軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

二百九十四話 筋肉で死を撒く者

『岩の巨人』ゴーン率いるボティン防衛隊は、犠牲を出しながらも今まで三度ヴァンダルーを退けている。勿論、その戦果は最初の一戦以外はヴァンダルーの偽装工作によるものであり、手加減された結果だ。

そして、今まで獣王を三柱、龍を一柱、巨人を二柱という戦力を失っている。

着実に戦力は減り続けており、ゴーン達は連戦連勝だと調子に乗れる状態ではない。

眠り続けている『水と知識の女神』ペリアも狙われており、五柱の亜神と六体のオリハルコンゴーレムを失ったばかりなので、とても援軍を求める事は出来ない。

そんな状況を何とかするために、ゴーン達は何か手を打ってくるだろうとヴァンダルー達は想定していた。少なくとも、失った分の戦力を補う程度の策を捻りだす筈だ。

それを出させるのが作戦の第一段階。ゴーン達の奥の手を出来るなら、痛み分けのように見せつつ叩き潰して、撤退できれば完璧だ。

ダメなら、トンネルが無駄になるがゴーン達を蹴散らしてそのままボティンの元まで行き、今度は自分達が防衛戦を展開しながら彼女の封印を解かなければならない。防衛隊の壊滅を知ったアルダが手を打ったり、ペリアの防衛隊が向かって来たりする前に。

しかし、ゴーン達はヴァンダルーが想定していたよりも、良い手を打ってきていた。

「ガアアアアアアア!」

「GYAAAOOOON!」

禍々しい咆哮を轟かせ、七隻の船団を組んで現れたヴァンダルー達を魔王の大陸の魔物達が出迎えた。

様々な巨人や竜、魚型や獣型、亜人型の魔物に、魔素によって狂った精霊に、ゴーレム。更にはルチリアーノでも見ただけでは分類できないものまで、数万の魔物の群れが空を飛び、押し寄せて来たのだ。

全てがこの魔王の大陸でも食物連鎖の上半分に位置する魔物であり、中には亜神に匹敵する個体もいる。強い魔物を生け捕りにして調教したのか、それとも比較的弱い魔物を捕らえてからランクアップさせたのかは不明だが、ゴーン達は「喪った戦力を補う」という目的以上の成果をあげたのだ。

「す、素晴らしい! どれもこれも初めて見る魔物ばかりだ!」

「悍ましいの間違いじゃないですかねぇ!?」

混沌の大地としか評せない魔王の大陸から飛び立ち、こちらに向かってくる魔物の群れ。連れて来られた事をあれだけ嫌がっていたルチリアーノは、興奮のあまり高笑いをあげながら、カメラ代わりの使い魔王を向けていた。

その様子に、サイモンが悲鳴染みた声でツッコミを入れるが、彼の耳に入らないようだ。

「何で魔物がこんなに向かってくるんだよ!? 今までは一匹も来なかったって師匠も言ってたのに!」

そう叫びながら縋りつくようにヴァンダルーの肩を掴むナターニャの言葉に、ヴァンダルーは慌てることなく答えた。

「多分、ゴーン達が何らかの方法で操っているのでしょう。何匹か既に同士討ちを始めていますから、支配下に置いたのではなく、単に集めた魔物を後ろから追い立てているだけかもしれませんが」

半年以上前にモークシーの町を襲ったダンジョンの暴走……に偽装した『雷雲の神』フィトゥンとその英霊達の攻撃。その際現れた魔物と比べて、今自分達に向かってきている魔物の群れは数も質も圧倒的に勝っている。

だが、ダンジョンの暴走で地上に出てきた魔物と異なり、魔王の大陸からこちらに向かってきている魔物の群れは、同士討ちを行っている個体がちらほらいる。

野良の魔物をなんとか烏合の衆よりややマシな群れにした。そんな感じである。

「仮にも神たるものが、本来間引かなければならない魔物を纏めて戦力として用いるとは! テイマーとして統率していない魔物を野に放つも同然! 我々との戦いの後はどうするつもりだったのか……ここが人のいない魔王の大陸だったとしても、許せません!」

『ハート戦士団』のアーサーが、心臓の強い人でも気絶しそうな顔つきで怒号を発する。

「高ランクの魔物で飛行能力を持つ個体なら、ここから他の大陸や島に至ってもおかしくないかと。本来魔物は自分から魔境から出る事は稀ですが、一度魔境から離れた魔物の中には、元の魔境に戻らず放浪する個体も存在しますので」

『番人だったフライングクラーケンも、数がだいぶ減ったものね』

アーサーの怒号を聞いたグファドガーンとレギオンが、そう言って彼の怒りの正当性を主張しつつ、ヴァンダルーに警告する。

「つまり、あの魔物を適当に蹴散らすだけでは危険かもしれないと。……何故奴らに魔王と呼ばれ恐れられている俺が、他の大陸や島が受ける被害を気にしなければならないのでしょうか?」

理不尽さを覚えずにはいられないヴァンダルーだった。これもゴーンの作戦の内なら、彼は名将に違いないと皮肉を胸中で呟きつつ。

「では、適当に蹴散らしますか?」

「……念入りに、一匹も逃さず討伐します」

しかし、指摘されれば他の大陸や島が受ける被害が気になってしまうのが、ヴァンダルーである。その被害が、多少の労力で防げるなら尚更だ。

「全艦隊、魔物の群れを撃て。逃げ散った魔物は、機動力のある人に頼みましょう」

『死海四船長』が復唱すると、クワトロ号達が砲門を開き、魔物の群れに向かって卵弾や怪光線を放っていく。まだ距離があるため音波砲は使用しなかったが、問題はないようだ。

魔物達は砲弾というこれまで受けた事がない攻撃に戸惑い、なすすべなく爆炎に巻き込まれ、光線に貫かれて海に落ちて行き、悲鳴が響いた。

「ああ、貴重な研究対象が消し炭や魚の餌になってしまった!」

「ルチリアーノ、ちゃんと使い魔王で記録していますから、勘弁してください」

一抱えほどの【魔王の眼球】に皮膜や蟲の羽を生やした、撮影用使い魔王が何十匹も船団の周囲を飛び回り、戦場を撮影していた。

本来は周囲の警戒や、いざという時は怪光線を放って攻撃するためにヴァンダルーが放ったのだが……今はルチリアーノのための撮影用ドローンと化している。

「それに、思ったよりも魔物の数を減らせていません」

数千数万もの魔物の大群の内、倒せたのは群れの先頭グループを除けば、ほんの僅かだ。殆どが亜神よりも小さく、また的が多いため狙いが甘くなっているのもあるが、魔王の大陸産の魔物達が強力で、知能や直感に優れており、砲弾や光線を回避し、弱い魔物を盾にするなどして対処しているためである。

このままだと、群れ全体の四割ほどがヴァンダルー達の元に辿りつくだろう。

「なるほど。仕方がない、ここは私達が師匠の露払いを――」

「それには及びません。四番艦、血死船を突撃させましょう」

「なっ!? 待ちたまえ、師匠! あれは撤退用に用意したものだろう!? それに、あれほど大規模な魔物の群れに使うなんて、想定していないぞ!」

「問題ありません。使う順序を変えれば済む話です。それに、可愛い弟子達には実力を発揮できる相手と戦う場を設けてやらないといけませんからね」

「くっ! 見抜かれたか!」

今の自分の実力なら簡単に倒せる程度の魔物の相手をして、その間に行われる亜神との戦いを回避しようとしたルチリアーノの思惑は、断たれてしまったようだ。

「えっ、可愛い!?」

『アイアイサー』

もう一人の弟子が頬を染めていたりするが、彼女の横顔の向こうで四番艦……血死船と名付けられた偽クワトロ号を動かす使い魔王が魔物の群れに向かって加速し、そのまま突っ込んで行く。

この魔物の群れを用意したゴーン達の目的の一つが、ヴァンダルーがこれまで何度も行ってきた偽クワトロ号の自爆攻撃を使わせ、自分達が受ける被害を魔物達に肩代わりさせる事だった。

そのために、ヴァンダルーとその仲間に対して何匹集めても時間稼ぎの役にも立たないザコ魔物も狩りだして、質よりも数を重視したのだ。

だが、ゴーン達も数か月かけて自爆を受けさせるためだけに魔物を集め、簡単な命令を聞く程度に飼い慣らした訳ではない。

何処からともなく勇壮な角笛の音色が響き渡り、それを聞いた瞬間魔物達の動きが変わった。炎の鬣を生やした獅子等見るからに熱に強い魔物が前に出て、ドラゴンや杖を携えたジャイアントが魔術を発動させる。

『角笛の神』シリウスの合図によって、それまで統率が取れていない様子だった魔物達が、自爆攻撃に対抗しようと防御態勢を取ったのだ。

『ヂュオ!? これまでの様子は芝居だったのか!』

ヴァンダルー達とは他の船に乗り換えた骨人が驚くが、ゴーン達はそれほど高度な芸を魔物達に仕込んではいない。

『芝居だったというか、飼い主の声が聞こえた途端キリッとする犬っぽいな』

『剣王』ボークスの言うように魔物達は芝居をしていたのではなく、角笛の音を合図に統率がとられたのである。

「まあ、あまり関係ありませんが」

ヴァンダルーがそう言った瞬間、偽クワトロ号『血死船』は爆発し、爆音と衝撃、そして紅い煙を撒き散らした。

「GA……?」

「ゴルルゥ!? ブオオオオ?」

魔物達は爆音の割に【魔王の欠片】の散弾も、熱も飛んでこない事に困惑し、煙に飲み込まれていく。

「ギイイイイ!」

ただ、【直感】スキルを高いレベルで持つ魔物だけが、悲鳴をあげながら必死に逃げようとした。だが、その魔物が安全圏に避難する前に、煙に飲み込まれた魔物達の絶叫が響き渡った。

霧の中で全長数十メートルの巨大な人型生物や獣が、全身を掻きむしりながら苦しみ、最後は皮膚を喰われ骨や筋肉が剥き出しになった姿で海面に落ちて行く。

「師匠、【貪血】は想定通りに効いているようだ。実に素晴らしい」

「……まだ遠くで良かった。近くで見たら、暫く肉が食えなくなるところだったよ」

「そうですか? 私は見ているだけでお腹が空いてきますよ」

それを観察しながらルチリアーノは瞳を輝かせ、ナターニャは顔色を青くし、ユリアーナがお腹をさする。

血死船に詰まっていたのは、【魔王の脂肪】ではなく、ヴァンダルーの血液。それも、【貪血】の魔術によって肉食性の微生物に変化した血。あの爆発は、微生物を霧状にしてばら撒くためのものだったのである。

【貪血】で血液から変化した今も、ヴァンダルー自身である事は変わらない。いうなれば、極小の使い魔王である。

そのためヴァンダルーが持つ【魔術耐性】や【状態異常無効】等のスキルを持っており、魔術の炎や電撃で消毒する事は出来ない、きわめて厄介な微生物と化している。

「しかし、流石に魔物の群れ全体を覆う事は不可能なのでは?」

「アーサー、最初はそうですが魔物を喰らい、分裂を繰り返し、増殖しているのですぐに群れ全体を覆う事ができると思いますよ。

その前に【貪血】から逃れた個体や何らかの方法で身を守っている個体、そしてゴーレム等無機物の魔物の相手は皆に任せます」

増殖していく【貪血】は、次々に魔物を喰らっていくが、空気中を漂う微生物である事に変わりはない。自力では動かないし、ゴーレムのような無機物で出来た魔物には攻撃しない。

「近づいて平気か? 確か、コントロールできないと聞いたのじゃが?」

痩身のドワーフの魔術師、ボルゾフォイがそう尋ねると、ヴァンダルーではなくグファドガーンが答えた。

「それは以前までの話だ。異世界の神話に語られる、世界の終末を告げる騎士の力を手に入れたヴァンダルーの血は、覇道に立ちはだかる愚か者のみを喰らい、恩寵を与えた者を害する事はなくなったのだ」

「【ペイルライダー】のジョブ効果で、前よりも精密にコントロールできるようになりました。……もしかしたら、以前食べた【シルフィード】の力も関係しているかもしれませんが。

ともかく、俺の加護を持っていれば害は受けません。ただ、視界を遮られてしまうでしょうから、【貪血】の中で戦うのは避けた方がいいでしょう」

グファドガーンが分かり難く、ヴァンダルー本人が分かり易く説明する。

「なるほど、だったら安心だ。ここにいるのは全員師匠に加護を貰った奴ばかりだ」

「更に、今日のために変身装具も頂いています。これ以上露払いをしてもらっては、ただのピクニックになってしまいますからね」

戦意を滾らせるサイモンやアーサーの様子に、ルチリアーノも観念したかのように息を吐いた。

「はぁ……作品の出来栄えを後ろで見物するだけにしたかったが、仕方がないか……では諸君、変身だ!」

「「「おうっ!」」」

「ルチリアーノ、切り替えると急にノリが良くなりますね」

一斉に変身装具を発動させ、更に御使いを降臨、もしくは降魔させるサイモン達。その姿は迫力に満ちていたが、やはり何処か悪役っぽく見えた。

サイモン達の義肢型の変身装具は相変わらず黒かったし、アーサー達の変身装具は赤や白など明るい色を基調にしたのだが……着ている本人達の容姿と言動のせいで。

心なしか、魔物もアーサー達に怯えているように見える。恐らく、錯覚だろうけれど。ただ、ヴァンダルーは「一斉に変身するのは華がありますね」と、装具の出来栄えに満足していた。

そして、飛行型使い魔王を背中に装着して飛び立つサイモン達に続いて、クワトロ号から飛び立った。

「ではレギオンの皆、クワトロ号の指揮を任せました」

『任せて。ヴァンダルーも、頑張ってね』

背中に皮膜の翼を生やし、サイモン達をすぐに追い抜いて、魔物の群れの中に彼らが戦うには強すぎる個体が居ないか探す。

すると、何千匹もの魔物を喰らい紅い濃霧と化した【貪血】をかき分けて現れた、巨人が目に付いた。一見すると巨人のようなゴーレムに見えたが……。

「グオオオオオオオ!!」

【貪血】から抜け出し、離れた途端咆哮をあげながら全身を覆っていた鉱物の殻を脱ぎ捨てた。【貪血】から身を守るため、魔術で無機物の殻を作って全身を覆っていたのだろう。

亜神である真なる巨人ではなく、その劣った子孫で魔物に堕ちたジャイアントだが、【貪血】から身を守る知恵や、伝わってくる気配から感じる強さは亜神に勝るとも劣らない。

ジャイアントは生息している場所によって、種族名が異なる。では、この黒く艶のない肌に捻じ曲がった角、そして四本の腕を持つ数十メートルの身体を持つ魔王の大陸に生息するジャイアントの種族名は何か。

「仮に、サタンジャイアントとでも命名しましょうか。ランクは……13から14と言ったところでしょう」

『雷の巨人』ラダテルよりも強そうだと判断したヴァンダルーは、サタンジャイアントを【筋術】の実験台にする事を決める。

まず、【霊体変化:雷】で自身の霊体と魔力を電気の性質に変化させる。そして、それで筋肉を刺激しながら【魔王の筋肉】、【骨】、【神経】を発動。

ヴァンダルーの四肢に力が漲り、溢れた魔力がスパークとなって弾ける。

「グギッ!?」

「【筋術】と【魂格滅闘術】を合わせて……【肉怪】とでもしましょうか」

咄嗟に警戒し、防御態勢を取るサタンジャイアントに対して、ヴァンダルーはそのまま【高速飛行】スキルを発動して接近し、拳を叩きつけた。

その拳はサタンジャイアントの巨木を束ねたような腕に対してあまりにちっぽけだったが、サタンジャイアントの硬い外皮をあっさり突き破った。そして……サタンジャイアントの腕の内部で膨張、変形し、腕を内側から爆発四散させた。

「ギヤアアアアアアア!?」

だが、サタンジャイアントも伊達に魔物に堕ちた訳ではなく、片腕を失った程度では怯みもしない。始まっている腕の再生を待とうともせず、尖った骨や角が何本も生えた自分のものより巨大で歪な腕に、反撃を試みた。

残った方の腕で掴みかかり、腕と比べると極小とすら言えるヴァンダルー本体に向かって浴びた存在を蝕む【瘴気のブレス】で攻撃しようとしたのだ。

「ギ!?」

しかし、サタンジャイアントの腕は空を切った。ヴァンダルーの変形した腕が、瞬間的に収縮して元のサイズに戻ったからだ。

「では、もう一撃」

そしてヴァンダルーは、体勢を崩したサタンジャイアントの無防備な頭に急接近すると、ブレスを吐こうと開けた口の中へ向かって前蹴りを放った。

「ギビョ……!?」

歪に、そして巨大に膨張したヴァンダルーの足によって、サタンジャイアントの頭部は内側から弾け散った。【貪血】を耐え抜いた巨人も、頭部を失っては流石に死ぬしかないのか、海に向かって落下し始める。

「新種でしかも高ランクなので、回収をよろしく」

「御意」

だが、グファドガーンによってすぐに死体は回収された。

「【筋術】の実戦での使用は、如何ですか?」

「問題ありません。今はですが」

ヴァンダルーが身に付けた【筋術】は、筋肉を振動させ電撃を放つゾルコドリオの【筋術】とはまるで異なっていた。

それは、【筋術】の要が精密な筋肉のコントロールによるものだったからだ。ヴァンダルーはゾルコドリオ程精密なコントロールが出来なかったのである。

それに気が付いた時、ヴァンダルーは発想を逆転させた。すなわち、筋肉の振動によって電撃を放つのではなく、電気の性質を帯びた自身の霊体と魔力によって、筋肉を振動させてコントロールすればよいのではないかと。

その発想は正しく、【筋術】を習得する事が出来た。その結果、ヴァンダルーはこれまで以上に精密に肉体をコントロールする事が可能になり、筋力の強化及び収縮、そして瞬間的な大膨張が可能になったのである。

ヴァンダルー流【筋術】の完成である。

その武技である【肉怪】は、手足で敵を貫いた後、それまで収縮していた筋肉を解放し、瞬間的に膨張させる事で、巨大な敵を内部から破壊する技だ。

ゾルコドリオの【筋術】とはまるで違うが、教えた本人は【筋術】の新しい形を見る事が出来たと喜んでいた。

「屋内などの閉鎖空間や、人間大の敵との戦いでの活用の仕方を考えるのが、今後の課題ですね。

それはともかく、他にサイモン達では荷が重そうな敵は――」

ヴァンダルーが次の実験台を探していると、再び角笛の音が戦場に響き渡り、それまで姿を隠していた『岩の巨人』ゴーンや『大海龍神』マドローザ、『轟雷の巨人』ブラテオ達が現れた。

「このままでは我々を消耗させる事も出来ず、先兵である魔物を失うだけだと気が付いたようです」

「なるほど。では、第一段階を本格的に始めましょう」

ヴァンダルーの言葉を使い魔王を通して聴いたボークスや骨人が船から飛び立ち、三隻の偽クワトロ号が爆発し、内側からそれぞれルチリアーノ主導で修復したラダテルゾンビが、コンサート会場の役を休んだクノッヘンが、そして境界山脈の結界維持をフィディルグと交代した、『闇の森の邪神』ゾゾガンテが姿を現した。

『前哨戦は終わりだ! よくも倅の躯を利用してくれたな! 後悔させてくれる!』

指揮官であるゴーンを無視して突出してくるブラテオに、彼等に健闘して貰わないと困るヴァンダルーは微妙な気分にさせられたのだった。

《【剛力】、【超速再生】、【冥界神魔術】、【統血】、【虚王魔術】、【筋術】スキルのレベルが上がりました!》

《【全能力値強化】、【魔闘術】スキルを獲得しました!》

《【全能力値強化】に【敏捷強化】が統合されました!》

《【全能力値強化】スキルが大に上昇しました!》

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・名前:サイモン

・種族:人種

・年齢:28

・二つ名:【飛剣】 【鉄腕】

・ジョブ:魔装剣士

・レベル:68

・ジョブ履歴:見習い戦士、戦士、剣士、霊体士、変身装具士、霊剣士、魔剣使い、魔剣士

・パッシブスキル

筋力強化:6Lv(UP!)

気配感知:3Lv(UP!)

飢餓・病毒耐性:3Lv(UP!)

精神耐性:4Lv(UP!)

剣装備時攻撃力強化:極大(UP!)

自己強化:変身:4Lv(UP!)

能力値強化:導き:3Lv(NEW!)

・アクティブスキル

剣術:9Lv(UP!)

鎧術:6Lv(UP!)

限界突破:10Lv(UP!)

連携:6Lv(UP!)

解体:3Lv(UP!)

家事:2Lv(UP!)

霊体:7Lv(UP!)

実体化:3Lv(UP!)

遠隔操作:4Lv(UP!)

御使い降魔:4Lv(UP!)

魔剣限界突破:3Lv(NEW!)

格闘術:1Lv(NEW!)

舞踏:1Lv(NEW!)

装具限界突破:1Lv(NEW!)

・ユニークスキル

ヴァンダルーの加護

ヴィダの加護(NEW!)

・名前:ナターニャ

・種族:山猫系獣人種

・年齢:18

・二つ名:【鉄猫】(NEW!)

・ジョブ:魔装拳士

・レベル:27

・ジョブ履歴:見習い戦士、戦士、格闘士、霊体士、変身装具士、霊拳士、魔闘士

・パッシブスキル

暗視

敏捷強化:6Lv(UP!)

気配感知:6Lv(UP!)

病毒耐性:4Lv(NEW!)

能力値強化:導き:4Lv(NEW!)

自己強化:変身:5Lv(NEW!)

・アクティブスキル

投擲術:2Lv(UP!)

忍び足:5Lv(UP!)

格闘術:9Lv(UP!)

鎧術:6Lv(UP!)

限界突破:6Lv(UP!)

解体:2Lv(UP!)

罠:4Lv(UP!)

霊体:5Lv(NEW!)

遠隔操作:2Lv(NEW!)

装具限界突破:1Lv(NEW!)

舞踏:1Lv(NEW!)

・ユニークスキル

ヴァンダルーの加護(NEW!)

ヴィダの加護(NEW!)

○ジョブ解説:魔装剣士、魔装拳士 ルチリアーノ著

どちらも変身装具を使用する事が、前提となっているジョブ。サイモンとナターニャは魔術を用いず、変身装具を日常生活から戦闘まで活用しているため、出現したジョブだと考えられる。

狙ってこのジョブを出現させる場合、二十四時間三百六十五日変身装具を使わなければならないと思われる。

なお、二人とも【舞踏】スキルを獲得しているが、これはカナコの「踊りは武術に通じる」という説得を受けた結果であって、ジョブは関係ない事を記しておく。

……本来なら止める立場になるはずの師匠はその時、彼女の後ろでダンスレッスンをしていたそうだから、断りきれなかったようだ。