作品タイトル不明
14-1.(ルイーゼ)妹も可愛いじゃない
レオンと手を繋ぐ。前は二人だったけど、今はローズやラルフも一緒よ。私は”ちゅくじょ”だから我慢できるわ。ローズはまだできないことばかりだし、歩くのも遅い。レオンは妹のローズを大事にしていた。だから私も大事にできる!
「ローズ、どうぞ」
お気に入りの花を摘んで渡した。
「あんと!」
元気にお礼を言って、にこにこと受け取る。こうしてみると可愛いわね。レオンは黒い髪と紫の瞳で、ローズはレオンのお母様と同じ金髪と青い瞳。顔もあまり似ていない。公爵そっくりのレオンと違って、レオンのお母様に似たローズは顔が丸いの。
人の見た目をあれこれ言ってはいけない。お母様に教わった言葉を思い出す。でも可愛いとか綺麗、カッコいいは使っても平気なの。
「ローズ、可愛い」
「うん。ロジィは可愛い」
レオンが嬉しそうに繰り返した。私達の間でローズはにこにこしている。いつも笑っているから可愛いのかも。私も同じようにしたら、レオンは可愛いと思ってくれるかな。
「ルー、可愛いね」
今のは、私に対する言葉? それともローズのこと? 首を傾げたら、ローズと繋いだ手を離して撫でてくれた。ちゃんとリボンを避けて触わるの。
「ルーは青、似合う」
「ありがとう」
そっか、私は青が似合うのね。本当は紫のほうが好きだけど、レオンが言うなら青をたくさん着よう。嬉しくなってお礼を言った。
「ルイーゼ様、レオン、ローズ……球根堀りをしないか?」
ラルフに言われて、待っている庭師に気づいた。小さなスコップを持っている。球根を掘るの? 楽しそう!!
四人で駆けて行って、スコップを貰った。ところがローズは口元へ持っていくから、慌てて止める。さっきもお菓子食べたのに、もうお腹空いたのかな?
「ロジィ、見ててね」
私が押さえている間に、レオンが穴を掘った。濃い茶色の土から、綺麗な白い球根が出てくる。薄い紫やオレンジの色がついた球根もあった。
「ろじ、の!」
これは私の、と主張するローズがスコップを離してレオンに飛びつく。気に入らないけれど、妹だから我慢よ。私がおぉ兄様に抱き着くのと同じ。”ちゅくじょ”は順番を譲ってあげられるの。
「ルーも、ほら」
レオンが呼ぶから、すぐに走った。転びそうになったところを、ラルフが助けてくれる。お礼を言って、レオンの隣に座った。手の上にころんと置かれたのは、白い球根だ。尖った部分に薄い緑があって、根っこのほうに紫が入っていた。
「きれぇ」
「これらを鉢に入れて育てると、早く咲きますぞ」
庭師の説明に頷き、夢中で土を掘った。植え替えになるから、全部外へ出していいみたい。いくつかはスコップで割れちゃったけれど、上手にできた。気に入った球根を鉢に入れて、土を載せる。早く咲くといいな。鉢を運んでお母様達に見せたかった。
「鉢はわしらが運びますので、お待ちください」
重くて持ち上がらない鉢にしがみついていたら、庭師が代わりに運ぶと言う。任せるのも”ちゅくじょ”なの。ローズの手についた泥を払って、しっかり繋いだ。ラルフだけ自分で鉢を持って行った。少し大人だからって、ずるいわ。