作品タイトル不明
157話 魔王討伐
「武器は要らんのか?」
第六天魔王が抜いたのは、片刃で反りのある長剣。というか日本刀。
野太刀ってやつかな。
しかたない。もう少しデザインに拘りたかったんだけどな。……お披露目しちゃうか。
こんなこともあろうかと、密かに開発するのは男のロマン。
俺は、腰のベルトに両手を当てる。特に意味はない。
「変っ! 身っ!」
そこから腕を大きく上げて戦いのポーズ。
アースコスプレをした時と同様、全身に神石の防具を身に纏う。
鎧のような武骨さはなく、ボディスーツのような柔軟性のあるデザイン。
至るところにある膨らみは盛り上がった筋肉のようにも見える。
「ブラックボルダー・カトゥーラッ」
さあ、俺の新しい武器を見せてやるぜっ。
「また、けったいなものを出してくるね、旦那は」
「あ、あれ、この間ユウタさん達と作ってたやつですよ」
「たまに居なくなるとは思ってましたけれど……」
「なんか、獣人っぽい感じね。虫族かしら?」
「ボクも見てましたけど、皆で大笑いしながら作ってましたし、実用性はあるんでしょうか?」
「やっちゃえ、でござるっ」
なお、ブラックボルダーはどうも、対人戦には向かないかな、と最近思っている。
距離をとった攻撃や大きさで一方的に勝てる相手なら良いんだけど、向かってこられると精密に動けないこっちの攻撃なんて簡単に避けられるのだ。
タケル君にはほぼ一方的にやられてた。
まあ、そもそも今回はブラックボルダーの大きさだとすぐにリングアウトしちゃうんだけどね。
「ふんっ。始めるぞっ。けぇあぁぁぁぁっ」
第六天魔王の斬撃。俺はそれを片腕で防ぐ。
「むう、斬れぬだとっ」
いや、斬るなよ、試合だろ。なに首狙ってんだよ。防げるからいいけど。
ブラックボルダー・カトゥーラの装甲はFRPと同じ構造を持っている。神石の内部にはカーボンファイバーが仕込んであり、神石自体を破壊できたとしても、それが飛び散ることを防ぐ。
その結果、刃で切りつけても、残った破片が刃を左右から挟み込み、その動きを止める。
日本刀は真剣白羽取りをするに限る、という感じだな。
防弾チョッキなんかでは同じ構造で銃弾も止めるのだ。
まあ、一度破壊した部位にもう一度攻撃が当たると脆い、という弱点もあるのだけれど、そこは石長比売様の力で何度でも修復ができる。
「ボ・ル・ダ・ー・パーンチッ」
動きを止めた第六天魔王に渾身の拳打。
足から腰、肩、腕まで、稼働部にはアースアクチュエータが仕込んである。
俺自身の動きを底上げするアシスト機構だ。
普段は動きを阻害することはないが、攻撃が命中したあとに威力の底上げをすることが可能。
日本でも介護の現場や自衛隊装備として、重量物を運ぶのに研究されている。
なので。
「ぐおぅっ」
「リングアウト。マックス・ザ・ブシドーの負けです」
狭いリングから相手を押し出すくらいは可能。
どうせなら相撲とかにしておけば良かったな、ルール。それなら負ける気がしない。
「ま、まて。儂はまだ……」
「はははははっ。敗者は往生際良く下がるがよろしかろうっ」
ブシドーさんの代わりにリングに上がるジャスティス鎧。
「私には先程のような押し出しは通用しませんぞ。全ての攻撃をこの盾で防ぎきる。あなたに勝ち目はありません」
そう言って地面に巨大な盾を突き立てて固定する。
「ヨシツグさんっ。おもいっきりぶん殴っていいですよっ」
「こ、こらっいも……第六王女殿下。いったいどちらの味方を……」
こいつら、本当に家族仲が悪いな。
しかし……俺、連戦なの? これ。