軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

三百九十六話 欲滅の最期

ハートナー公爵領とファゾン公爵領の境目での戦いは、神話よりも人外の戦いと評するのに相応しいものになっていた。

『フハハハハ! 良いっ、実に良い! 魔王軍大幹部の地位を得るためには、人間を背に乗せる事も厭わないとはっ!』

『欲滅の悪神』ゾビュベロギアが、彼なりに手放しの称賛をルヴェズフォルに贈る。

『だからこそ、貴様は我が殺す!』

しかし、繰り出される触手に込められた殺意に揺らぎはない。

『貴様を認めたからこそ、誇りを投げ打ってでも手を伸ばした野望が潰えた瞬間の貴様の顔が見たい! 絶望と後悔の叫びを聞きたい! だから死ねぇ!』

触手を槍のように突き出し、鞭のように振るい、槌のように落とす。触手の形状は様々で、先端が刃状になっているもの、全体に鋭利な棘が無数に生えているもの、側面に吸盤や牙の生えた口が生えたものもある。

『訳が分からん!』

「【浸透撃】! 言動は変なのに強いのが厄介!」

パウヴィナを背に乗せたルヴェズフォルは、ゾビュベロギアの攻撃を正面で受け流しながら反撃を行う格闘戦を展開していた。

ルヴェズフォルでは対応できない鋭さと力が込められた触手をパウヴィナの棍棒が砕き、弾く。それ以外の触手をルヴェズフォルの尻尾や鉤爪で弾き、受け流す。ゾビュベロギアに隙が生じれはブレスを吐いて遠距離攻撃を行う。

まさに人龍一体。パウヴィナに言葉で命じられなくても、脚から伝わる体重や力の変化を読み取って動く癖がルヴェズフォルには身についていたのだ。

『貴様ら魔王軍の連中は昔からそうだ! 言葉を話す癖に会話ができない奴らが多すぎる! 寝返る事を提案された時も、首を縦に振った瞬間に殺されるのではないかと気が気ではなかったぞ!』

太古に忘れ去ったはずの不満を思い出したのか、叫ぶルヴェズフォル。それでも結局寝返った事実は棚の上に置いてきたようだ。

『異議あり!』

『一緒にしないでもらいたいっス!』

そのルヴェズフォルの叫びに対して、ゾビュベロギアよりも先に『闇の森の邪神』ゾゾガンテと『五悪龍神』フィディルグが攻撃の手を緩めず反論した。

『我だって奴らの言っている事は理解できない事の方が多いのだ!』

ゾゾガンテは枝に実った果実のような眼球から光線を放ち、また種子を弾丸のように撃ち込み、芽吹いた分身の蔓でゾビュベロギアを縛ろうとする。

『魔王軍で一纏めにして欲しくないっス!』

フィディルグは話している小指相当の位置にある首以外の四つの首で、光弾を乱打していた。ゾビュベロギアにはほとんど避けられていたが、彼の狙いはゾビュベロギアの力の供給源と化したファゾン公爵領軍だ。

光弾が地面に着弾する度に、ファゾン公爵領軍の兵士や騎士、冒険者達の多くが弾けて消える。中には光弾の爆発を掻い潜り、フィディルグに攻撃を仕掛けようとする猛者も何名かいたが、そうした猛者は彼に到達するよりも早くラピエサージュやユリアーナに倒されている。

「て、撤退だっ! 撤退―っ!」

ただ、フィディルグによって倒されたのはゾビュベロギアによって狂わされ同士討ちを始めた将兵がほとんどだったので、結果的にファゾン公爵領軍は四分の一ほどが生き延びる事に成功した。

しかし、射線上にいる間はフィディルグの光弾が容赦なく浴びせられるので、命からがら撤退していく。

その結果ゾビュベロギアのエネルギー源になり得る人間が遠ざかっていくが、彼は戦いに夢中で見向きもしない。もう十分力を得たからか、欲求を満たす事しか頭にないのか……考えるまでもなく後者だろう。

「そもそも相手の言動に惑わされるな! 重要な情報でもない限り聞き流せ! そういう鳴き声の魔物だとでも思え!」

ランドルフはそう教えながら、ヴァンダルーの骨製の短剣と精霊魔術でゾビュベロギアの触手を掻い潜り、青白い茎のような胴体に攻撃する。

「ランドルフ、触手だけではなく胴体に攻撃してもあまりダメージを受けた様子がない。弱点は他にありそうだぞ」

しかし、メオリリスが指摘した通り、触手だけではなく胴体から体液が噴出するほど深く傷つけられても、ゾビュベロギアが苦しむ様子はなかった。

体液の噴出はすぐに止まり、悲鳴や怒鳴り声ではなく嬌声があがる。

『ハハハハ! 裏切り者に魔物、アンデッドに、人間に、エルフの種を超えた共闘! まるで勇者軍のようだ! 美しいっ、美しいぞぉっ! その絆が壊れる瞬間は、もっと美しいはずだ!』

ゾビュベロギアが陶酔の混じった哄笑を響かせたと思うと、触手から怪しげな粘液を分泌して纏わせ、もしくは射出する。

ファゾン公爵領軍の約半分を狂わせた、精神異常を起こさせる毒だ。

「ヴァンっ!」

『呪にせよ毒にせよ、任せてください』

しかし、『呪毒の邪神』ドボペゼパルオの呪毒すら【消毒】し、勇者や『法命神』アルダが施した封印すら解除するヴァンダルーの分身である使い魔王がパウヴィナ達にはついている。

もちろん、だからといって攻撃を甘んじて受ける理由にはならないので、ゾゾガンテやフィディルグが光線や光弾を爆発させて粘液の殆どを防いだ。

いくつかはルヴェズフォルに当たったが、人間を狂わせるための毒が亜神である彼にそうそう通じるはずがない。

『うぐ!?』

触手が側頭部を掠め、鱗と血が飛び散り、やや頭がクラっとして意識がぼやけたが。

「ルヴェズっ!」

『GAAAAAAA!!』

しかし、とっさに頭で考えるより先に体が主の意思に従う。パウヴィナはその段階までルヴェズフォルを飼いなら……絆を育んでいた。

首を捻り、自身の側頭部を削った触手に噛みついて食い千切る。それと同時に使い魔王が、僅かに効いていた毒を消す。

「普通の意味でのテイマーとしての腕は、ヴァンダルーよりパウヴィナの方が上だな」

メオリリスがそう卒業生を評価したのを聞き流しつつ、ルヴェズフォルは呻くように言った。

『ぐぅ……奴の言動がおかしいのは十万年前からだが、攻撃的過ぎる。我の記憶が確かなら、奴は前線に立って自ら戦う性格ではなかったはずだ』

『たしかに、十万年前の奴はそんな感じだった』

『そもそも、戦い自体にはそれ程関心はなかったはずだ。弱いわけではなかったが』

フィディルグやゾゾガンテの記憶にあるゾビュベロギアも、ルヴェズフォルの言う通りだった。勇者が召喚される前から、ゾビュベロギアは前線に出ず、人間や動植物を狂わせ堕落させることを優先していた。

全く親しくないどころか接点もほぼなかったが、ゾビュベロギアは大幹部なので魔王軍の窓際だった彼等の耳にも大雑把な動向の情報は入ってきた。自身の動向を偽ってまで戦果を少なくする理由は彼にないだろうから、真実だろう。

本来のゾビュベロギアなら、この場で戦い続ける事に固執せず、逃げて姿を隠してから陰謀を巡らせたはずだ。

さらにルヴェズフォル達は気が付かなかったが、ゾビュベロギアが人を狂わせる方向性もおかしかった。ファゾン公爵領軍を狂わせた時は同僚や上官への裏切りが殆どだったが、本来のゾビュベロギアが人間を狂わせる時はありとあらゆる背徳や身を亡ぼす欲を植え付けていた。

配偶者や恋人のいる異性や同性、幼い男女やその逆に老年の男女、動物への抑えきれない欲情や衝動。強姦、略奪愛、死者への凌辱、日常的に同族の肉を好んで欲する共食い……まさに何でもありである。

そう考えてみると、ファゾン公爵領軍にとってはゾビュベロギアがグドゥラニスの魂の欠片を埋め込まれたのは僥倖だったかもしれない。狂っている方が人から見ると正常に近く感じるとは、邪悪な神とは妙な存在だと言えるだろう。

『それがどうした!? 我の攻撃性が旺盛なら、貴様らが勝てるのか!? できるのならやって見せるがいい!』

しかし、ゾビュベロギアの言う通り、グドゥラニスの魂の欠片によって彼が狂い、乗っ取られつつあることはルヴェズフォル達との戦いに有利にはあまり働いていない。

触手を何本も切断され、砕かれたゾビュベロギアだが、その生命力はまだまだ旺盛だ。すぐに触手を再生させて、元通りになってしまう。胴体に受けたランドルフの攻撃も、メオリリスの指摘通り致命傷には至っていない。

フィディルグによって力の源になっていた人間達を一掃されても、まだその勢いに衰えは見られない。やはり、邪神としての格がフィディルグとは違うのだろう。

『たしかに、その通りッス』

『返す言葉もない。しかし……』

『我々だけで勝つ必要はないのだ、間抜けめ』

しかし、ルヴェズフォルにもフィディルグにも悲壮感は浮かんでいない。

『なんだと? 我との力の差を思い出して気でも狂ったか? 今なら、どれか一柱だけなら見逃してやってもいいのだぞ?』

「いえ、もうお前はそれを言える立場ではありません」

『っ!?』

不意に聞こえた声に向かって、反射的に触手を繰り出すゾビュベロギア。だが、その触手は髑髏型の黒い炎に焼き千切られてしまった。

『!!??っ』

「俺が来ましたから」

そこに居たのは、二柱の獣王からグドゥラニスの魂の欠片を食べて除去し終えたヴァンダルーだった。

元々ルヴェズフォル達はゾビュベロギアを自分達だけで倒そうとしていていたのではない。ヴァンダルーが来るまで、ゾビュベロギアをこの場に留めるために時間稼ぎをしていたのだ。……パウヴィナとユリアーナは倒そうとしていたが。

「ヴァン、もうタイムアップ? あたし達まだ頑張れるよ~?」

「無念っ、倒すどころか有効打すら与えられなかったなんて……!」

『う゛う゛!』

そう二人とラピエサージュも悔しがっている。

「タイムアップです。それにルヴェズフォルとフィディルグが、目で訴えていますし」

『『っ!?』』

態々口に出さなくてもいい事を、何故!? と驚く二柱。特にルヴェズフォルは、今後の訓練を厳しくする口実にされたらどうしてくれると、非難がましい目を向けた。しかし、パウヴィナは「それなら仕方ないか」と、素直に引き下がった。

「あと、ランドルフ先生とメオリリス先生はこっちに来てください。ミルグ盾国の方で手が足りなくなりそうなので、援軍に向かって欲しいので」

「アンコールか。まあいいだろう」

「ランドルフ、この戦争を乗り越えたらお前は長期の休暇を取るべきだ」

そう話している二人を、ヴァンダルーは【装魔界術】で【体内世界】に入れ、一瞬使い魔王に入れ替わった後また戻ってきた。

その一瞬で二人を戦場に送り届けてきたのだろう。

そんな会話を繰り広げている間にも、ゾビュベロギアはヴァンダルーに向けて触手による攻撃を繰り返している。

しかし、それは黒い炎や電撃で次々に焼き切られていく。

『おおおっ! 憎いっ! なんだ、この憎しみはっ!? なんなのだ、この苛立ちは!? この怨念は、この怒りはいったい何なのだ!?』

触手を一本失うたびに致命傷ではなくても、かすり傷とまではいえないダメージを受けている。さらに、実際に受けているダメージ以上に痛みも感じている。

それでも攻撃するのを止められない。それほどの負の感情をゾビュベロギアはヴァンダルーに覚えていた。あれだけ称賛し殺そうとしていたルヴェズフォルの事すら、もう彼の頭にはなかった。

『何故だ!? こんな憎しみや怒りに駆られて動くのは我ではないっ! 我の在り方ではない! なのにどういう事だ!?』

苛烈な攻撃は続けたままだが、戸惑っている様子を見せるゾビュベロギア。その様子から、今まで遭遇したグドゥラニスの魂の欠片を埋め込まれた魔王軍幹部とは違うものを感じたヴァンダルーは、話しかけてみた。

「グドゥラニスの魂の欠片が寄生しているからです。その影響で、俺に対して強い怒りや憎しみを感じているのでしょう」

もちろん、ゾビュベロギアの攻撃を防ぎ、カウンターで焼き潰し、斬り刻みながら。この問いかけも、ゾビュベロギアが応じる事を期待しての事ではない。

『な、なんだと!?』

しかし、意外な事にヴァンダルーの言葉はゾビュベロギアに届いた。

『この怒りも憎しみも、我ではなくグドゥラニス様のもの……それに魂の欠片という事は、グドゥラニス様は負けたのか!? ならば……グドゥラニスの魂の欠片をどうにかする方法はあるのか!? 封印されるしかないか!?』

そして、なんとグドゥラニスを呼び捨てにして魂の欠片をどうにかする方法を求めてきた。

『早く答えよ! 我でも長くは堪えられない!』

しかも、全身を小刻みに震わせながらもヴァンダルーに対する攻撃を止めて。

今まで、『殺してくれ』と懇願した神はいるが、完全に攻撃を止める事ができた神はヴィダ派の神にもいない。

「俺が除去できます。じっとしていてください」

なので、とりあえずは助けてみる事にした。裏切られても問題はない。距離を取るよう、ユリアーナが跨っている馬型使い魔王を通して指示も、既に出した。

『た、頼むっ、助けてくれ! 助けてくれれば何でもするっ! グドゥラニスが圧倒的な力の持ち主だったが故に従っていたが、敗北して肉も魂も千々に割かれた敗北者に蝕まれるなど、我慢がならないのだ!』

勇者軍に敗北したというのなら、ゾビュベロギアもグドゥラニスと同じなので大きな事は言えないのではないかと、距離を取ったルヴェズフォルは思った。しかし、一応邪悪な神の一柱であるフィディルグとゾゾガンテは、自分と同程度の存在に忠誠を誓う価値はないという事だろうと察した。

ヴァンダルーは霊体を伸ばし、ゾビュベロギアの魂に触れようとした。

『あ、ありがとう。まさか、魔王軍の大幹部だった我を助けてくれるとは思わなかった。本当にありがとう、お前は我が恩人……いや、大恩人だ。だから……仇で返す! 死ねぇ!』

ゾビュベロギアはそれまで衝動を抑えていたのが嘘かのように素早い動きで触手を一斉に動かし、ヴァンダルーを絡めとる。そして、触手が生えている部分にあった丸い口を開くとそのまま食ってしまった。

『あははっははははは!! 喰ったっ、喰ってやったぞ!』

グドゥラニスが敗北した、そして自分に彼の魂の欠片が埋め込まれ支配されつつあるのが我慢ならなかったのは本当だ。心から助けを求め、それに応じてくれたヴァンダルーに感謝した。

だから、裏切る。恩を仇で返して、自分を含めた何もかも滅茶苦茶にして破滅する。それでこそ『欲滅』の名を持つゾビュベロギアの在り方だ。

そのためなら怒りも憎しみも攻撃衝動も、どんなに苦しく辛くても悦んで耐えられる。

『ひはははっはあははははっ! アヒャヒャヒャアヒャヒャヒキハハハハ!』

この後、グドゥラニスに乗っ取られるとしても何の後悔も覚えないだろう。それほどの快楽を得たゾビュベロギアは、高らかに嬌声を轟かせた。これでルヴェズフォル達が悔しがっていれば、ゾビュベロギアにとってさらに素晴らしいのだが……。

『だから言っただろう。意味はないぞ、裏切られるだけだぞ、と』

「ええ、俺も九割九分九厘そうだろうなとは思っていました。でもまあ意味はありましたよ。ひひーん」

『ハハハっ!? は……?』

しかし、ルヴェズフォルは悔しがるどころかユリアーナが跨った馬型使い魔王……を本体に変化させて現れたヴァンダルーと話をしていた。

「あの、それで意味とは? 後、新しい馬を出してもらえませんか?」

馬型使い魔王がヴァンダルーに変化したために、彼の小さな背中にしがみつくようにして跨っているユリアーナがそう聞くと、ヴァンダルーはゾビュベロギアを指さした。

『な、何故そこに、にににっ? な、なにがっ……がびゅっ!?』

その指の先で、ゾビュベロギアは不自然に震えながら苦しみだした。そして、ついさっきヴァンダルーを飲み込んだ口を開いたと思うと、そこから濃い血の色をした霧を吐いた。

【貪血】だ。

「あいつの体内にいる使い魔王で、体内から攻撃しています」

ゾビュベロギアは知らなかったが、ヴァンダルーは本体と分身を入れ替える事ができるようになっていた。だから、本体だけを拘束して丸呑みにしても意味はない。もしかしたらゾビュベロギアの体内は魔術的に外部と隔離されていたのかもしれないが……大神の神威すら砕くヴァンダルーに、その程度の対策が有効なはずはない。

『ぎゃはっ! ヒガガっ! ギッ……』

体の内側から無数の微生物に肉と魂を削り取られるように喰われながら、ゾビュベロギアが触手をヴァンダルーに向かって伸ばそうとした。

最期にせめて一矢報いようとしているのか、それとも再び命乞いをしようとしているのか。

「そして、これで終わりです」

しかし、ヴァンダルーはそのどちらだったとしても興味はなかった。彼がそう言った次の瞬間、ゾビュベロギアの体が内側から猛烈な勢いで膨張する。

『ぽっ――』

そして、最期の言葉を打ち消す程の爆音を轟かせながらゾビュベロギアは内側から爆散したのだった。

《【魔王の嗜虐心】、【神格:欲滅神】を獲得しました!》

《【魔王の嗜虐心】が【真魔王】に、【神格:欲滅神】が【亜神】に統合されました!》

『斬影』のレオナルドは、剣にしか生きなかった男だ。金は全て剣と己の技を高めるためにつぎ込み、食事はただのエネルギー源で、女は性欲の解消のための道具でしかない。勲章も叙勲も断って、斬り甲斐のある対象を探しては斬り続けていた。

そして気がつけば、アミッド帝国の切り札、『邪砕十五剣』の一人となっていた。

だが、それでもレオナルドは変わらない。帝国が神聖国になっても、忠義や信仰心は一切持たず、斬り甲斐のある対象を求める。

「その最後がお前だ。俺程の剣士に見込まれた事を、感謝しろ!」

「誰が感謝するか! 人斬り野郎に見込まれても、迷惑なだけだぜ!」

顔に赤黒い血管が浮き出て文様のようになっているレオナルドの剣を、シュナイダーは素手で捌く。体の一部に魔力を集中させ、硬度を増しているのだ。

これでシュナイダーはオリハルコン製の武器を持つ達人とも渡り合ってきた。

「チィッ! 気色悪い剣に乗り換えやがって!」

だが、その腕に幾筋もの切り傷が刻まれている。血はほとんど止まっているが。

「気色が悪いとは失礼だな。神聖国で今大流行の【魔王の装具】の一振りだってのに」

レオナルドは、シュナイダーとの戦いを始めてすぐ最初に使っていた剣を折られ、今は二本目の剣を使っていた。

それは黒い刀身の両刃の直刀で、切っ先が鋭く尖っている【魔王の欠片】の封印を利用して作った【魔王の装具】だった。

「【魔王の吻】と言うらしい。カジキって魚の長く尖った顎の部分だとか何だかと、これを寄越した教皇陛下が言ってたぜ! どうでもいいがな!

そう言うお前こそ、魔術を使っている様子もないのに傷の治りが早いぞ、気色悪い」

「ああ、ちょいと人種を辞めたのさ!」

レオナルドの【魔王の装具】の斬撃で受けたシュナイダーの傷は、早くもふさがりつつあった。彼は既に冥系人種になっていた。

「まだ人種ではあるから、正確には違うがな! それに、てめえの剣や体と一緒にされるのは不本意だぜ!」

「そうか、斬り甲斐が上がったなら結構な事だ! だが、そろそろ健康を永遠に気にしないでいいようにしてやるよ! 【魔王の心臓】よ、もっと俺を滾らせろ!」

そうレオナルドが叫ぶと、周囲の大気にまで伝わるほどの勢いで彼の【魔王の心臓】が鼓動を刻みだした。

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名前:レオナルド

種族:人種

年齢:42

二つ名:【斬影】、【邪砕十五剣】、【女神の仇敵】

ジョブ:暗夜剣士

レベル:80

ジョブ履歴:見習い戦士、戦士、剣士、魔剣士、盗賊、暗殺者、暗闘士、惨殺剣士、魔剣使い、魔闘士、闘剣士、処刑剣士、剣魔、大剣士

・パッシブスキル

全能力値増大:小

剣装備時攻撃力増大:極大

非金属鎧装備時敏捷増強:中

能力値強化:指令:5Lv

自己強化:殺業:10Lv

殺業回復:10Lv

気配感知:7Lv

精神汚染:4Lv

直感:2Lv

魔王侵食度:1Lv

・アクティブスキル

惨剣術:10Lv

短剣殺術:10Lv

鎧術:10Lv

限界超越:10Lv

忍び足:10Lv

鍵開け:3Lv

罠:4Lv

魔闘術:8Lv

暗闘術:10Lv

魔剣限界超越:10Lv

連携:3Lv

指揮:1Lv