軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

565.どちらもお祝いかしら

母親目線だと「まだ六歳になったばかりなのに」と思ってしまうけれど、側近候補としては最適な年齢らしい。最低限のマナー教育が終了し、言葉での注意も理解できる。

レオンのほうが年下なのも、好ましいと聞いた。シュミット伯爵家では、そういった話がなかったから興味深いわ。家を継ぐ嫡子でなければ、次男や三男を預けるのは珍しくないそうよ。それでいくと、ユリアンの巣立ちは遅いほうなのかも。

ユーリア様から聞いた話を頭の中で纏めながら、思わぬ噂話を小耳に挟んだ。

「リースフェルト公爵夫人パウリーネ様が、この頃……お茶会などの誘いをすべて断っているそうよ」

パウリーネ様は、すこし変わった方よね。何か夢中になるものでも見つけたとか。

「先日のお別れ会で、子供が欲しいと強請っておられたでしょう? その前にも同じような発言をなさっていたの、覚えているかしら」

「ローズの時の?」

「ええ、その……贈り物を用意するような事態ではないかと思うの」

ユーリア様の言葉に、一瞬だけ首を傾げる。が、すぐに思い至った。つまり、お子様ができた可能性が?!

「まだ発表前ですけれど、食欲が増して大変らしいわ」

妊娠初期にやたら食べてしまう方、聞いたことがあります。吐くより楽なのかしら? でも貴族夫人は体を締め付けるコルセットもあるから、太ってしまったら痩せるのも大変。服も作り直しになってしまうし。

「確定したら、お祝いしたいですね」

微笑んで受け流した。まだ噂段階で、事実は不明だもの。大騒ぎして違ったら、振り回された周囲に迷惑をかけてしまう。

「それと……私も、たぶんね」

まだ安定していないけれど、と笑うユーリア様は軽くお腹を撫でた。こちらは間違いなさそう。さっきの違和感は、ユーリア様の味覚の変化ね。

「もうお医者様の診断は受けられたのですか?」

「ええ、つい先日。かなり早く気づいたみたいで、最初の診断では確証がなかったの」

「っ! 馬車に乗っては体に障ります」

ここまで馬車で来たのよね? 危ないわ、帰りは……どうしましょう。たくさんのクッションを用意したら間に合う? 慌てる私に、ユーリア様は頬を赤らめる。こっそり教えてくれたのは、夫の膝とクッションに乗ってきた話だった。

「まあ、ご馳走様」

「あら、いつもはアマーリア様が、ご馳走してくださるわ」

惚気に返した常套句へ、思わぬ反撃。顔を見合わせて笑い合った。子供が生まれる国は、発展する。育てていける環境があるから……と言われていた。この国はまだまだ発展しそう。

公爵家が相次いで子を成せば、爵位が下の貴族が倣う。すると商人や平民にも波及するでしょうね。先日ローズのお祝いを頂いた分、皆様にお返ししなければ!