作品タイトル不明
757.皆で折り鶴チャレンジ
すでに詰めた袋を見ても、そんなに多くない。首を傾げた私の前で、レオンが自分の指を見て目を丸くした。
「お母様、あた!」
小さい「っ」が消えている。それだけ驚いた証拠ね。どれどれとレオンの指を手のひらにのせる。濡れた指にびっしりと種がついていた。小さな小さな粒だから、これだけでもかなりの量だわ。
「動かないでね」
頷くレオンの指先から種を回収する。これだけで六袋は作れそう。本当に少量なのよ。入れ物の隅に残っていた種も含め、また袋詰めをしてもらった。紙袋に入れるより、薬みたいに包んだほうが良かったかしら? 今になって変更するのも大変なので、そのままにする。次回の参考にしましょう。
「よかった」
笑顔のレオンにほっこりする。そうねと相槌を打ちながら、思い付きで鶴を折ってみた。以前も作ったけれど、夢中になって指先を見るレオンの目は輝いている。あまり上手ではないけれど、折り鶴が完成した。いつの間にか手を止めたラルフも見入っている。
「作り方を覚える?」
軽い気持ちで誘ったら、ローズも含めて手が挙がった。
「あたちも!」
「もちろん皆で作るわ。仲間外れは嫌ですものね」
土を入れた鉢は布とリボンで飾ったし、種も紙袋に小分けにした。あとは大丈夫よね? ティムから聞いた育て方とコツは、フランクがカードに纏めてくれるらしい。持ち帰り用の袋はないけれど、馬車だし侍従達もいる。
問題ないと判断して、後を任せた。布を提供した針子達も「お任せください」と微笑む。見送られて、勉強部屋に戻り……猫の回収を忘れたことに気づく。リリーに説明したら、すでに侍従達が捕獲に動いていた。いつも庭師の手を借りて大騒ぎになるのだとか。だんだん上手になりそう。
お礼の気持ちも込めて、今日は肉料理を一品増やすよう伝えてもらった。私達の食卓を経由せず、直接使用人で分けるように。奥様予算が余っているから、そこから肉の代金は支払う。イルゼも頷いたので、問題ないわね。
「はやく!」
作りたいと訴えるレオンに、正方形の紙を作るよう伝えた。こうやるのよ、とやって見せる。目を輝かせて紙を折り畳み、レオンの手が四角を作り出す。ラルフも手元で折って……あら、ローズの分も一緒にやってくれるのね。
私がやろうと思ったけれど、任せましょう。この時点で色を塗ると言い出したレオンに、少しだけ脱線する。ローズはピンク、レオンは黄色、ラルフは……緑? 皆で色を塗る紙は、当然だけれど平均に綺麗に塗るのは難しかった。それでもオリジナルの折り紙を作った三人は満足そうな笑顔ね。
私は完成した鶴に、黒と赤を使って模様を描くつもり。ところで、どこが赤くてどこがが黒かったかしらね……。