軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第99話

「で、丸める前に両端の繊維を切り揃えて下さい」

凄いな、 小(しょう) 鍛冶師。俺の拙い説明でも何とか意図を汲み取って繊維を纏めたゲジゲジを作り上げてるし。それをクルッと丸めたら見た目もバッチリ、タワシの完成です。

「これがタワシか」

「凄い、ボクのあの説明でちゃんとタワシにしてる!!」

「まぁ、もう少し作り込んで完成度を上げないと売れ筋商品にはならないな」

「これでポニー達をブラッシングしてあげられます」

「でも何でこの道具の名前がタワシなんだ?」

「それは……」

あ、束子タワシは日本語だったのか……。対応するドワーフ語が無いよ。

「それはですね、“ た(・) ばねて わ(・) にした ブラ シ(・) ” の略でタワシです」

凄く苦しい言い訳です。

出来上がったタワシ一号を手にし、ポニー達をブラッシングする事にした。先ずは沢山乗せてくれた黒毛のワギュから。後は順番に栗毛のヤジイ、赤毛のラパン、白毛のスノウをブラッシング。ポニー達がもっと毛繕いしてくれと取り囲んで離してくれないよ。

「分かったよ、順番に追加のブラッシングするから。あと、皆の 鬣(たてがみ) を編み込みしてもいい?」

ポニー達がヒヒン、ヒヒンと鳴き声を上げながら頭を上下する。多分OKということだろう。

追加のブラッシングをし、櫛を使って 鬣(たてがみ) を整え編み込みをしてゆく。うん、四頭とも可愛いくなったぞ。

蹄(ヒヅメ) を確認したらちゃんと蹄鉄を装着していた。毛艶もいいし普段から大事にされてるのが良く分る。

四頭と戯れていたら、血相を変えたホーク=エーツさんが俺の名を呼びながら走ってきた。

「ミーシャ、 はぁっ はあっ タワシ!! 増やすの止めて!!」

どうやらホーク=エーツさんが書類の清書の真っ最中に、ガルフ=トングさんがタワシ二号を持ち込んだ模様。

「ちょっと、なに? あの “ 束ねて輪にしたブラシ ” って。何でいきなり見たことも聞いたこともない道具が出てくる訳!? ガルフ=トングもいきなり作るぅ???」

「ハハハハハ…。そこは鍛冶師だからな。未知の道具を目の前にしたら血が騒ぐんだよ」

「タワシ追加……。はぁ〜〜 」

ホーク=エーツさんが眉間にシワを寄せて深い溜め息をつく。

「ホーク=エーツ、実は…だ。 こ(・) れ(・) も追加してはくれないか?」

ガルフ=トングさんがそう言って四角い板状の道具を取り出す。

「それは何?」

「これは【 逆鉋(ぎゃくかんな) 】だ。野菜を薄くスライスすることの出切る調理道具だ」

うおっ!! ここでいきなりスライサーを取り出してくるとは。ピーラーから進化させてきてるし。ネーミングセンスはイマイチだけど、原理と構造からすると【 逆鉋(ぎゃくかんな) 】の名付けは間違ってない。

「ガルフ=トングさん、野菜をスパスパ薄切りにするのはともかく、食材が薄くなってきたら掴んでいる指が危険になりませんか?」

確か、食材ストッパーとか付いたスライサーって有ったよね。前世の通販番組とかで「見〜て下さ〜い、この食材ストッパーを装着したら安心安全に最後までスパーンスパーンとお野菜を切り刻めちゃ〜いま〜す」「凄〜い。これなら指を切らなくて安全! でも、お高いんでしょ?」とかやってたし。

「むう、そこは改良の余地有りか。先ずはこの【 逆鉋(ぎゃくかんな) 】の登録をしてもらって、ミーシャの言うストッパー付き【 逆鉋(ぎゃくかんな) 】の開発だな」

「増ーやーすーなーー!!」

ホーク=エーツさん、ごめんなさい。ボクがこの『関所の集落(仮)』から出発するまで後一日半、多分まだ何か申請項目が増えると思います。