軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

78話 男たるもの。

「なんか、盗賊が多くね?」

風呂あがりに居間で寛いでいる四人娘に話を振ってみた。

「そりゃ、あれだ。だんなが舐められてるだけだ」

と、お茶を飲みながらシンディが言う。

「武器も持ってなくて、見た目も貧相で、高価そうな魔道具に乗った一人旅風、というならカモですわね」

むう、そう言われると、否定しづらい。

鎧でも、着込んで移動する方が良いのだろうか。いきなり弓を射られたりしたら怖いしな。

いや、マイ・カーに屋根と窓をつける方が早いな。雨が降った時にも良いだろうし。

あとは、武器を持ち歩く方が、却って安全ってことか。

それが地域性だというのなら、郷に従うべきだろう。

俺が持っている武器、というと懐かしの石造りの剣だ。

まあ、剣とは名ばかりの鈍器なわけだが。

よくよく考えると、もう鉄器も作れるんじゃないか。ならば日本人としては、あれだな。

ジャパニーズブレードこと日本刀の出番ではないだろうか。

「アースクリエイト」

鉄の生成。純鉄は金属とはいえ、比較的軟らかい。

鉄製のハンマーなんかでも、使っているうちに潰れて変形したりする。

炭素の混合物になることで、硬くなる。

刀を打つなら、不純物を除いたり、焼き入れ、焼きなましなどの手順が必要になるが、アースクリエイトには不要。

好きな硬さで、直接作り出せるわけだ。

とはいえ、硬ければ硬いほど良いというものでもない。

硬くなければ鋭い刃にはならないわけだが、硬くなれば逆に壊れやすくもなる。

一方で当然のこと、軟らかければ曲がり易くなる。

折れず、曲がらず、よく切れる、の日本刀は正しく芸術品なのだ。

軟らかさと粘りを持つために刀身の内部は軟らかく、側面は刀身を支えるための強度を持ち、刃の硬さは切っ先から刃元までの間でも変化する。

理想は全体が強靭なバネのようになること。

それを経験と技術で造り上げるのだから、匠の技なのである。

でもって、それを全てショートカットして造ってしまうアースクリエイトは神の技だな。

「でも、あんまり長いのをブラブラさせてもなぁ」

侍の持つ日本刀は打刀と言って腰帯に差す。

しかし、造りは芸術性が重んじられる文化になっていて、実用性重視という訳でもない。

握りには美しさが求められ、手が滑ると困るから、と荒縄で巻いたりすると馬鹿にされる。

どれだけ邪魔だろうと腰に長いものを差すせいで、刀同士がすれ違い様にぶつかったりして、そのまま斬り合いになったりする。

いくら郷に従うとは言っても、余計なトラブルは避けたいものだ。

刃のついた武器を街中で抜けば、いくら理由があろうとも問題視されることにもなる。冒険者がよくそれで兵士に捕まっている。

そういう意味では杖や鈍器の方が良い場合もあるのだ。

峰打ちです、と言ったところで、刃のついた武器を持っている時点で言い訳はできない。

峰と刃が逆であれば……無意味だな、うん。

「とすれば、だ」

見た目は杖、中身は刀、その名は。

「仕込み杖ー」

と、ノリで作ってみたは良いが、隠してどうする。

武器を持ってないと舐められるから武装するって話だったじゃないか。杖なんて突いていたら余計に狙われるよ。

でも、やっぱり武器を向け合うとか、怖いよね。

たとえ武器があったところで、手とか完全に無防備で相手の方に差し出してるわけだ。

指とかブスッと行けば終わるんじゃないだろうか。少なくとも、俺は戦意を喪失するね。

じゃあ金属製の小手を着けるべき? 結局重武装になる。

「うん、盾がいいな」

両手で保持できる持ち手に、構えた手を完全に覆えるだけのカバー。

カバー部分で殴れば鈍器に早変わり。

盾というほどの幅広だと鈍器としては振りにくいので、細長に。

盾として役に立たないと評判の、アルファベット最後の巨大人型ロボットが持つ盾のようではあるが、相手の武器を受けて殴るを目的とするなら良いんじゃないだろうか。

え、日本刀はどこにいったのかって?

折りたたみナイフのように、収納出来るようにした。

刃を出せば、ハンドガードのついた剣のようになる。見た目はちょっと独特だが。

「俺の考えた最強の武器、って感じだな」

こういうの作ってると、ちょいと胸熱である。