軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

45話 世界を司るもの。

「戦士の試練ってなに?」

一旦村に来い、と槍を持った鳥人間に囲まれて集落のテントにいる。

これで今日中にファーレンに帰れないのが確定だな。

「試練の内容は、部族によって違うわ。鷹人族の場合はヘイズジェルを武器で倒すことね」

「どんな奴なんだい?」

「この辺に生息するジェルよ。人が近づくとすぐに逃げてしまう性質があって、鷹人族はヘイズジェルに追い付けるだけの速さを示して一人前と認められるわ」

ジェルって言うのは軟体生物の魔物らしい。

メタリックに黒光りでもしてるのかな? そいつ。

なお、内輪で話していればハンドレッド国の言葉になるようだ。区別がつかないので判りづらい。

ユキと鳥頭のやっていたダンスは、獣人族の連絡手段で、もう一つの言葉になっているとか。なんでも、獣人族の中には言葉を発音できない種族もいて、身振り言葉が今でも残っているそうだ。

さすがに、身振り言葉については俺の自動翻訳は役に立たないらしい。

「で、それをヨシツグが倒さないといけない、ということかい。やっぱ、あたしらが手伝っちゃ駄目なんだよな?」

「そうね」

「で、なんだって俺がそんなことしないといけないんだ?」

「力のないものに私の護衛は任せられない、だそうよ」

「いや、シンディとかエレメアとかもいるじゃん、何で俺?」

「獣人族は男社会ですからね。代表は必ず男性になるのです。この中で男性はヨシツグさんだけですから」

めんどくせぇ。

「じゃあ、問題解決のためには、ユキがこの村に残って陸路でハンドレッドに帰れば済むんじゃ?」

「最低ですわね」

「そんなのダメですよ」

「いくらなんでも、それは弁護できないね」

うん、言葉でなら何とでも言われれば良いけど、ユキはナイフ降ろそうな。

「しゃあねえ、サクッと倒してさっさと出ていくかぁ」

ヘイズジェルは森のどこにでもいる。魚の内臓でも撒いておけばすぐに集まってくる。

ただ、人が近づくと消えるように逃げて行くので、普通にしていても見つからない。

なので、見通しの良い場所を選んで、餌を撒いた。

青鈍色の塊が何処からともなく集まってくる。

潰れた丸いフォルムに尖った登頂部。

「そっくりだな」

「何にだい?」

おっと、声に出てたか。さすがに某モンスターを喩えに出しても通じないか。

「ああ、この大陸の形があのジェルって生き物にそっくりなんだよ」

これからはジェル大陸と呼ぼう。

「そんじゃいくぞ。アースホール。ストーンニードル」

ヘイズジェルは死ぬ。

「馬鹿もん、駄目だ」

見届け役の鳥人間が言う。

「試練は武器で行え。魔法は駄目だ」

えー、聞いてないよ。

とうとう、石の剣が役に立つときがきたか。収納から取り出す。

一応聞いたが、武器を魔法で作り出すのは構わないらしい。

ストーンニードルも魔法で作り出した武器ってことにならないだろうか。ダメですか、はい。

石の剣を構えて少しずつ近づいて行く。

そうすると、決まった位置まで近づくとヘイズジェルは消える。

大体40mくらいか。

限界ギリギリまで近づいてからダッシュ。そして石の剣を一閃。

ヘイズジェルは消え去り、石の剣は地面に突き刺さった。

「そんなやり方で、そう簡単に我らが試練を越えられるものか」

鳥人間が鼻で笑う。表情豊かなことで。

まあ、わかってるよ。一応試したんだよ。

板バネとワイヤーでクロスボウを作る。矢もアースクリエイトで作り放題だ。

「弓矢は良いんだよな?」

一応確認する。

「構わんぞ、倒せるものならな」

嫌な言い方をするなぁ。

40mの位置まで近づき、クロスボウを構える。

姿を晒して狙いをつけていても、ヘイズジェルは消えようとしない。

射つ。

狙い違わず、矢はヘイズジェルに突き刺さった。

「やった。これオーケーだろ?」

「駄目だ。ヘイズジェルは倒れていない」

ヘイズジェルが体を動かすと、刺さった矢が抜けて行き、後には地面に突き刺さった矢が残された。

近づくと消えるくせに、矢が刺さっても気にしないらしい。

「倒した後にはジェルの核が残される。それを持ち帰るまでが試練だ」

なんか、夜店の射的で、当たったのに景品がもらえなかったのを思い出した。

「要するに、デカイ物体がぶつかれば良いんだよな」

投石機をアースクリエイトする。

トレビュシェットというやつだ。

シーソーの片側に大きな岩を載せ固定してから、反対側により重量のある重りを載せる。

重りの方は細かいものをたくさん載せる形でも良い。

固定をはずせば、岩は持ち上げられて飛んで行く。

「これでっ、どうだっ」

数回の試行で狙いを調整して、飛ばした岩はヘイズジェルへ向かう。

岩が着弾する前にヘイズジェルは消えた。

「そりゃまあ、当たると死にそうなら、逃げるんじゃないのかい? 向こうだって」

シンディに分析されたのがなんか悔しい。