軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

739.印象を変える変装が必須

フランクとイルゼに、留守中の対応を頼む。二人ともプロだけれど、やっぱり心配が先行してしまうの。イルゼから聞いた予定では、天気がいいので猫達を温室に放すらしい。日向ぼっこがてら、ある程度運動で発散させるのね。ローズがその話に目を輝かせていたとか。

ローズも猫と一緒に温室、レオンはどうするのかしらね。お昼前に勉強をするラルフに付き合う可能性が高いかも。お昼寝の間に帰る予定よ。

「旦那様、奥様……そのお姿はちょっと」

言いづらそうにフランクが口を開く。指摘されて確認したのは、シンプルなワンピースだった。裾は長くて踝も隠れているから問題ないと思うわ。ヘンリック様はシンプルにシャツとスラックス、ベストのみ。どちらもおかしくないはず。

平民よりは仕立てのいい服だけれど、目立ちまくるほどではない。何が気になるのかしら?

「奥様はこちらをどうぞ」

イルゼが差し出したのは帽子だった。ツバの広い帽子を被ると、顔が見えにくくなる。その間に、フランクもヘンリック様に 片眼鏡(モノクル) をかけた。やだ、雰囲気が変わって見とれちゃう。首に細い鎖をかけ、その先に丸いレンズがある形だった。

「変装なさってください。ユリアーナ様が振り返るだけで、バレてしまいます」

言われてみればその通りだわ。ユリアーナは視力もいいし、私とヘンリック様を一目で見つけるでしょう。隠れるつもりでいたけれど、万が一を考えたら「念の入れすぎ」ぐらいで丁度いいわ。

「助かったわ、ありがとう」

お礼を言って、玄関脇の部屋から馬車の様子を窺う。ユリアーナがアンネと出かけるため、横づけにされていた。フランクとイルゼが一礼して退室し、玄関でユリアーナの見送りをする。きっと上手に言い訳してくれるでしょう。

私は子供達と一緒で、ヘンリック様も執務室で仕事をしている、とか。そんな感じかしらね。頷いたユリアーナは、ピンクのリボンで髪を結んでいた。帽子を手にしているので、被った際に邪魔にならないよう絡めて三つ編みにしたみたい。

ユリアーナが馬車に乗り込むのを手伝い、アンネもツバの狭い帽子と小さなバッグを手に続いた。扉を閉めた騎士が踏み台を片付け、馬車の後ろについた。御者が馬車を走らせる。見送ってすぐに飛び出した。

「急いで頂戴、見失わないでね」

「……アマーリア、何だか慣れているな」

複雑そうな夫の手を引き、二台目の馬車に乗り込んだ。こちらにも騎士がつくので、動き出すのに少し時間がかかる。事前に行き先はわかっているけれど、一度やってみたかったの。ほら、警察が「あの車を追ってくれ」というやつ。カッコいいじゃない?