軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第190話

結局、『回転式点線鉄筆』案は登録される事となった。色々と派生するらしく、ミシン目カッターの試作品は 小(しょう) 鍛冶師に発注されていた。この世界にはミシンが無いから点線カッターとか縫い目カッターとかの名前になるのかな? もっとイケてる名前になるのかもしれないけれど。

「ミーシャちゃん、ヤッホー」

アリサお姉ちゃんとリンド=バーグさんが商業ギルドに来ていた。俺の戻りを待っていたのだとか。

「どうだ、職校は」

「まだ初日なので…。あ、『キーボックス』を覚えました」

「おめでとう。では、貴重品の他に入れておいたほうが良い物をお姉ちゃんが教えて進ぜよう。それは…」

「それは?」

「それは、拭き紙だよ」

へっ?

「あっ、今バカにしたな。拭き紙は用足し以外にもタオル代わりにもなるし、ちょっとした物も包めるし、傷口の保護にも使えるんだよ。ちょっと滲むけどメモ用紙にだってなる」

そりゃそうだよね、少し丈夫なティッシュペーパーだし。

「それはそうと、研磨ノート用の彩色用具一式を手に入れました。これから沢山研磨して書き込んでいこうと思います」

「おめでとう。何処で手に入れたの?」

「商業ギルドと農業ギルドの両支部長さんからの指名依頼の達成報酬で買っていただきました」

「へー、どんな依頼だったの?」

「それは、」

「はい、ストップ!! そんなにサクッと教えちゃダメなんだからね。もしかしたら秘匿案件かもしれないんだから」

「まぁ、ここで話す事ではないだろう」

うん、反省。他言無用と言われた依頼ではなかったけど、そうペラペラと内容を話すものではないな。

「ここはドワーフばかりだからそこまで詮索されたり変な噂を流されたりしないからいいけど、ヒト族の沢山いる所は怖いんだ。少し余計にお金を持ってるとか、依頼の達成報酬を受け取っていたとかを知られたら、襲われてお金を取られたり、騙されて売り飛ばされたりしちゃうんだからね。ミーシャちゃんは若くて可愛いし、変わった知識や技術持ちだから特に気を付けないとね」

「そっ、そうですね。迂闊でした。でも、ボク可愛いですか?」

「うん、可愛い!」

「髭娘ってヒト族に需要あります?」

「あ、ヒト族に髭娘の需要はないな。ドワーフだったらミーシャちゃんは可愛い部類だからね」

よかった、ヒト族に髭娘を愛でる文化とかあったらどうしようかと思ったよ。

「アリサお姉ちゃんも素敵な 人(ドワーフ) です」

「ふふふ…、ミーシャちゃんをもっと可愛いくしちゃおう。という訳で、先日買った揃いの髭エクステを出すのだ」

ええっ!? ここでアレを要求してくるの? 寮に置いてきちゃったよ。それ以前に商業ギルド内で髭エクステを着けるってどうなのよ。

「アリサお姉ちゃん、髭エクステは寮に置いてきちゃいました…」

「アリサ、商業ギルドに迷惑になるからそろそろ移動しないか?」

リンド=バーグさんの助け舟もあって、商業ギルドから移動する事に。そして連れて行かれたのは髭エクステを取り扱っているお店だった。

「はーい、ローザ、お久しぶり。最新エクステはどれ?」

「あらアリサ、後ろにいるのは旦那さんね。隣の子は?」

「私の妹分のミーシャだよ。今日は私たち三人の髭エクステを買いに来たよ」

「ありがとう。そうね…、旦那さんはお仕事が鍛冶師だったよね? なら仕事の邪魔にならない長さで渋い色味がいいか…。渋いオリーブグリーンとかどう? アリサは明るいアップルグリーンで夫婦でお揃いを強調してみよう。ミーシャさんは何か希望の色は有る?」

「ボクは…大人し目のエメラルドグリーンにしてください」

「はーい、承りました。購入ありがとうございます。で、今すぐ着ける? 隣で髭を整えてからにする?」

「今日はローザの施術でいいよ」

「ではトップバッターはアリサから。説明するから二人は見ててね」

アリサお姉ちゃんが店舗内に有る椅子に座るとローザさんが髭を解いてブラッシングしていく。丁寧に梳かしたら一握り髭を掴むとその髭束の根元にアップルグリーンの髭エクステを取り付ける。よく見たら髭エクステの取り付け部分は前世の輪ゴムみたいになっていて、伸びる素材が付いている。その部分をを輪ゴムを何重かにするみたいにして取り付けている。よく伸びる割に髭に着けたら収縮するのか程よくフィットしている感じ。その後はエクステと 地髭(じげ) を一緒に三つ編みにしてサッとまとめ上げた。その間、約十分。

「この根本の部分が最新の魔物素材でよく伸びるのよ。伸びるけどちゃんと縮んでくれるから輪を引っ張りすぎて髭を痛めることもないの。でも、髭の付け根ギリギリの位置に髭エクステ着け続けたら髭が抜けるかもね。自分で着ける時は気を付けて。後は、普段通りに髭を整えたらOK」

そして、言われるがままリンド=バーグさん、俺の順で髭を飾り立てられてしまった。鏡で姿を見てみたら、予想していたより派手でも変でもない。確かに何だかオシャレかも。

「髭飾り珠も付けれるからね。飾り珠は 地髭(じげ) に付けるよりイイ感じだと思う。後、おじいちゃんドワーフでお髭の量が寂しくなったから…って着ける 人(ドワーフ) もいるかな。一回取り付けたら二十日くらいは着けてていいよ。外せなかったら私のお店に来てもいいし、理髪店で取ってもらってもいいので、自分で無理はしないで。ちなみに隣は私の実家の理髪店です」

髭エクステのお店を後にしたところでアリサお姉ちゃんが今日の本題を切り出してきた。

「ミーシャちゃんの入校祝をしたくて、何時がいいか相談に来たんだ。パイク=ラックさんも誘おうって。ミーシャちゃんは何か食べたい料理とかある?」

「ボク、卵料理のお店に行ってみたいです」

「卵?」

「今日、『コカコッコの 祝福(ブレス) 卵』の話を聞いたので、色々食べてみたくなりました」

「じゃあ、卵料理のお店にしよう。後は、パイク=ラックさんの予定を合わせたらOKだ」

どんな卵料理が出てくるのか、今からとっても楽しみだよ。