軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

10話 町長の依頼

一瞬でオークを倒せたため、馬車は引き返していなかった。

オークを倒した俺はヒーロー扱い。

乗客は怒鳴ったことを謝り、

「君の勇気は凄い! 感動した!」

などと褒めちぎっていた。

悪い気はしないが、どう考えても過大評価だ。

冒険者3人を放っておくわけにもいかなかったが、動いた一番の理由は時間を無駄にしたくなかったからだ。

まぁそんな無粋なことは言わずに、俺はその場の空気に合わせておいた。

その後はオークと戦っていた冒険者3人を馬車に乗せて、宿場町レアシルに到着した。

宿場町は旅人と商人に宿屋を提供している町だ。

迷宮都市フレイパーラに向かう際は、こういった町をいくつか経由していく。

そして俺は宿屋の1階にある酒場で先ほど助けた冒険者3人と食事をすることになった。

3人の紹介を軽くすると、

◯ピート

性別:男 年齢:13 才能:【剣士】

パーティのリーダーを務めるだけあって一番しっかりしている。

◯ケイト

性別:女 年齢:13 才能:【魔法使い】

パーティで唯一の女子。簡単な魔法しか使えないらしい。背が高い。

◯ダン

性別:男 年齢:13 才能:【盾使い】

パーティのタンク役。少しぽっちゃりとした体型だが、才能のせいで太ったとかではないらしい。

こんな感じ。

彼らは俺の一つ歳上ということになる。

「いやぁ〜、さっきは本当に助かりましたよ」

食事をしながらピートが改めて俺に礼を言った。

「気にしないでください。俺は皆さんの横取りをして倒したようなものですから」

「いやいや、普通はオークを一発でなんか倒せませんよ!」

ケイトは言った。

「本当だよね。僕なんか怖くて震えてたもん」

ダンは不甲斐なさそうに人差し指で頬をぽりぽりと掻きながら言った。

「ダンにはもう少し勇気を持ってもらいたいものだな。リヴェルさんを見習えよ」

「うぅ、頑張るよ」

「あ、じゃあダンが頑張れるようにリヴェルさんが普段どんなことをしているのか聞いてみようよ」

「お、ケイト。それは良い質問だ!」

3人は自分達の方が歳上だというのに俺を「さん」付けで呼ぶ。

俺は「さん」を付なくても良いと言ったのだが、尊敬の念を込めて呼んでいるみたい。

別に嫌な気分はしないので放っておいているが、少し慣れないなと思う自分もいる。

「普段どんなことをしているかって、強くなるためにしていることとかですか?」

「それを教えてくれたら凄い助かります! 良ければ俺たちの日課に取り入れようと思います!」

「まずは魔力枯渇状態になるために《身体強化》を利用しながら筋力トレーニングを行なっています。腕立て伏せ100回、上体起こし100回、スクワット100回を1セット。このとき1セットが終える頃に魔力枯渇状態になるよう《身体強化》の出力を調整しています。これを10セット、100分ほどかけて行います」

「あ、あぁ〜……なるほど……」

「ま、魔力枯渇状態……」

「そんなことやってたら僕死んじゃうよ……」

やってることを真面目に話したらドン引きされた。

魔力枯渇状態になることを話したのがいけなかったか?

あの苦しみは慣れる気がしないからな。

くっ……失敗した。

「というのは冗談で、父さんが剣術道場を開いているのですよ。それで指導してもらって今の実力があります。日課は腕が鈍らないように素振りしてるぐらいです」

俺は冗談ということにして、この場を乗り切ることにした。

「なんだ冗談か〜。リヴェルさんはユーモアのセンスまであるんですね」

「ホントよね。真顔で言ってたからつい騙されちゃった。魔力枯渇状態を何度も意図的に起こすなんて人間じゃないわよね」

「でも実体験を語っているような凄みがあったよね」

まぁ実際にやってますからね。

……なんて口が裂けても言えない。

「た、旅のお方! どうかお助けください!」

宿屋の扉を開けて入ってきた人が俺に近づいてきて、土下座し出した。

……ナニコレ?

「町長!?」

ピートが驚いていた。

え、土下座している人ってもしかして町長?

「あ、あの……頭を上げてください」

「おぉ心の優しいお方だ。実はオークを一撃で仕留めた貴方様の腕を見込んでお願いがございます」

「お願い?」

「はい。最近、この町の周辺にある洞窟に盗賊が住み着き出したのです。奴らは町の資源を奪い、好き勝手に暴れています。どうか退治して頂けないでしょうか?」

「申し訳ありませんが、お断りします」

「「「「ええッ!?」」」」

町長とピート達が驚いた。

俺が断った理由は単純明快だ。

「俺は先を急いでいるんです。資金も底を尽きそうですし、馬車での移動時間もかかります。なのでこの話は──」

言い終わる寸前、町長は俺に耳打ちをしてこう告げてきた。

「金貨1枚と若くて足の速い馬車を手配しますので、どうかお引き受け頂けないでしょうか?」

金貨1枚あれば一ヶ月は余裕で暮らせるな……。

馬車も良いものを利用すれば、移動時間の短縮にも繋がる……。

「──やはり、その盗賊退治の依頼引き受けましょう」

少しだけ胸を張った。

この行動から俺の虚栄心が透けて見える。

「さすがリヴェルさんです!」

「私達を助けてくれただけはあるね!」

「ぼ、僕達も何か手伝えることはあるかな?」

「その心配には及びません。相手の住処に乗り込むので、単独の方が都合が良いでしょう」

俺がこう言ったのは、報酬の分配が面倒臭いことになりそうだったからだ。

なぜ単独の方が都合が良いんだろうな。

……俺って、もしかして性格が悪いのだろうか。

俺は心の中で「ごめんなさい」と謝罪するのだった。