軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

33-1.(ローラント)僕も参加したい

ケンプフェルト公爵家のお茶会に参加する。母上と婚約者のヴェンデルガルトが招待されたようで、二人はお揃いの髪飾りを用意して嬉しそうだ。残念だが、緊急の案件でエスコートできない。そう告げたら、二人ともからりと明るく笑った。

「構わないわ」

「手が空いたら来てね」

なぜだろう。エスコートは必要ないと言われた気分なんだが? 出来るだけ早く片付けて、絶対に顔を出すと決めた。国王陛下となった幼馴染みのカールハインツの補佐に入ってから、緊急での呼び出しが増えた。

公爵家の屋敷はすべて、王宮に近い位置に建っている。お陰で通うのは楽だが、呼び出しも遠慮がなかった。今日も休みだと告げてあったのに、結局、呼び出しの伝令が駆け込んだのだから。朝早くから準備のために顔を見せたヴェンデルガルトの頬にキスをして、母上の手の甲に顔を寄せる。

「ではお気をつけて。必ず行きますから」

「無理をなさらないでね。夕方まで滞在予定ですもの」

帰るまでには仕事も終わるでしょう? 婚約者の明るい声に、もちろんだと同意した。まだ昼前の時間なのだ。終わらなかったら、事件を持ち込んだ阿呆を叩きのめしてやる。拳を握りたい状況だが、笑顔で手を振った。

大急ぎで王宮へ向かうため、騎士を連れて騎乗する。馬車と違い、このほうが早かった。乗馬服に着替えずに済むよう、専用のシートを馬具にかける。擦れたり汚れがつくのを防ぐためだ。駆けこんだ王宮で、走る一歩手前の速さで執務室へ向かった。

カールハインツは、まだ仕事が免除される年齢だ。先代の崩御で即位が早まった。留学先から呼び戻された僕以外の補佐役も繰り上げで、執務室を与えられている。状況を確認し、手早く指示を出す。簡単そうだが面倒臭い仕事が片付いたのは、お昼を食べ損ねた腹が不満を訴えた頃。

「カール、悪いが帰る」

「あ、ああ。休みなのに悪かった」

労う声を聞きながら、机の上に用意されたパンを一つ掴む。食べながら廊下を抜け、ケンプフェルト公爵家へ向かった。護衛が慌てて付き従う。王宮を中心に、公爵家の屋敷が取り囲む形だ。距離は家に帰るのと変わらないはず。そう思ったが、さすがは筆頭公爵家だ。

明らかに道の整備状況が違う。おまけに距離も近かった。ほっとしながら馬を侍従に預け、護衛の食事の手配を頼む。優雅に一礼した家令は品が良く、僕の要望を受け入れてくれた。

「お茶会は温室でございます」

僕が来ると聞いていたのだろう。綺麗な所作の侍従に案内され、訪れた温室は……予想外の光景が広がっていた。