軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

三百七話 入学と勇者に備えよ

どんなに不安でも、勇気を持って踏み出さなければならない。

そう覚悟した彼女達の決断は速く、それを受けた者達の行動は彼女達の予想を超えて速かった。

「……行きます!」

「くぅっ」

彼女は普段は穏やかな美貌を、青ざめさせ悲壮な表情で、見るからに恐ろしい魔物と対峙していた。横では、彼女と同じ境遇の親友も悔しげに呻いている。

「行きますからっ、それだけは勘弁してください!」

「この大魔王っ! 筋肉マニアっ! 後、その手先め!」

涙目になって懇願する彼女と、罵倒になっているか微妙な言葉を並べる彼女の親友。そんな二人と対峙する魔物……老人に似た頭部と虎の胴体、そしてサソリの尻尾を持つマンティコアは油断なく、口の中で密かに呪文を唱えつつ、間合いを計っていた。

マンティコアは、ランク6。バーンガイア大陸の冒険者ギルドでは、B級冒険者でなければ倒せない強力な魔物とされているが、この大陸での立場は食物連鎖の最下層だ。ネズミどころか、その餌のムシケラのような存在である。

相手が強そうに見えなくても、油断する事はない。

「ふっ!」

事実、穏やかそうな女の踏込みは鋭く、マンティコアは慌てて前足を振り上げて迎撃しなければならなかった。

「だああ!」

だが、マンティコアの脇腹に釣り目の女の蹴りが突き刺さった。

「グアアアアアア!?」

釣り目の女、ベストラはつま先に生えた鉤爪でマンティコアの臓腑を抉り取り、絶叫をあげさせる。

「呪文は途切れさせた! セリス!」

「うんっ!」

セリスはマンティコアの前足を力任せに跳ね除けると、血と叫び声を吐いている老人に似た額に拳を叩きつけた。

「ギィ!?」

自分以上の怪力によって放たれた拳により、マンティコアの頭蓋が軋み、意識が途切れる。しかし、それでも人類の天敵として生み出された魔物の端くれ。本能だけで蠍の尻尾を繰り出し、毒針でセリスを刺し殺そうとする。

『危ないぃ!』

しかし、槍の穂先より鋭いはずの毒針は、セリスの背に刺さる前に、閃いた光線によって焼き切られた。

そしてマンティコアの悪足掻きは、そこまでだった。続けて放たれたセリスの拳が頭蓋骨を割り、ベストラの蹴りが首を切り裂いた。

断末魔の叫びをあげる間もなく、マンティコアは崩れ落ちた。

「……か、勝った……の?」

「ああ、多分……」

「色々、危ない点もありましたけど、あなた達の勝ちです」

セリスとベストラに、ヴァンダルーはそう声をかけた。

モークシーの町の孤児院のシスターであり、原種吸血鬼ビルカインによって創りだされた、【日光耐性】スキルを持つ従属種吸血鬼であるセリスとベストラは、以前から打診されていた手術を受ける事を、そしてある程度強くなるための訓練を受ける事を決めた。

元々は人間だった頃に負った火傷の痕を消すために手術を受けるだけの話だった。

しかし、モークシーの町に過激な思想を持ったアルダ信者や、中にはアルダ融和派に友好的なヴィダ信者までもがやって来て、ダルシアやヴァンダルーと縁のある組織や施設を狙うようになった。

共同神殿や懇意にしているテイマーギルド、屋台を出している歓楽街のヴィダストリート、無謀極まりないが飢狼警備の事務所に、カナコ達が借りているレッスン場。

そして、ヴァンダルーが寄付を行い、孤児達にテイマーの技を教えたという事になっている、セリス達がいる孤児院が標的になった。

全て、事前に防がれ犯人も捕まっているため、具体的な被害は何も起きていない。セリス達も、後になって狙われていた事を知ったぐらいだ。

しかし、自分達が守られている事を知った二人は、このままではいけないと強くなる事を決めたのである。

「……でも、手術の後、一週間しか訓練をしていないのにマンティコアと戦わせるのは、どうかと思います。凄く感謝していますけど」

「まったくだ。しかも、戦わないと私達の姿を子供達に上映すると脅すなんて……大恩人でなければ文句を言うところだ」

「そう言わないでください。魔王の大陸のダンジョンでマンティコアのような魔物が出るのは、結構レアなんですよ。それに、今の二人なら、寝込みを襲われでもしない限り勝てる相手です」

ここは、魔王の大陸のあるダンジョンだった。ここで訓練をさせられているセリスとベストラは、汎用変身装具の液体金属のボディースーツを纏い、その上にリビングアーマーのサリアとリタを着ている。

その姿は、肌が露出しているのは首から上だけだが、肌にピッタリと吸い付くボディースーツによって身体のラインが露わになった状態で、その上からビキニやハイレグ型の鎧を着ているという、ある意味で裸よりも刺激的なものだった。

セリスの十代後半で成長が止まっているとは信じ難い豊満な、ベストラのスレンダーな、二人のスタイルがよく分かる。

この姿だけを見たら、誰もが二人がシスターだとは思わないだろう。勿論、『大魔王』ヴァンダルーも二人のこの姿を本当に子供達に上映するつもりはない。二人の背中を押すための、嘘だ。

『そうですよ。二人とも、元々ランク3で、怪力スキルもありますし、一週間で【格闘術】スキルも獲得したじゃないですか』

『それでこの装備ですから、マンティコアの牙も爪も、毒針だって刺さりませんよ。刺さったところで、すぐ治るでしょうし』

二人に着られているサリアとリタが、口々にそう言う通り、セリスとベストラは彼女達自身が思っている程弱くない。

二人はたしかに孤児院のシスターで、冒険者でも傭兵でもなく、少し前まで戦闘に関する技術はまるで覚えていなかった。しかし、洗脳されていたため自覚はないが、外見よりもずっと長い年月従属種吸血鬼として生きて、そして去年ヴァンダルーの血を飲み、深淵従属種へ変化した吸血鬼だ。

能力値は生産系ジョブにだけついていた一般人とは、比べものにならない程高い。【闇視】はもちろん、【怪力】や【状態異常耐性】、それに【高速再生】スキルまで持っている。それに、武器として使える上に出し入れ自由な鉤爪まである。

適当に手足を振り回せば、そこらのチンピラぐらいなら一方的に蹴散らす事が出来る。

そして、短い期間でも訓練を受け戦うための技術を獲得すれば、D級冒険者以上の力を手に入れる事が出来る。

『あと、俺は手先ではないぃっ! 狗だ……魔王の狗だぁ! 『狗め』と呼び直せぇ!』

そして、光属性のゴーストである『狂犬』のベールケルトが、手先呼ばわりされた事に不満そうに喚きたてる。要求されたベストラは、嫌そうな顔をするが、マンティコアの毒針から親友を助けてもらった手前、断るのも心苦しかったらしい。

「い、イヌめ?」

『そう、そうだぁ! 次からはちゃんと、俺を狗と呼――』

「はいはい、それぐらいにしましょうね」

言い直してもらったのが嬉しかったのか、さらに叫ぼうとしたベールケルトを、ヴァンダルーがしまう。ベストラがほっと安堵し、セリスが話題をやや強引に変える。

「そうは言いますけど、マンティコアはやり過ぎです。凶悪な魔物として、地味に有名なんですから」

「そうなのですか?」

『地球』ではゲームやライトノベル等でそれなりに有名なモンスターだったが、この世界でも一般人にまで知られた存在だったとは知らなかった。ヴァンダルーがそう聞き返すと、セリスの代わりにベストラが答えてくれた。

「ドラゴン等の竜種程ではないけれど、キマイラやレッサーデーモン、そうした腕利きの冒険者でも倒すのが難しい魔物として有名……というか、知られている。

多分、吟遊詩人が主役の英雄と戦う敵役として、よく使うからだと思う」

『なるほど。似たような強さでも、何匹も出てくるトロールやミノタウロスよりも、単独で出てくる事が多いマンティコアやキマイラの方が、ボスっぽいですよね』

『レッサーデーモンはそうでもないですが、やっぱりイメージでしょうか?』

「なるほど、次からはもっと段階を……いや、別にいいか。次はバーニョ達だから」

ベストラの答えと、それを自分達の推測で補足するリタとサリアの言葉に納得したヴァンダルーだが、それを活かす機会は当分先になりそうだ。

次にこのダンジョンの攻略を任されるのは、元ビルカイン派の従属種吸血鬼達。彼等は既に一定以上の戦闘技術を持っており、段階を踏む必要はない。

「あの人達が此処で……このダンジョン、そんなに過酷なんですか?」

「いえ、別に捕虜に過酷な刑罰を科すためではありません。バーニョ達には、使い魔王とガルトランドの戦士達と一緒に魔王の大陸のダンジョンの魔物の間引きを行ってもらう予定なのです」

敵の陣営から命惜しさに寝返ってから、まだ約一年しかたっていないバーニョ達は、いわゆる禊ぎの最中だ。これからしてもらう予定の魔王の大陸でのダンジョン攻略も、その一環である。

ヴィダル魔帝国から離れての勤務で、彼等自身に反省を促し、加害者だった頃に被害を被った子供達の処罰感情を納得させつつ、ガルトランドの戦士達と交流する事で社会性を獲得してもらうためだ。

何故ダンジョンでと思うかもしれないが……魔王の大陸の魔素汚染は重篤で、重力まで歪んでいる魔境まで存在している。当然、気候も出鱈目だ。

そのため、環境が一定である事が多いダンジョンの内部の方が安全である場合が多いのだ。……ダンジョンの難易度によっては、そうでもないが。

当然、何らかの不埒な行為を行おうとした場合は、監督している使い魔王……つまり、ヴァンダルーにお仕置きされる。

「そうですか……」

それを聞いたセリスは、複雑な顔をして頷く。バーニョ達には、孤児院から巣立った……ビルカイン派の吸血鬼の元に渡った子供達が酷い扱いをされた。しかし、セリス自身も自覚はなかったとはいえバーニョ達と同類であるため、それを無視して責める事は出来ない。

ヴァンダルーも、セリスがそう考えているのは知っているので、彼女がバーニョ達と仲良くなれれば良いとは考えていない。ある程度時間を置いて、『納得』出来たら、適度な距離を置いて共存できればそれでいい。

お互いに寿命の限りはないのだから。

「では、次はこの階層の奥に巣食うマンティコアの上位種、エルダーマンティコアや、フレイムマンティコアと戦って、訓練を終えましょうか」

ヴァンダルーから、先程倒したマンティコアの上位種と戦うと聞かされて、セリスとベストラの顔が緊張に引き攣る。

「「は、はいっ!」」

しかし、悲鳴をあげずにそう返事をするあたり、二人も自分達の力を自覚しつつあるのだろう。

この分なら、期日までにリタやサリアを着ないでもマンティコア程度なら倒せる実力がつくだろう。ヴァンダルーは満足気に頷いた。

セリス達の訓練が終わったその足で、ヴァンダルーはサムの荷台に設置されているジョブチェンジ部屋に向かった。

『あれから今日で四回目ですな。もうすぐ学校へ通う予定ですし、今回は普通に思えるかもしれないジョブを選ぶのですか?』

「それが、ちょっと悩んでいるのですよ」

ベルウッドが復活したらしいという情報が入ってから、ヴァンダルーは今回で四回目のジョブチェンジになる。

ヴァンダルーのように既に三十回以上ジョブチェンジを経験している者が、ダンジョンや魔境の魔物を間引いていただけにしては、異例のハイペースだ。

しかし、新たに授かったボティンとペリアの加護の効果。そして、魔王の大陸にはランク13や14以上の亜神や神に匹敵する魔物が多数存在する事。そして、それらを間引くために別々のチームに分かれて戦う仲間達に、使い魔王をつける事で短期間に大量の経験値を獲得する事に成功した事で、可能になった。

そして、どんな搦め手も力技で突破してきた勇者ベルウッドを降臨させた、ハインツとの戦いを想定して、ジョブを選んできたヴァンダルー自身も、魔物との戦いを重ねてきた。

一度目は、【虚王魔術師】。ヴァンダルーの武器である【冥界神魔術】と並んで強力な、【虚王魔術】の向上と、魔力の更なる増加を狙って選んだ。

二度目は、【神霊魔術師】。強力な【神霊魔術】スキルの向上を狙ったものだ。

三度目は、【ダンジョンマスター】。A級やB級の高難易度ダンジョンが無数に存在する魔王の大陸でも数が少ない、S級ダンジョンを創りだし、自分と仲間の強化を図るために選んだ。

その甲斐あって、【虚王魔術】は覚醒して【虚界神魔術】になり、【神霊魔術】スキルや、他のスキルのレベルも上がった。

魔力以外の能力値の伸びはイマイチだったが、そもそもヴァンダルーは魔術師であり、その本領は肉弾戦ではなく魔術戦にある事を考えれば、十分だろう。

それに、以前ハインツと戦った時は五対一でも圧倒出来ていた。あれからハインツ達が成長していたとしても、ヴァンダルーも成長しているし、【魂格滅闘術】や【限界超越】、そして自己強化や能力値強化系のスキルでの強化や、【魔王の欠片】を使用すれば戦えるはずだ。

導士系ジョブも考えたが、選んだ結果【滅導士】のように能力値がまったく成長しないなんて事になったら困る。そのため、分かり易いジョブをこれまでは選んでいた。

ダンジョンの方も、S級ダンジョンを創る事が出来た。……力を入れ過ぎたせいで、ボークス達も『難易度がバグってる』と評しているため、成功とは言い難いが。

ヴァンダルー製のダンジョンに出現する魔物は本来魂を持たない人形のような状態で、創造者である彼の簡単な命令に従って行動する事しか出来ないのだが……ダンジョンに集まる魔素が強すぎるのか、彼の命令を受け付けない。

侵入者を抹殺するためなら、我が身も顧みない殺人機械状態であるため、セリスとベストラに行ったような訓練では、間違っても使えない代物と化してしまった。

念のためにと、創ったのが魔王の大陸で本当に良かったと、安堵したものである。

「次は【魔杖創造者】か、【匠:変身装具】かと考えているのですが……ディアナやガルトランドの面々、セリスとベストラ等、まだまだ変身装具の数は足りませんからね」

『……ディアナ様は、かなり嫌がっていたような気がしますが?』

「タロスに頼まれたので、作るだけ作っておこうと思います。タロスには日頃からお世話になっていますし」

ヴィダル魔帝国と国名を改めるまで、タロスヘイムの『蝕帝』だったヴァンダルーは、タロスを他の大神と同じように信仰している。そのため、頼まれれば真なる巨人用変身装具なんて無茶苦茶なものでも、作ろうとしてしまうのだった。

「でも、『オリジン』の方も気になるので……【クリフォト】にしましょうか」

『宜しいのですか?』

「大丈夫でしょう。もしステータスを見せる事になっても、この世界の人に【クリフォト】の意味は分からないでしょうから。

それに、そろそろ地球の神話や伝説に出てくる存在のジョブにも、就いておきたいですし」

そうしてジョブチェンジ部屋に入り、ジョブチェンジを済ませる。

《【体内世界】スキルを獲得しました!》

・名前:ヴァンダルー・アーク・ヒルウィロウ・ソルダ・ザッカート

・種族:ダンピール(母:女神)

・年齢:12歳

・二つ名:【グールエンペラー】 【蝕帝】 【開拓地の守護者】 【ヴィダの御子】 【鱗帝】 【触帝】 【勇者】 【大魔王】 【鬼帝】 【試練の攻略者】 【侵犯者】 【黒血帝】 【龍帝】 【屋台王】 【天才テイマー】 【歓楽街の真の支配者】 【変身装具の守護聖人】 【女神の解放者】

・ジョブ: クリフォト

・レベル:0

・ジョブ履歴:死属性魔術師 ゴーレム錬成士 アンデッドテイマー 魂滅士 毒手使い 蟲使い 樹術士 魔導士 大敵 ゾンビメイカー ゴーレム創成師 屍鬼官 魔王使い 冥導士 迷宮創造者 創導士 冥医 病魔 魔砲士 霊闘士 付与片士 夢導士 魔王 デミウルゴス 鞭舌禍 神敵 死霊魔術師 弦術士 大魔王 怨狂士 滅導士 冥王魔術師 ペイルライダー 混導士 神導士 神滅者 虚王魔術師 神霊魔術師 ダンジョンマスター

・能力値

・生命力:860,946+(51,657) (69,668UP)

・魔力 :15,778,736,081+(15,778,736,081) (3,513,135,020UP!)

・力 :84,418+(844)

・敏捷 :78,260+(782)

・体力 :88,868+(888)

・知力 :114,878+(1,148)

・パッシブスキル

超力:1Lv(剛力から覚醒!)

超速再生:8Lv(UP!)

冥界神魔術:5Lv(UP!)

状態異常無効

魔術耐性:10Lv

闇視

末那識誘引

詠唱破棄:10Lv

導き:末那識

魔力常時回復:8Lv(UP!)

従群超強化:8Lv(UP!)

猛毒分泌:牙爪舌:9Lv(UP!)

身体無限伸縮:舌

無手時攻撃力増強:大(UP!)

身体超強化(髪爪舌牙):1Lv(身体強化から覚醒!)

魔糸精製:2Lv(UP!)

魔力増大:10Lv

魔力回復速度上昇:10Lv

魔砲発動時攻撃力増強:大(UP!)

生命力増強:6Lv(UP!)

能力値強化:君臨:10Lv(UP!)

能力値強化:被信仰:9Lv(UP!)

能力値強化:ヴィダル魔帝国:5Lv(UP!)

自己再生:共食い:4Lv

能力値増強:共食い:4Lv

魂纏時能力値増強:小(魂纏時能力値強化から覚醒!)

殺業回復:7Lv(UP!)

自己強化:殺業:7Lv(UP!)

杖装備時魔術力強化:大(UP!)

全能力値強化:極大

・アクティブスキル

統血:4Lv(UP!)

限界超越:10Lv(UP!)

ゴーレム創成:9Lv(UP!)

虚界神魔術:1Lv(虚王魔術から覚醒!)

魔術精密制御:5Lv(UP!)

神霊理:1Lv(料理から覚醒!)

錬神術:3Lv(UP!)

魂格滅闘術:8Lv(UP!)

同時多発動:8Lv(UP!)

手術:9Lv(UP!)

具現化:6Lv(UP!)

群隊:4Lv(UP!)

超速思考:7Lv

将群:3Lv

操糸術:9Lv(UP!)

怨投術:2Lv(UP!)

叫喚:9Lv(UP!)

神霊魔術:6Lv(UP!)

魔王砲術:8Lv

装影群術:8Lv

欠片限界超越:4Lv(UP!)

整霊:2Lv

鞭術:4Lv(UP!)

霊体変化:雷

杖術:4Lv(UP!)

高速飛行:3Lv

楽器演奏:4Lv

舞踏:2Lv

筋術:4Lv

魔闘術:3Lv(UP!)

・ユニークスキル

神喰らい:10Lv

異貌多重魂魄

精神侵食:9Lv

迷宮創造:7Lv(UP!)

大魔王

根源

神敵

魂喰らい:10Lv

ヴィダの加護

地球の神の加護

群体思考:9Lv

ザンタークの加護

群体操作:9Lv

魂魄体:5Lv

魔王の魔眼

オリジンの神の加護

リクレントの加護

ズルワーンの加護

完全記録術

魂魄限界突破:5Lv(UP!)

変異誘発

魔王の肉体

亜神

ボティンの加護

ペリアの加護

体内世界(NEW!)

・呪い

前世経験値持越し不能

既存ジョブ不能

経験値自力取得不能

選んだ結果、よく分からないスキルを獲得してしまった。

「……【体内世界】? 【装影群術】とは違うのか?」

体内、もしくは、影の中に仲間を収納し、装備する事が出来る【装影群術】スキル。それと何か関係があるのかと考えたが……結論は出なかった。

「アイゼンやプリベル達を装備して、これまでと比べて何か変わった点がないか、後で聞いてみましょう」

ヴァンダルーはそう決めて、ジョブチェンジ部屋を後にした。

三月も中旬になった春、モークシーの町の冒険者ギルド支部では、支部長のベラードが冷や汗をかいていた。

「ええっと、つまり冒険者学校の入学試験についてですが……」

説明を始めたベラードの前に、ヴァンダルーとパウヴィナ、そしてダルシアが授業を受ける生徒のように並んでいる。

(何で、冒険者学校の入学試験について知りたがるんだ? たいした事でもないんだが……。いやまあ、勝手に俺がしゃしゃり出ただけといえば、それだけなんだが)

ダルシアから冒険者ギルドに、「冒険者学校の試験について知りたい」という問い合わせがあった。

ダルシアとヴァンダルーは冒険者学校での試験がどんなものか知りたかっただけだったのだが、ベラードが、「中央の冒険者学校について、何かあるのではないか」と深読みして、出張ったために受付嬢でも出来る仕事を支部長がする事になってしまった。

もっとも、名誉貴族とはいえ貴族からの要望なので、受付嬢が気軽に説明するのはハードルが高いかもしれない。顔なじみ、と呼べるほどダルシア達は冒険者ギルドに立ち寄っていないし。

「入学試験と呼んではいますが、入学希望者を篩に掛けるのが目的ではなく、適性と実力を確かめるのが目的です。余程の虚弱体質でない限り、冒険者学校は誰でも入学する事が可能なので」

冒険者学校は、新人冒険者の死亡率を下げるために、基礎的な戦闘訓練を受ける事ができ、動物や魔物の解体の方法、野営の仕方、ついでに簡単な読み書きや計算等の技術や知識を、元冒険者の教官から学ぶための施設だ。

そのため、基本的には誰でも入学できる。屋外で薬草を摘む事も出来ない、極度の虚弱体質でもなければ。

入学試験も、本人の実力を把握して能力別に分け、パーティーを組む時の目安にするためのものだ。

武術系のスキルを既に身に付けているが、魔物の解体や薬草の知識を学びたい人や、逆に知識と技術はあっても戦闘技術に不安がある人が同じカリキュラムのクラスに在籍していては、無駄が多い。それを防ぐためだ。

「しかし、例外が中央、選王都の冒険者学校です。貴族の四男坊以下や、上位の冒険者の子弟、本当に才能の有る新人が学ぶ学校で、通称英雄予備校。……まあ、言う程大勢の英雄が育っているって訳じゃないが、生徒はC級冒険者以上に育つ奴が多い。

だからこの学校だけは、試験の結果によっては入学できず、通常の冒険者学校に落とされる訳ですが……あの、本当に説明する必要ってあります?」

思わず訊ねたベラードだが、それも無理はないだろう。

「はい。大変興味深いです」

オルトロス(ファング)や新発見の魔物(マロル達)をテイムしている、規格外のダンピールの少年、ヴァンダルー。

「うんっ!あたしも知りたい!」

金色の髪に青い瞳の可愛らしい、三メートルの少女、パウヴィナ。見かけからして、ただ者ではない感がビシバシ発せられている。

「私は、合否については大丈夫だと思うんだけど……」

「ですよね。私もそう思います。ご子息とお嬢さんなら、合格は間違いありません」

ダルシアの答えに、全力で同意するベラード。

「でも、試験で目立ち過ぎたら困るかもって。私も、そこは心配なのよね」

だが、彼女達とベラードが考えている方向は、まるで違っていた事が判明した。ダルシア達は、不合格になる事を恐れているのではなく、優秀な結果を出し過ぎて目立つ事を不安に思っているだけだったのだ。

「そ、そうですか……えー、試験はだいたい、何処の学校も同じでして、まずは簡単な体力検査と、武術の経験がある者は、教官相手の模擬戦。魔術が使える場合は、その試験も追加されます。後、獲物の解体や足跡の追跡などの戦闘以外の技術に関しては、試験は行わない場合が多いです。

それで、まず体力検査の内容は――」

ベラードの説明は、暫く続いたのだった。