軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

閑話69 神の関係者達

アサギ・ミナミがひとまず納得して穏便に事が治まったのに安堵しているのは、地上の人々だけではなかった。

『ああ、よかった』

『全くだ。こっちからは干渉できないし、アサギはこういう時に限って【御使い降臨】を使わないし』

『使ったとしても、結局私達のいう事に耳を傾けるか分からないけれどね』

ロドコルテの神域で輪廻転生システムを必死に回しながら何かを企んでいる、円藤硬弥、町田亜乱、島田泉の三人だった。

彼らはロドコルテの神域からアサギ達を、事が穏便に済むよう祈るような気持ちで見守っていた。何故なら、今の彼らには見守る以外できる事がなかったからだ。

神ではなく御使いでしかない彼らは、自身の判断で神託を下す事は出来ない。そのため、アサギやテンドウ、ショウコに彼等からメッセージを送る事は出来ない。

アサギ達が【御使い降臨】を使えば、彼らの体に降りて意思を伝える事は可能だ。しかし、アサギ達は大事件が終わったばかりで平和なオルバウムに滞在しているためその機会はなかった。

それならロドコルテがアルダに行動不能にされる前に、アサギをどうにかするべきだったという意見もあるだろう。しかし、それが可能だったらとっくにテンドウとショウコが彼を更生させている。どうにもならなかったから今の状況になっているのだ。

もっとも、結果的には穏便に事は収まった。

『ただただマリやヴァンダルーに感謝だ。アサギがもし殺されていたら、霊になった彼はヴァンダルーに導かれていただろうから……ウザいって理由だけで魂を砕かれる事はないだろうけど、適当なゴーレムに入れられて数千年単位で放置される事は十分考えられたから』

ヴァンダルーの行動に何かと文句をつけてきたアサギだが、死んで霊になれば彼の導きの影響からは逃れられない。何せ彼はヴァンダルーの事を仲間だと思っているのだ。ヴァンダルーが認めていなかろうと、導きには関係ない。あっさりと導かれるだろう。

ロドコルテも行動不能になっているから、地上から魂を回収する事も出来ない。もしかしたら、死んだ次の瞬間には輪廻転生システムに還る可能性もないわけではないが、まず無理だろう。

だが、ヴァンダルーがそんなアサギの霊をどう感じるかというと……考えるまでもない。

『アルダの御使いはどうだ?』

『さあ、ここからは動きが見えないけど、騒いでいる様子はないから大丈夫だと思うわよ』

アルダが亜乱達を見張るためにロドコルテの神域に配置している彼の御使いは、神域の出入り口にあたる場所で彼らがアサギ達にヴァンダルーに協力するよう吹き込まないか、警戒して見張っていた。

皮肉なことに、ヴァンダルーの敵であるアルダには、アサギはヴァンダルーの仲間だと思われている。正確には、何かきっかけがあれば協力し合う関係だと思われているのだ。

『あの様子じゃ先は分からないが……少なくとも事が済むまでは大人しいだろう』

『じゃあ、憂いもなくなった事だし作業を進めますか』

そして、三人は安堵して作業に戻った。

【ノア】のマオと【超感覚】のゴトウダがいるラベルタ列島では、復活したグドゥラニスがヴァンダルーによって倒され、アミッド帝国がアミッド神聖国と国名と体制を変え、境界山脈が動いても特段変化のない時間が過ぎていた。

バーンガイア大陸とラベルタ列島の間には船で一月以上かかる距離があり、船での行き来も頻繁にあるわけではないためだ。後一カ月もすれば船の乗組員や船長が酒場でグドゥラニスがダークアバロンという奴のせいで復活したが、討伐されたらしいと土産話をし、交易商人が情報を交換する事で話が伝わり、ちょっとした騒ぎになるだろう。

そして一月と半月もすれば、境界山脈が動いた事……それ以上にファゾン公爵領が鎖国した事で島の商業ギルドは大騒ぎになるだろう。

とはいえ、交易に直接関係ない列島の住人にとってバーンガイア大陸での出来事は、遠く離れた世界の出来事でしかない。交易に関わる者達は商売に差し支えるのではないかと頭を悩ませ、船乗りの家族は夫や息子が無事に帰ってこられるか不安を覚える。その程度である。

「いやー、今日も商売日和ね。あ、今日は商業ギルドに顔を出しに行くから、その間店番よろしく」

「はいはい、店長」

マオの店はゴトウダが住み込みで働きだしてから、ドワーフの店長とエルフの店員がいる店として珍しがられていた。

二人とも元冒険者なのも、注目される理由だった。

二人がバーンガイア大陸で起こっている事を知るのも、約半月後になる。冒険者稼業から離れた二人は【御使い降臨】を使う必要が無いし、亜乱達も逐一情報を伝える必要を感じなかったからだ。むしろ、頻繁に情報をやり取りすると、危険を呼び込むことになるかもしれないとしばらく前から亜乱達には考えられていた。

実は二人のいるラベルタ列島から何人かの英雄候補が船でバーンガイア大陸へ旅立っていたが、マオとゴトウダはそれを知らなかった。

英雄候補達が、加護を得た事はパーティーを組んでいる仲間以外には黙っていた事。そして普段から船の護衛を兼ねて、島を出てバーンガイア大陸や他の島へ向かう冒険者はいるので、彼らもそうした者達だろうとしか思わなかったからだ。

知っていたとしても、マオとゴトウダには彼らを止める事は出来なかっただろう。

一方、『法命神』アルダは二人の転生者が島にいる事を知っていたが、今はまだ放置しておいて構わないと考えていた。というか、手を出す余裕と意味が無いと考えていた。

二人はヴァンダルーに協力している訳ではなく、逆に敵対している訳でもない。自分達の勢力の神を信仰している訳でもない。

そんな二人に対してエイリークに神託を出して暗殺者や、逆に勧誘するための人員を送り込むにしても、彼女達がいるのはバーンガイア大陸から離れた位置にある島で、行き来に時間がかかる。

暗殺者を送り込むにしても、【超感覚】のチート能力を持つゴトウダを暗殺できる暗殺者は少ない。そして暗殺が成功したとして、二人はヴァンダルーの仲間ではないのでヴァンダルーの戦力が低下する訳ではない。もし暗殺者が返り討ちにされれば、こちらの戦力が低下する。

むしろ、ロドコルテの神域で輪廻転生システムを動かしている御使い達が二人の死をきっかけに反発し、システムを止めたら危険だ。

勧誘する場合でも、成功したとしても手に入るのはC級冒険者相当が二人だけ。チート能力はあるが、それも含めてアルダにとって何を考えているのか分からない転生者二人を手駒に加えるよりも、指示を聞く英雄候補の育成に手間をかけるべきだと判断していた。

そして、ヴァンダルーもマオ達に関わっている暇はないと考えて……正確には、興味関心がなかった。

マオの【ノア】以上の運搬能力を持つサムやクワトロ号が仲間にいるし、ゴトウダの【超感覚】はヴァンダルー自身の感覚が【魔王の欠片】で強化できるため、必要というには程遠い。

二人がアルダ勢力に加わるなら敵として対処しなければならないが、島から動いていないのでその必要もない。

二人が暮らしている島にも、ヴィダの新種族の復権やヴィダ信仰の布教のために将来的には訪れる事になるだろう。何事もなければ、それは近い未来だったかもしれない。だが、アミッド神聖国やファゾン公爵領が動いた事で状況は変わった。

島でヴィダの新種族に対して酷い迫害が行われているならその限りではないが、そんな事もない。

つまり結局は、ヴァンダルーにとって優先順位が低いのだ。

こうして二人の転生者は、当人達の望み通り世界の未来を賭けた戦いの蚊帳の外に置かれ続けている。

その頃、アミッド神聖国とファゾン公爵領では、神による奇跡が連日起きていた。

「ダンジョンが出現したぞ! 今度は『兵の神』のダンジョンだ!」

「もう『兵の神』の加護を受けた英雄が攻略に向かっているらしい。俺達も行くか?」

「いや、まずは加護を受けている連中に譲ろう。あのダンジョンの本来の役目は、加護を与えた英雄を鍛える事だからな」

かつて『雷雲の神』フィトゥンが自身の英霊を憑依させた急造の英雄達を鍛えるのに、自身の『試練のダンジョン』を使ったように、アルダ勢力の神々が自身の『試練のダンジョン』の入り口を地上に降ろしているのだ。

それにより、英雄候補達を更に鍛えるために。

地上に『試練のダンジョン』を降ろすのは、本来なら禁じ手だ。降ろすために力を使うし、地上に降ろしたダンジョンがもし暴走してしまったら、ただでさえ魔物が大量発生している地上へさらに魔物をばらまく事になる。

そして事が済んだ後、『試練のダンジョン』を回収するのにも力を使う。

それにこうした『試練のダンジョン』は選ばれたごく一握りの存在のみが挑戦できるから、有難味が出るのだ。誰でも歩いて挑戦できるのでは、ただ普通より難易度が高いだけのダンジョンでしかない。

それでも一つならありがたがられるかもしれないが、アルダ勢力の神々が次々に『試練のダンジョン』を降ろすので、信仰に熱心なアミッド神聖国の人々の認識から早くも神秘性が消え始めている。

人々も神々がそこまでしなければならない非常事態である事は分かっているが、次々に出現する本来なら選ばれた者のみが挑戦できる試練に対して、興味関心を個別の『試練のダンジョン』に持てなくなっているのだ。

アルダ勢力の神々もそれを感じ取っている。感じ取っているが、「今は非常時故、仕方がない」と考えている。「世界の存亡をかけた戦いの前なのだから」と。

そう、神である彼らの頭の中にも、ヴァンダルーを倒すことで世界は救われるという考えが詰まっている。ヴァンダルーを倒せばボティンやペリア、リクレントにズルワーンも正気に返り、ヴィダは今度こそ零落して神の座から消え失せ、世界はより良い方向に向かうはずだと、それが正しいのだと認識している。

彼らは独立した神であると同時に、生前はアルダを頂点としたアルダ教の信者だった。『法命神』アルダを神々の長と崇め、信じてきた者達だ。

神となった今でも、彼らはアルダを信じ崇めている。

冷静に考えればヴァンダルーを倒したところで、アルダとそれ以外の大神との間にある溝は深まる事はあっても浅くなることはないと分かるはずだ。

十万年前と同じ事を繰り返す事で、何が変わるというのか。彼らは誰一人としてそれを考えない。

そもそも、ヴァンダルー達を相手にアルダ勢力が勝てる見込みはそう多くない。戦いが終わった後、この世界の総人口が数千人以下になっても構わないと、総力を結集したとしても。

そして、ヴァンダルーを倒したとしてもこの世界に広がる魔境が直接消えるわけではない。そして、輪廻転生システムの問題もアルダがロドコルテに法の杭を打った以上、ヴィダ式輪廻転生システムを破壊しても解決しない。

ヴィダのシステムを破壊するだけでは、既にそのシステムに取り込まれている魂は行き場を失うだけだからだ。その後、ロドコルテが魂を回収しなければならない。

本来の予定では、ヴィダ式の輪廻転生システムに取り込まれている魂の内、ランクを持たない者の魂はロドコルテ式輪廻転生システムに吸収するはずだった。

しかし、ロドコルテは現在杭を刺されて行動不能。ヴァンダルーを倒した後アルダが彼を解放したとしても、ロドコルテが自分を杭で滅多刺しにしたアルダとの約束を反故にしない保証はない。

もし約束を反故にされれば、アルダはエイリークを通じて発したヴィダの新種族の存在を認めアルダ融和派を正当とするという言葉を反故にする事になる。

それではもしヴァンダルーとの戦いに勝利したとしても、生き残った人々に対して小さくない不信感を持たれる事になるだろう。

だが、アルダ勢力に残っている従属神達はそうした事に気が付かず、考えない。何故なら、バシャスやエルクのように気が付いた神や考える事が出来る神は、既にアルダ勢力から離反するか距離を置いているからだ。

残った神々はそれが出来ない者か、アルダを盲目的に支持しているかのどちらかである。

『全ては正義のために。我が子らよ、子羊たちよ、我が照らす道を行け』

そして『法命神』アルダ自身も、そうした事には気が付いていない。従属神達と同じように、彼もヴァンダルーに勝つ事だけに全てを注いでいるからだ。

ゲラルド・ビルギット公爵は、ファゾン公爵達を評して「聖戦をしている」と評した。しかし、それはアルダと彼に従う多くの従属神達にも当てはまる事だった。

そのアルダは、追い詰められている。

『エドガーを失ったが、ハインツ達はより強くなりつつある。特にハインツはベルウッドとの同調も進み、【英雄神降臨】の効果は上がり制限時間が伸びている。ハインツがベルウッドにではなく、ベルウッドがハインツに合わせているのが気がかりだが……。

英雄候補達も、成長著しい。以前に選ばれた者も、新しく選ばれた者も』

『五色の刃』の戦力は、高まりつつある。英雄候補達も同様だ。

しかし、アルダはまだ足りないと考えていた。そう思うのが当然なのだが。

だがしかし、新しく打てる手は少ない。追い詰められたあまり、かつて『雷雲の神』フィトゥンが【マリオネッター】のハジメ・イヌイを使って行った禁じ手……信者達を廃人にして英霊に仮の肉体として使わせることも考えたが、信者達を使うのは様々な意味で難しいと判断したので諦めた。

フィトゥンがあの禁じ手を実行できたのは、肉体を乗っ取って依り代にした転生者の存在が大きい。そうでなければ、地上に干渉するのに力を大きく消耗する神が、信者を何人も廃人にはできない。それに、脳も含めて肉体に障害を残さず人を廃人にするのは、当然だが難しい。

記憶や人格は壊さなければならないが、目や耳などの感覚器官や運動機能にまで影響が出ては、英霊を宿らせても本領を発揮できない。

そして何より、事が露見した場合信者達の信仰心が揺らぐと考えたからだ。

『その分エイリークは上手くやってくれているが……それでもまだ足りない』

そう語るアルダの前には、封印されたグドゥラニスの魂の欠片があった。ロドコルテの神域から回収した封印もここにあるため、ヴァンダルーに喰われたものを除いたグドゥラニスの魂全てが揃っている。

『これを使えば、ヴァンダルーに対する大きな武器になる。だが、同時に解放したグドゥラニスをヴァンダルーに喰わせなければ大きな災いになり、そうすればヴァンダルーを強化してしまう』

ヴァンダルーを倒さなければ、この世界は救えない……正しい理想の姿を取り戻すことは永遠にないとアルダは確信している。

しかし、同時にグドゥラニスを復活させることの危険性も理解している。

『だが、このままではヴァンダルーに勝つ見込みは薄い。ならば……使い方を考えるしかあるまい』

迷った挙句、アルダはグドゥラニスの魂の欠片に手を伸ばした。

その頃、アルダ神聖国のトップに立つ教皇エイリーク・マルメは、神から与えられた聖務に熱中していた。

「転生の儀は進んでいますか?」

「はい、つつがなく」

「候補者の選定に問題はありませんか?」

「もちろんです」

エイリークが会話を交わしているのは、神の忠実な使徒たちだ。仮に、神から捧げよと言われれば躊躇わず命を……自分のものだけでなく、親兄弟や恋人や妻や子供のものであっても、喜んで捧げる真の聖職者達である。

「繰り返しますが、選定に問題はありませんね? 数を確保するために条件を我々の判断で緩める事は、神の意志に反する事になります」

「もちろんです」

だからこそ、彼らは聖務に厳しい。自身の意思よりも神の意志を優先するため、勝手な判断を下さない。

「該当者はシュナイダー達『暴虐の嵐』にだいぶ消されましたが、十分な数があります」

「条件を緩める必要性もありません。もしもの時は、我々の身を捧げるつもりでしたが……」

「本来なら嘆かわしい事ですが、これも神の采配でしょう」

そして選ばれた候補者達は、鎖に繋がれ彼らによって丁寧に壊され『転生』させられていく。

そして、ここにも神を熱心に信仰する者達がいた。

「バシャス様っ! 降臨、おめでとうございます!」

巌のような顔に筋骨隆々とした肉体を持つ大男が、陰のある美女の前で膝をつき、頭を下げていた。

彼の名はアーサー。見た目は怖いが純粋で善良な心を持つ青年である。

「あ、ありがとう、アーサー。こ、こんなに喜んでもらえるなんて、わ、私、嬉しい……!」

そして美女は、彼が奉じる『雨雲の女神』バシャスだ。マリによって依り代となる肉体を得て、魂の何割かを降臨させたのだ。

見る者が見れば彼女からただ者ではない雰囲気……神聖な力を感じる事ができる。女神である彼女が念じれば、晴天は雨天へと変わり、彼女とその信徒に仇なす者は凶兆に襲われるだろう。

「こ、こんなに喜ばれたの、本当に初めてっ。私なんかを信仰してくれてありがとう!」

しかし、今は涙ぐんでいるただの美女である。

気象だけでなく、水害などの凶兆を報せる女神として信仰され、ここ数百年は信者も少なくなってきていた彼女は自己評価が低かった。

「何をおっしゃいますか! バシャス様より加護を賜ったからこそ、今の私があるのです! おかげで妹と親友共々素晴らしい友を得て、この力を世のため人のために使う事が出来ます!」

「「感謝いたします!」」

アーサーと彼の妹、カリニア。そして幼馴染のボルゾフォイ。彼らもバシャスに感謝していた。バシャスが『闇夜の女神』ゼルゼリアや『影の神』ハムルに勧めたのをきっかけに、彼女達は加護を得たからだ。

「わ、私もです!」

そして偶然アーサー達と出会って仲間となり、彼らと付き合うようになったミリアムも感謝の気持ちは同じだったが……。

「ああ! ミリアム、あなたには私こそ感謝しているの! ありがとう、この子達を受け入れてくれて。あなたがこの子達が暮らす村に訪れた事こそ運命だったのよ。

『雨雲の女神』の名にかけて、これからもずっと……私が存在する限り、永遠に……あなたの事を愛しているわ」

ごうごうと何かが激しく渦巻くような気配に、炯々と光るくせに底の見えない暗い瞳。女神の自分に対する評価が、過剰にランクアップを繰り返している。

「ひゃ、ひゃいっ!」

バシャスに抱き寄せられその瞳に凝視されたミリアムは、そう返事をするのが精いっぱいだった。

ヴァンダルーで慣れた気になっていたが、やはり本物の神様の迫力は違う。それとも、彼はあれで普段から色々と加減しているのだろうか? それに女神の愛ってこんなに圧力を感じるものなのだろうか?

ミリアムはそんな事を考えつつも、同時にアーサー達とバシャスは似た者同士だと確信した。

そうなるとゼルゼリアとハムルもそれぞれカリニアとボルゾフォイと似ているのだろうかと、ふと思ったミリアムだったが、さすがにそれはないだろうと思い直した。

「それで、これからの事だけど、私もあなた達と一緒に――」

戦いたいというのだと、ミリアムは思った。

「歌って踊りたいのだけど、だ、大丈夫かしら?」

「もちろんです! ……えっ?」

思わず聞き返した彼女だったが、それは力強く頷いた後だった。