作品タイトル不明
483.甘え足りないお年頃だもの
安定期に入ったのに、皆に甘え過ぎたわ。レオンは寂しかったのだと思う。いつも一緒だった私と過ごす時間が減り、抱きつくのもゆっくりと。愛情が薄れたと感じても、仕方ない状況だった。
ベッドに座り、クッションに寄りかかる。大きなお腹を支えて過ごすのは大変で、支えられた状態が楽だった。手招きしたレオンを隣に座らせ、お腹に寄りかかる姿勢にする。幼いのに遠慮しようとしたから、頭を引き寄せた。
「ここ、へぇき?」
「ええ、大丈夫よ。レオンもこうやって、お腹の中で大きくなって生まれたの」
驚いた顔をするレオンに、絵本を開いて読み聞かせる。母犬が子犬を産んで育てる話だった。真剣に聞くレオンは、このままだと寝てくれそうにないわね。それでもいいわ。
お腹の大きな母犬は、安全に産める場所を探す。見つけたのは大木のウロだった。産まれた子犬の兄弟はカラスに襲われて、母犬が探しに行く。見つけて戻って一安心。家族で幸せに過ごすところで終わりだった。
お腹の大きな母犬の話をする場面で、レオンは私のお腹に耳を当てた。まだ蹴るほど成長していないけれど、ぽこぽこと水音は聞こえたかしら。
「いもぅと、こん、くぁい?」
両手で大きさを示すから、首を横に振った。代わりに小さく手でサイズを示す。レオンが思っている半分以下よ。そう教えたら、驚いていた。お腹が大きいのに、赤ちゃんが同じ大きさじゃない。実際は羊水があるし、重さも違うのよね。
いろいろ話していたら、ようやく眠くなったみたい。私が横になると、抱きつこうとして手が迷った。その小さな手を握って引き寄せる。お腹ではなく胸の近くに頭を乗せた。
「レオンは私の宝物よ。すごく好きで、大事なの。いつでも触っていいわ。でも優しくね」
「うん、できゆ」
「ありがとう。私の小さな騎士様」
返事はなかった。首を伸ばして確認すると、目を閉じている。少し待てば、寝息も聞こえた。言葉に出して愛情を伝え、温もりと仕草で確かめてもらう。私がレオンを愛していると伝われば、不安も消えていくでしょう。
逆行した言葉遣いも戻るはずよ。もしかしたら私以外の人の前では、ちゃんと話しているかも? いろいろ考えながら目を閉じた。
お昼寝の後はおやつを食べさせて、時間があれば積み木を見せてもらおう。組み紐は今日はやめて、レオンと触れ合って過ごしたいわ。夕方、ヘンリック様が戻ったら「お話があります」と言わなくちゃね。
やることが沢山。話すのはレオンを寝かせてから、寝室で平気かしら。考えた内容がまるで夢のように、頭の中を駆け抜けて……そのまま目が覚めた。
全然休んだ気がしないお昼寝だったわ。でも、レオンはぐっすり眠れたみたいでよかったわ。寝癖を手で直しながら、お水を手渡した。
「あぃがとぉ」
一気に飲むと喉に詰まるわよ? ほら……やっぱり。咳き込んだレオンの背を叩きながら、溢れる愛おしさに頬を緩めた。