作品タイトル不明
再び養鶏場
冒険者ギルドを出て、街歩きをしていたフォンとサァラに合流した。
「じゃあ、ルナはギルドで狩り方の講師をして、私たちがおばあ様に来てもらえるよう交渉しに行くのね」
フォンが確認する。
「ばあちゃんがうなずいてくれたら、そのまま連れて来られるように、馬車を借りて行こう」
俺は商業ギルドでどの馬車を借りようか考えながら話を続けた。
「そっか。行きは駆け足でいいとしても、帰りの問題があるんにゃ。
明日、朝早く行く感じ?」
「そうしよう。
昼過ぎに着いて、すぐに出発できるならとんぼ返りできるけど。養鶏の都合もあるから、即決は難しいだろうな」
「前回は依頼だったから泊めてくれたけど、断られることもあるからさ。
馬車で行けば、そこで寝泊まりできる」
少し前にルナに馬車を勧められたんだが、そういう理由もあったのか。
多くは語らないけど、そういう経験があるんだろうな。
その日は馬車の予約をして、念のため野宿の準備を整えた。
翌日。
「道が悪いから、車輪を取られるぅ」
御者をやってくれるサァラが苦戦していた。
前回の往きは徒歩というか、駆け足で通り抜けた。
帰りは卵を運搬する荷馬車に乗せてもらった。養鶏場で働く人たちは卵を割れないように運ぶんだから、すごい腕前だったんだと改めて感心する。
養鶏場に到着すると、子どもたちが寄ってきた。
「あれれ~、また来たの?」
「また丼食べさせて」
歓迎ムードだ。あまり来客がないので、珍獣扱いされている気もする。
手を引っ張られて、まだ頼んでいないのに主人の元に連れて行かれた。
「どうしました? 何か問題でもありましたか」
心配そうな顔をさせてしまったぞ。
討伐依頼をこなして街に帰った冒険者が、すぐ戻ってきたんだもんな。
普通、何事かと思うよ。
ぬいぐるみの評判が予想以上で、作り方を教えて欲しいことを説明した。できたら街に来て、職人に教えてやってほしいことも伝えた。
「うちは片手間に作るかって話だから、作り方を教えるのは構わないよ。
じゃあ、誰が行くかちょっと話し合ってくるか」
話がすんなり通って、ホッとした。
話し合いには時間がかかるから、今日は泊まっていけと言われた。
「宿代として、また美味いもの食わしてくれよ。期待してる」
そんなふうに言われたら、張り切っちゃうよな。
台所に向かう途中で、ばあちゃんの一人に声をかけられた。
「ルナちゃんの分のぬいぐるみは完成しているよ」と。
「喜ぶよ。ありがと」
代金を立て替えて、ぬいぐるみを受け取った。
それを見て、フォンとサァラがそわそわしている。
「一泊してくなら、二人の分のぬいぐるみを朝までに作るけど」
ばあちゃんがニッと笑った。
「そんなことを言われたら、泊まるしかありませんね」
と、フォンはにやけそうな顔を隠すように、頬に手を添えた。
そんな顔、初めて見たぞ。
フォンとサァラは目をキラキラさせて、女性たちの群れに入っていった。
ええ……。
やっぱ、ぬいぐるみ、なんか変だぞ。