軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

検討2

わたくしはアルフレッドから引き継いでお母様にお話しいたします。

「お母様、我が領の兵力は周辺の領に比べ、それほど強くないのです。」

お母様は思案されます。

「そうなの。では強くなるようにすればいいのね。」

お母様にとって、動くということは強者である、という前提条件が身にしみた土台なのでしょう。

「確かにそれも大事でございますが、事が起きなければ強くなくとも何も問題がないのです。ですから、事を起こさないようにすることに最善を尽くすのでございます。」

この度は内乱の兆しです。ですから、領民のためには起こさないことこそ最善でございます。

お母様は不服そうですが何もおっしゃいません。

「お母様は、領の兵力補填のために、ご実家に…公爵様に支援要請のお手紙をお書きになるおつもりでございますか?」

お母様のご実家、グライヤ公爵領は我がギルシュ侯爵領と隣接しております。公爵領は面積、人口、財力など、他の領地より抜き出ております。

「そうよ。」

「でしたら、そちらはお任せしましょう。」

アルフレッドが焦りだしますが、わたくしの次の言葉を聞いてで落ち着きました。

「ぜひ、常の感謝と信頼を伝えるお手紙をお願いします。」

つまり、ごく普通のご機嫌伺いのお手紙です。

内乱があるとすれば、起こる前のこちらの状況をご機嫌伺いという形でやんわりとお伝えしておくのです。

我が領地の周辺で内乱が起った場合、騒動前のこちらの様子が少しでも分かれば、敵意がないことを汲み取っていただける可能性があります。

友好を築いている相手の、痛くない腹を探るのは百害あって一利なしでございますから、多くの方は避けたいところなのです。

「兵力は要らないの?」

「それは、必要なのだと確実になったときでよろしいかと。その時は、ぜひ援軍をお願いいたしましょう。」

力が動けば力を呼んでしまうことがございます。そうなってしまった場合、それは本末転倒です。

お母様のおっしゃるように備えることは大事ですが、備え方は選ばねばなりません。

それに、グライヤ公爵領が出てくる規模の内乱となると、身の毛がよだつ思いです。

「今は、グライヤ公爵領に借りをつくらないというのも大事でございます。」

お母様からお願いすれば大した借りにはならないかと思いますけれど、それでも借りは借りです。

それに、夫の王宮での立ち位置なども変わってくるかもしれません。

それをお伝えいたしますと、

「あぁ! それはそうね。失念してたわ。…私も耄碌したものね…。」

少し、落ち込まれてしまったようです。

お母様のご意見が落ち着いたところで、アルフレッドも会話に戻ってきました。

「他の領には俺が書きましょう。」

アルフレッドの言葉に安心いたします。他の領地に手紙を書くことに慣れているふうです。

他領との交流、情報交換などを些事とせずに学んでいるのでしょう。

「ありがとう、お願いね。ですが、北カリヤ辺境伯領にはわたくしが書きましょう。」

「それは助かります。」

辺境伯領にはわたくしが書いた方がよろしいでしょう。相手に対してアルフレッドでは格が劣ります。

他は子爵家が二家でございます。こちらはアルフレッドに任せましょう。

「領内の動きはどうします? 他に急ぐことはあります? 俺は、急ぐのは先程の昼食会だけじゃないかと思いますが。」

急ぐことではありませんが、やりたいことはございます。

「備蓄の話や領兵の配置を見直したく思います。今日明日を急ぐことではありませんが、そのうちには。」

「資料が必要な案件ですね。ここでは無理だし、急ぎでないなら今度ですね。今日はここまでにしましょう。」

お母様とアルフレッドにきちんとお話しができてよろしゅうございました。一つ、大事なことが終わりました。

わたくしは明日からの予定を頭の中で練りながらアルフレッドに応じます。

「そうですね。明日から急ぎ支度を始めましょう。」

とたん、お母様の一喝が響きました。

「だめよ。」

驚いてお母様をみると、怒ったお顔をしてらっしゃいます。

「だめよ、セシリア。ねなさい。顔色がとても酷いから、三日は休むのよ。」

後ろの方でアルフレッドも首を激しく上下に振っています。

わたくしはお母様の剣幕に負けて頷いてしまいました。

「大丈夫です。やれる事は俺の方で進めていきます。状況的に、三日で左右されるものは無さそうですしね。お疲れの中、お話しくださりありがとうございました。」