軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

52話 竜の乗る船。

ひょんなことから知り合った黒竜ニーナ。

泊まるというので、一人用ストーンシェルを増築。

夜は5人で交代しながら見張りをしたが、ネズミ一匹近寄って来なかった。ドラゴンが寝てるしな。

翌朝、ニーナもしっかり朝食を共にし、今現在も共にマイ・ジェットに乗っている。

「ほほう、竜が人を乗せるというお伽噺は聞いたことがあるが、人の作ったものに乗ることになるとは、重畳重畳」

「自分で飛んだ方が速いんじゃないのか?」

「まあ、そう言うな。主らとて、自分で走ることができようとも乗り物は使うじゃろう?」

まあ、その気持ちは判る。バイクとか、天気の良い日に走ってるだけで楽しいもんな。

車があるとそっちしか乗らなくなってしまうけど。屋根とエアコンは重要。

そんなわけで、ニーナはマイ・ジェットの中で、楽しんでいるようだ。

定員はオーバーしているが、椅子もパラシュートも要らないだろうな、こいつには。

朝方に出発して、帝国領土を南下。このまま南海岸に出れば東へ向かうことになる。

その前にはいくつもの港町が点在するようだ。

「帝国は土地が痩せていますから。海産物は重要な食料源なんですよ。海の魔物も積極的に倒しますし、海に生える草まで食べるそうです」

「あたしは、海の生き物は見た目が苦手なのが多いね。魚なら平気なんだけどねえ」

海の草というと昆布かな。見た目が苦手なのはタコとかナマコあたりだろうか?

今度買いに来よう。

「魚は良いですけれど、調理もせずに生で食べるのはいただけませんわ」

それ、刺身だろ?

さすがに、鱗ごとかぶり付く訳じゃないよな?

「ああ、よくひどい腹痛とか起こすらしいね。何でわざわざあんな食べ方するんだかねぇ」

寄生虫はこっちにもあるのか。それでも、ビタミンを取るためには重要な食べ方だからな。

寄生虫を殺すには、一度冷凍して内部までしっかり殺虫しないといけないらしいが、氷の魔道具はハンドレッドでも高価で、サイズも小さかったな。

まあ、俺は石化収納で殺虫できるから、安全に食えそうだ。

帝国の漁船は魔物を想定したものか、遠くからでも見えるほどの大きな固定弓が船に設置されている。

なので、海は避けて陸側に入った経路で進んだ。

射たれて撃墜されるとか嫌だからな。

内陸の方には遠くに立派な城があるのも見える。

そんな港町と内陸の街を縫うようにして飛び、方角は次第に東へ向くようになった。

もうしばらくすればハンドレッド王国に入ることになる。

「のう、ヨシツグよ」

ニーナが話しかけてくる。

「主、頭で考えるのが悪いとは言わぬが、もう少し言葉に出しても良いのではないか?」

しょうがないだろ、話すとマズい内容かどうか判らないことが多いんだから。

「それも解らんではないが、秘密を守ってもらえる相手を得ることも考えてはどうかと思うんじゃがな」

「まあ、そのうちな、そのうち」

俺の人生は長いんだから。

「なあ、ニーナ」

うん? シンディがニーナを名指しで話しかけるとか、珍しいな。遠慮が消えない感じだったのに。

「稀人ってのは何なんだい?」

「うむ。この世界とは別の世界からやって来た外来の者を我らは稀人と呼んでおる」

おい、ニーナさんっ?

「この世の理とは異なる存在であるからな、中には面白い者もいる」

「ヨシツグが、その稀人ってことなんだね」

「しかり」

うわ、絶対後ろから睨まれてるよ、これ。

後ろを振り向くのが怖いんですけど?

わき見運転はそりゃ危ないけれども。

「そういう方は他にもいらっしゃるんですか?」

アイリスがこんな話題に口を出さないわけないよな、うん。

「そうそう居らぬし、自然に来るものでもない。意思を持って求めるからこそ現れるものじゃ。現在存在する稀人を妾はヨシツグ以外には知らんな」

何でバラすかなぁ。

「なんじゃ、妾は問われたから答えたのみじゃ。一度でも秘密にしてくれなどと御主の口からは聞いておらんぞ」

ドラゴンの口に戸は立てられないか。噛み砕いたり燃やされたりして役に立たなさそうだ

「すると、誰かがヨシツグさんを呼んだということですか? いったい誰が?」

「そこまでは知らんのう。本人に聞くが良かろう」

「俺だって知らねえよ。この世界に来て最初に会った人間はシンディだぞ」

「それまた、稀なケースじゃの。普通は魔術を用いるものが、己が前に呼び出すものじゃが」

「それって勇者召喚とかいうやつか? 戦力にするために、国王とかが国を上げて儀式するとかの」

「それも、目的としてはアリじゃろうな」

もう、ここまで来たら聞けることは聞いておこうか。

「そしたら、それをやったのってハンドレッドの国王ってことになるのか?」

ハンドレッド国内に出たわけだし。

「あたしは聞いてないね。それに、あの親父が他人の力を当てにするとも思わないかな。いつも自分で殴りにいくよ」

たしかに、そんな感じだったな、シンディパパ。

「殴り合う相手が欲しくて呼び出したとかなら、あり得るかもって思えるけどね」

お断り致します。

「じゃ、次に怪しいのは宗教国家とかいうファティマだっけ? そこならどうだ?」

神様関係なら、そこっぽい。

「ファティマ教と言うのは世界の安定を求め、異物を排除する連中じゃからのう。稀人の召喚なんぞを行うとも思えんかの」

やっぱ俺って抹殺対象じゃないか?。

「……稀人に関する俺の話は、極秘でお願いします」

「ふむ、まあ良かろう」

ニーナはあっさり約束してくれる。が。

「後ろの4人もだぞっ」

返事してくれない。聞こえなかったとか言うつもりじゃないだろうな。

……外大陸に逃げる準備はしておこう。