軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

19.(ヴェンデルガルト)壊れやすくて綺麗なもの

ランドルフ様の機転で、いい方向へ話が流れたわ。バルシュミューデ公爵閣下が失敗したときは、どきどきしたけれど……なぜ、女性の年齢を公開で発表させるような発言をしたの? 絶対にあとで夫人に叱られるわ。お父様が同じことをしたら、お母様に無視されて泣くでしょうね。

「無事に落ち着いてよかったわね」

年下なのに、アナ様はしっかりしている。穏やかに微笑む姿なんて、姉君のケンプフェルト公爵夫人によく似ているわ。将来は魔性の令嬢になるかも……そうなったら私がサポートするけれどね。邪魔はしないで、協力する方向で考えておくわ。

「本当ね、どうなるかと思ったわ」

顔を見合わせて、くすくすと笑う。手元の箱を眺めた。二人がそれぞれに選んだ箱は、全然見た目が違っている。私は鮮やかな赤いリボンの箱で、包み紙は薄緑色なの。空色の包装紙に、黄色い花飾りがついた箱を選んだのはアナ様。

「一緒に開けましょうか?」

「順番に開けて確認するのはどうかしら」

あれこれ話しながら、最初にアナ様の箱を開く。花飾りを丁寧に外し、包装紙も綺麗に外して折りたたむ。アナ様の行動がよくわからないわ。その包装紙、どうするの?

「よくお姉様がしていたのよ。ふふっ、ほら……昔はシュミット伯爵家はびん……お金がなかったでしょう?」

貧乏って言いそうになったのね? アナ様のこういうところ、すごく好き。卑下するのとも違って、当たり前のように口にするんだもの。見栄を張る貴族ばかりの中、とても眩しく感じた。ありのままに受け入れることはできても、誰かに話すのは勇気がいる。

ケンプフェルト公爵夫人が皆様に好かれるのは、飾りがないから? 素直に感情を見せてくれて、優しくて温かい。そうね、綺麗なのかも。見た目も素敵だけれど、この人の隣にいると自分も綺麗になれる気がする。だから愛されるんだわ。

「お金と包装紙の関係がわからないわ」

「取っておいて、次の贈り物で使うのよ。他にも、これで鳥を作ってくれたわ」

「とり……?」

説明してくれたけれど、実物を見たほうが早いと思う。よくわからないのよ、嘴の尖った形で、なぜか尻尾がぴんと立っている? そんな鳥、いたかしら??

「今度、作り方を聞いておくわ。次のお茶会でヴェル様に見せるわね」

「楽しみだわ。ありがとう、アナ様」

まだお茶会は終わっていないのに、もう次のお茶会が楽しみ。でも手元の箱に集中しましょう。あちらで騒いでいる大人は、放っておいても平気そう。

アナ様の箱は長細い。幅は手首ほどだけれど、長さは指先から肘まで届きそう。わくわくしながら開いた中に、綺麗なガラスのペンが入っていた。紫色でとても綺麗。

「うわぁ、素敵ね」

「ガラス製品は、ケンプフェルト公爵家の特産だったわ」

ということは、アナ様はケンプフェルト公爵家の販売したペンを手にしたのね。これ、かなりお値段が高いと思う。緊張しながら、私は未開封の緑の箱を見つめる。赤いリボンに手をかけ、一気に解いた。

「……包装紙、丁寧に外してね。鳥を作るのに使いたいわ」

アナ様の要望に応じて頑張ったけれど……途中で少し破れてしまった。それでもお礼を言って受け取る姿に、笑みが零れる。「せーの」で開けた箱には、丸くて平べったい何か。持ち上げて気づいた。

「まぁ! ガラス細工のブローチだわ」

透き通った赤いガラスに、白い線が入っている。胸元に当てて見せたら、アナ様が「似合う」と褒めてくれた。今度のお茶会で着けよう。