軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

204.順調すぎても不安なの

王妃マルレーネ様のお茶会では、お話しする機会がなかった。一緒に呼ばれたのに、ご挨拶程度だったの。今回はホスト役なので、いろんなお話ができれば嬉しい。

公爵夫人としての心構え、振る舞い方、お尋ねしたいことは山ほどあるわ。育児についても方針を聞いてみたい。期待に胸を弾ませた私は、案内された席についた。

お父様はやはり欠席で、エルヴィンがシュミット伯爵家の代表となる。気遣ってくれたのか、斜め後ろのテーブルに案内されていた。ここなら見守れるし、何かあればサポート可能だわ。今のところ、ユリアンは大人しい。

「ケンプフェルト公爵夫人をお迎えできて、とても嬉しく思います。ユーリアとお呼びになって」

「お誘いに加え、多くのお心遣いをいただき感謝いたします。ユーリア様、素敵な響きですね。私のことはアマーリアとお呼びください」

お互いに微笑み合い、子供達を紹介する。ユーリア様は私より一回りほど年上だった。落ち着いた雰囲気の方で、元は侯爵令嬢だったそうよ。バルシュミューデ公爵令息は、お二人。長男は成人間近で、現在は留学している。次男がレオンより三歳上で、そわそわしている。

「レオン、一緒に遊んでもらう?」

「うん」

「行こう、レオン様」

手を伸ばした少年は、ランドルフと名乗った。母親の許可を得て、レオンと走っていく。きちんと速度を合わせているから、心配はなさそうね。見える場所で遊ぶよう注意され、近くの木の下に並んで座った。

「あら……」

困った子だこと。そんなニュアンスの「あら」が聞こえて、ふふっと笑みが漏れた。

「失礼しました。うちのレオンでしたら、ご心配なく。着飾って泥遊びしたこともありましたわ」

芝の上に座ったことを咎めるようなユーリア様に、大丈夫だと伝える。これが前世なら「気にしないで、うちの子はいつもこうだから」と短くまとめられるのだけれど。貴族同士は遠回しに伝える場面が多くて、面倒ね。

「元気そうで何よりですわ」

やんちゃなのね、を丁寧に伝えられて頷く。私がユーリア様と話し始めたので、ヘンリック様がレオンを見守る。視線で追いながら、難しそうな相談に返答もしていた。器用だわ。

斜め後ろのテーブルを確認すれば、ユリアンは澄まし顔でお茶を飲んでいる。ユリアーナもお淑やかに振る舞い、同席したご夫人に褒められていた。エルヴィンは同じ年頃の令息と話が弾んでいる様子だ。

問題なさそう。ほっとした私も、お茶に手をつけた。公爵同士は同格だから、私が気遣う相手はホストのバルシュミューデ公爵夫妻だけで済む。

「このお茶おいし……」

褒めようとした矢先、子供の甲高い声が響いた。驚いて振り返る私より早く、ヘンリック様が立ち上がる。駆け寄る姿に、レオン絡みだと察して私も椅子から立った。エルヴィンが勢いよく走っていき、二人を守る位置で両手を広げる。

正面に立つのは、招待者の誰かの子供だろう。腕を組んだ大柄な子と、取り巻きらしき数人。子供の喧嘩を止められる距離で、ヘンリック様は足を止めた。振り向いて私に対応を問う。子供の喧嘩にいきなり大人が介入するのは悪手よ。目配せしたけれど、伝わったかしら。