軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第170話

ブリーフィング終了後は冒険者ギルド内で簡単に昼食を済ませる。大麦パンに【茄子花芋】コロッケを挟んだ、ボリューミーな炭水化物の重ね食いサンドイッチだ。一緒に挟まれているスライス【細長瓜】が食感と爽やかさをプラスしている。お酒は禁止の時間帯なので飲み物は 乳清(ホエイ) 。牛乳にレモン汁を加えて加熱してカッテージチーズを作る時に分離してくる液体の方ね。クリームチーズを作る時にも発生する副産物で、体に良いので冒険者ギルドでの食事時や公衆浴場の湯上がり時に飲むのが推奨されている。

「よし、家に戻ってリンドに革パーツか鎖帷子パーツを付けてもらおう」

「せやなー」

「 生命(いのち) は大事っす」

「また明日なのです。そこら辺の草を食べるのが楽しみなのです」

「明日は八時三十分にギルド前集合で」

「ボクも明日が楽しみです」

アリサお姉ちゃんとリンド=バーグさんの工房に戻る。戻ったら何だか騒々しかった。

(共)「請けてもいいけど時間がかかるぞ」

(共)「そこを何とかお願いします。リンド=バーグ氏が『スワロー』に戻って来たのなら、是非とも武器製作をお願いしないといけないのです」

「リンド、ただいまー。ミーシャちゃんも連れてきたよ」

「アリサ、今、来客中だ」

「はーい」

(共)「ミーシャ、ミーシャの知り合いなのか」

(共)「ん? ミーシャを知っているのか」

「けやぐ、けやぐよー」

訳:(友達、友達だよ ← ミーシャのみ理解 )

(共)「はあっ??? 共通語を使ってくれ!!」

(共)「悪い悪い、ミーシャは私の友達…いや、大親友なのさ」

あーーー、その特徴ある古代エルフ語はオロール先生!! でも何でまたリンド=バーグさんの工房に来てるんだ?

(共)「オロール先生?」

(共)「ミーシャ、よかった。ミーシャからもリンド=バーグ氏に頼んでくれないか?」

(共)「あの…ボク、話が全く見えないんですけど」

「ミーシャ、来たところにいきなりて悪いが、間に入ってくれ。この古代エルフと話が噛み合わなくてな」

「そうですよね…言語的なのは特に」

「いや、依頼の方が噛み合わなくてな……」

一体何があったのかと言うと、オロール先生がリンド=バーグさんに武器の作製依頼をしにきたとのこと。で、『スワロー』に戻ったばかりで段取りも整っていないし、特注の武器は急に作れないので押し問答になっていたところに俺達が戻って来た訳か。

(共)「ミーシャ、助けておくれ」

(共)「それよりオロール先生はどんな武器を頼みに来たんですか? やっぱりエルフだけに弓とか? それともレイピアとかの細身剣ですか?」

(共)「違うよ、私の欲しい武器はトマホークだよ」

はぁぁっっ!? トマホークってエルフじゃなくて、どちらかといえばドワーフ用じゃないの???

(共)「トッ、トマホークって手斧サイズのアレですよね?」

(共)「ここ『スワロー』の 大(おお) 鍛冶師、リンド=バーグ氏は斧を作らせたら右に出る者は居ないと噂されてるからね。是非とも『ブルー=フォレスト』に戻るまでに作ってもらわないと」

(共)「作るのはいいが、少し時間がかかるとさっきから……」

(共)「オロール先生、ボクからもリンド=バーグさんに頼んでみますけど、オロール先生の希望するトマホークってどんな仕様なんですか?」

(共)「ん~~、斬れ味バツグンで投擲も出来て、出来れば魔力が通ってくれれば有り難い。最低二本だ。作ってくれるなら、何本あってもいい」

え〜……、それって結構ワガママじゃない?

(共)「オロール先生、結構ムチャ言ってますよ」

(共)「ところで、トマホークを作るとして、刃の素材は?」

(共)「硬いのならお任せするよ」

(共)「柄は?」

(共)「【 魔包樫(マホガ) 似(ニー) 】がいいねぇ…」

(共)「【 魔包樫(マホガ) 似(ニー) 】って、手配が手間なんだが」

(共)「手間でも手に入るんだろ?」

(共)「三ヶ月くれ」

(共)「恩に着るよ。夫婦戦斧で有名なリンド=バーグ氏の作品を『ブルー=フォレスト』に持って帰れるよ」

夫婦戦斧って!? それよりオロール先生の戦闘方法が知りたいぞ。

(共)「オロール先生、先生の戦闘方法ってどんな感じなんですか?」

(共)「それはな……」

オロール先生が俺から距離を取る。

(共)「こうだ…」

オロール先生の姿がスッと周囲に溶け込む様に消えると、次の瞬間、丸めた拭き紙を首筋に当てられた。

(共)「で……、こうだな」

再度姿が消え、数秒後、オロール先生が姿を現した時には俺の左胸に四つに畳んだ拭き紙が刺さっていた。

(共)「とまぁ、古代エルフの戦闘術はこんなかんじだよ」

パチパチパチパチ… リンド=バーグさんとアリサお姉ちゃんがその見事な動きに拍手を贈っている。

それ、エルフの戦闘術じゃねぇ!! 光学迷彩なのか隠密系のスキルなのか、姿と気配を消したまま相手の懐に飛び込んで急所を一撃するエルフなんて聞いたことないんですけど…。それより何でまた拭き紙を持ってるの???

(共)「…………」

(共)「おや? 納得いかないかい? トマホークを投げて遠距離攻撃もするよ。後は…無手での格闘術かねぇ…、こう腰回りの鎧の辺り、 前褌(まえみつ) を掴んで 体(たい) を寄せて投げたり、 腕(かいな) を掴んで投げたり……」

オロール先生、それは前世で言うところの相撲じゃないですか? トマホーク戦闘術以上に相撲を取るエルフって……