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作品タイトル不明

王妃とのお茶会13

王妃とのお茶会13

王妃様には申しませんが、わたくし達がよく気質を知らないハロルド殿下を推すのには他にも理由がございます。

ハロルド殿下が子供であるからでございます。

子供であれば、ある程度わたくしどもで思想の育成やご発言を操作できます。

また、未成年の国王に対しては貴族議会の力も大きくなります。

ですから、ハロルド殿下が王に値する人物でなくとも良いのでございます。

また王が若年であるということは、おおよその場合において、しばらく王が替わらないということでもあるのでございます。

途中に降ろすことは可能ですが、在位が長く続くとあれば王位をめぐった争いが起きにくくなります。政治が安定しやすく、他国からの付け入る隙を少なくするのです。

リチャード殿下を推すとなると、リチャード殿下のお年ですと、すぐに次代は誰だ、というふうになってしまうのです。

それは、現在、実質的に王位継承者の少ないわが国にとっては避けなければならない問題でございます。

仮に、ご成長されてからハロルド殿下のお人柄に問題があるようでしたら、何か理由をつけて退位させてしまえばよろしいかと思っております。

成人前であれば貴族議会によって追い詰めることもできましょう。

とりあえずは当座の間だけ、玉座についていただければ今のところは問題ございません。

もちろん、ハロルド殿下本人が良い王となるのでしたらお支えし続けてもよろしいと考えております。

…ハロルド殿下以降の王はどなたになるかわかりませんが、

ハロルド殿下の即位が成れば、早めにお子をもうけていただく事は必要かもしれません。

これは、後日に検討いたしましょう…。

十数秒の間、目をつむっていらっしゃった王妃様はゆっくりと目を開いてから、強く、太い声でおっしゃいました。

「セシリア、やるわよ。」

「はい。」

「私は前王妃として最大限に権力を振るいながら、これからを送るわ。憎まれるわよ。」

なんと頼もしいお言葉でございましょうか。矢面を引き受けてくださるとは!

王妃様のこの姿勢は本当にありがたく思います。ハロルド殿下のお心や、これからの立場をお守りするのには最も強い盾となることでございましょう。

わたくしは椅子から降り、服の裾が椅子に触らない位置まで下がってから深い礼を取りました。

「お支え申し上げます。」

わたくしが顔を上げると王妃様は、後光が差すような朗らかな強い笑みを見せてくださいました。

「やることがたくさんありそうね…。何から手をつけようかしら。」

「まずは、エリザベスちゃんに意思を確認することでございます。王妃になるか、なるとしたらどちらの王妃か、聞かねばなりません。」

「え? どちらのって、エドワードも含むの?」

王妃様は驚いていらっしゃいますが、わたくしには何を驚いていらっしゃるのかわかりません。

わたくしにとって、エリザベスちゃんが健やかに願いを叶えることが大切でございますから、エリザベスちゃんの意思を確認するのは必須事項です。

「もちろんでございます。先ほど、王妃様から頂いた案ではございませんか。」

元は、本日の議題でございました。

「そ、そうね…。」

ハロルド殿下が即位されたとしても、エリザベスちゃんが王妃となる可能性はあるのでございます。ですから、エリザベスちゃんに聞かねばなりません。

もし、ハロルド殿下の王妃となった場合は、年齢差がございますから、エリザベスちゃんが子を産む可能性は低くなります。エリザベスちゃんが政務を行い、若い側妃をとって子を産ませるのです。

そして、エリザベスちゃんがエドワード殿下の王妃となることを選んだ時は、我が家はエドワード殿下の治世をお支えします。そして先ほど王妃様がおっしゃったようにエリザベスちゃんが最大限の権力を持つように働く所存です。

王妃様は疲労を帯びた笑みでわたくしに約束してくださいました。

「とりあえず、あなたがハロルドと顔を合わせられるように計らうわ。」

それからいくつかのことを話したあと、わたくしはもう一度、礼を執り退出いたしました。

本日は誠に有意義な時間でございました。

帰りの馬車の中、揺られながらぼんやりと外の眺めます。すでに晩餐に近い時刻です。

遠い西の地にいるエリザベスちゃんは今何をしているのでしょうか。

王妃様とエリザベスちゃんのお話をしたからでしょう、たまらなく会いたくなってしまいました。

今すぐにでも会いに行きたいところですが、子に恥じない母であるために、今はやることをやらねばなりません。

取り急ぎは本日の話を夫に話し、我が家の方針を整えることにいたしましょう。