軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

17話 改めて神通力を使ってみよう。

大地収容の新事実が判明した。

銅貨以外でも、大銅貨、銀貨についても収納が可能であった。

これで財布が要らなくなるぜ、とはならなかった。残念ながら。

取り出すには地面が必要で、店の中はたいてい木床なのだ。お金を払う度にいちいち外に出るわけにもいかない。そもそも、お金を使う度に地面に置いたり取り出したりしては目立ってしまう。

それでも、当面使う予定のないお金を収納に貯金することはできた。

俺は、街のゴミ捨て場へ行き、片端から収納を試す。

鉄の断片。収納可能。

煉瓦の破片。収納可能。

欠けた陶器の皿。収納可能。

粘土の置物。収納可能。

炭の燃えカス。収納可能。

汚れた紙片。収納可能。

切れた革紐。収納不可。

腐った生ゴミ。収納不可。

ネズミの死体。収納不可。

魚の骨。収納不可。

壊れた木製の家具。収納不可。

要するに、生物由来のもの-植物も含めて-は収納できないが、それ以外は可能ということだろうか。

特筆すべきは、炭や紙が収納できたこと。もともとは木材で収納できなかったものが、炭化等することによって収納できるようになったと判断できる。

どうやら、大地収容とは思った以上に高性能な神通力のようだ。

では、他の神通力はどうだろうか?

大地知覚について考える。

アースサーチもアースソナーも便利だ。これはそのままで良い。

空中や海の中まで知覚が及ばないのは不便とも言えるが、理にかなっている範囲だろう。なにせ石長比売の神通力なのだし。

そういえば、以前森でアースソナーを使った時に、地下に石炭層があることに気付けていたっけ?

つまり……。

銅貨を一枚手に取って、大地知覚を発動する。

これは銅だ。

銀貨を手に取る。銀だな。

同じ様に鉄片は鉄だと判る。

見た目で判断したわけではなく、大地知覚の力でそう判る。

「なるほど。ゴーレムの石も、何の鉱石が含まれていたか、これで確認できたのかもな。アースディテクトと呼ぼう」

もっと早く、この力に気づいていれば……。

いや、別にだからといって現状の何かが変わるわけでもないか。

狩りで結構楽に稼げているしな。

では、最後に大地変容について、だ。

今使っているのは、地面に穴を開けるアースホール。

穴を土で満たして拘束するアースバインド。

地面をせり上げるアースリフト。

地面から石のトゲを出すストーンニードル。

石の壁を出すストーンウォール。

簡易拠点を作るストーンシェル。

石の形状を変化させるという使い方もよくやっている。これはアースクリエイト、とするか。

注目したいのは、このアースクリエイトだ。

もともと、ストーンニードルもストーンウォールも土の地面から石を出しているわけだ。

石というキーワードで自然に発動させたわけだが、これも応用が効くのではなかろうか。

「アースクリエイト」

地面からトゲを突き出させる。もともとはアースニードル、石にしたときにストーンニードルと呼んだわけだが、これを銅にできないだろうか、と。

つまり、カッパーニードル、になる。

目の前には光沢のある赤褐色の円柱が立った。

「できちゃった?」

アースディテクトで確認すると、確かに銅であるようだ。

これは、ニードルである必要もない。

「アースクリエイト」

インゴットのような塊でイメージする。

銅インゴットを作ることができた。

「これは、まさか……」

手に銅貨を持ち、それをよく観察する。

「アースクリエイト、銅貨」

銅貨と全く同じものが作り出された。

「いや、ダメだろ。アースクリエイト」

作った銅貨を潰し、銅片にする。

「ヤバい、通貨の偽造をしてしまった。この能力は秘密にしないといけないな。とりあえず人前では、今まで通り土と石だけ出せます、にしておこう」

人にバレると厄介事になりそうだ。

まあ、一人でこっそり活用する分には良しとするが。せっかく使えるのだからね。

「アースクリエイト、シルバー」

銀のインゴット作成。成功。

「アースクリエイト、ゴールド」

金のインゴット作成。……失敗。

「ありゃ?」

金は作れないらしい。

「この世界には金がないとか? そんなわけないな。金貨があったはずだ。見たことないけど」

金貨は銀貨100枚の価値になる。10万円だな。庶民が日常の買い物で使う貨幣じゃない。

「金は神様的にも特別な金属だったりするのか? 単にまだ、見たことがないから作れないだけ?」

見たことがあるかどうか、なんて判断基準も曖昧って気がする。

「そうすると、アースディテクトで確認したことがあるかどうか、とか、収納したことがあるかどうか、辺りが基準になりそうだな」

この辺は今後の要確認案件としよう。

成功すれば文字通り錬金術である。

ヤバいから、金儲けには使わないが。