磨するじゃろ? その時に出た研磨滓を水で溶かした物は 木賊(とくさ) 栽培の良い肥料になるんじゃ。ついでに言うとじゃな、割れた物やサイズが小さかったものなどを集めて水を注いでおくのじゃ。そうすると魔力が水に僅かに染み出る。その水は 木賊(とくさ) の栽培やスライム育成に非常に効果的なのじゃよ」

まさかの【ホヤッキー】の使い方だよ。

「まさか規格外の【ホヤッキー】にそんな使い道があるとはな」

「ミーシャ、その古代エルフから【ホヤッキー】を二、三枚貰ってはもらえぬか? 融通して貰えるのなら、儂の秘蔵の【 大厄杉(おおやくすぎ) 】を提供しようではないか」

「パイク=ラック、【 大厄杉(おおやくすぎ) 】を持っているのか?」

「そこはほれ、儂じゃからな」

流石、パイク=ラックさん。

「それで、魔銘木の磨き方というのは?」

「心を込めて磨くんじゃ……と言うのは嘘でな、木に逆らわず磨く事じゃよ。まぁ、【 魔松(マツ) 】あたりで練習してみることじゃな。ほれ、もう少しエールを飲むぞ」

軽くはぐらかされた感はあるけど、宴席で話す事でもないか。

翌日、オロール先生の講座に行ったら「先ずはこれで運針に慣れておくれ」と言われて麻布と綿糸と針を渡された。少し手が慣れたら基本的な模様を刺していくのだと。手習いの刺し子は布巾とかカーテンとかクッションとか、そういった商品にされて処理されるので無駄にはならないから好きなだけ刺せばいいと言われた。俺、前世で縫い物を得意としていた訳ではないので、めっちゃ下手くそだよ。ただの並縫いがこんなに難しかったとは不覚。慣れてきたら慣れてきたで縫い目を揃えるのが難しい。糸の引き加減の調整は更に難しい。オロール先生は「私が死ぬまでには一端に刺せるようになっておくれ」と言ってたけれど…。

他の講義は特に聞きたいものが無かったので学園に行った。魔物素材の質問をする為に講師の予定を確認しに行ったら、明日以降の放課後なら…と言われたので申し込みはリンド=バーグさんの都合を確認してからだな。学園に来たついでに図書館を利用する事にした。

コカコッコを知るために【コカコッコ史】を読む事にする。

コカコッコはコカトリスを家畜化した魔獣で、最初はテイマーが野生種の石化力を落とした個体を使役していた事を発端とする。野生種はヒト族及び亜人種を襲うのは勿論だが、コカトリスはテイムしていても他種族の卵を見ると啄いて石化させる習性があるので、当初は毒蛇や毒蟲などの卵を駆除する目的で飼われていた。ちなみにコカトリスがコカトリスの卵を啄いても石化はしないので、本能的に他種族を排除しようとするとしているのだと言われている。

雌鶏や 雄黄(リアルガー) 蛇(・スネーク) などと交配を重ねていたところ、たまたま変異個体で卵を啄いても石化させない個体が出現したので、特に害はないだろうと鶏と一緒に飼育していたら、鶏の産んだ卵は石化はしないがいつまでたっても孵化しないという事件が起こる。しかしその石化力の乏しいコカトリスでは害獣害蟲の卵駆除が出来ないので、戻し交配に使う為だけに系統維持をすることになった。コカトリスと鶏の中間的な種であると言うことでコカコッコと名付けられる。これがコカコッコの初代である。

その頃、異世界より転生してきたケン=タツキと名乗るテイマー職の男性がコカコッコの噂を聞きつけ一羽を譲り受ける事となる。何でもケン=タツキは鶏の卵を生食する文化の有る世界より転生してきたとの事で、常日頃、鶏卵の生食を模索し続けていたという。ケン=タツキは身を挺し鶏卵の生食の実食を続けることによりコカコッコが啄いた鶏卵は “ 有精卵であっても孵化することはなく、尚且つ、卵に存在する生食時に体調を害する成分を石化させることで排除する ” 事が確定する。これはケン=タツキが前世で有していた知識を元にした検証実験であり、『ハポン=ヤポン国』内では知られていなかった知識である。

その後、コカコッコは養鶏の番人=【 番(ばん) コカトリス】としての役割を与えられ、量産される運びとなり、ケン=タツキは『鶏の勇者』と呼ばれることとなった。尚、ケン=タツキは『鶏の勇者』と呼ばれているが、勇者パーティーとして国家安定の為の魔物討伐の旅には出ていない。