軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

102話 ノーサイド。

「いや、どうも、ご迷惑をかけてしまったみたいで」

湯船に浮かべた盆にカップを置き、温めた白ワインを注いで向かいの人に渡す。

肴には先日ウィステラソンで仕入れた刺身を昆布で締め、さらに大根の浅漬けで挟んだもの。

本格的な寿司には遠いけど、まあ、似たようなものだ。今はこれが精一杯。

ニーナが日本酒を完成させてくれたら、合うんだけどなぁ。まあ、しばらく無理か。

「いえいえ、こちらこそ、お恥ずかしいところをお見せしました」

対面で湯船に浸かっているのは、オレンジの髪を持つ美丈夫。長めの髪と精悍な顔つき、それでも明らかに男性と判るほどの鍛えられた体をしている。

最も、その体は銀色の鱗で覆われているのだが。

あの戦いの後、人の姿になった銀竜。名前をライオネルさんと言うそうだ。

諸悪の根元であるニーナが立ち去ったため、こうして寛いでもらっている。

というか、ライオネルさんにとっては完全にとばっちりだったね。ごめんね。

ちなみに、ライオネルさんには怪我の一つもできてはいない。ドラゴンの防御力はあんな程度ではどうにもできないらしい。

一応、解説をしておくと、最初のフレイムフィストであるが、正拳突きのポーズで地面ごと石で固めた結果である。殴ることに威力があるわけではない。まあ、見せ技である。

そもそもの話、全身に大量に付けたアースアクチュエータを自由自在に扱えるか、と言えばそんなのは無理。ロボットを自分の体のように動かせるわけではないのだ。俺に出来るのは、いくつかのポーズを決めて、その位置になるように特定のアースアクチュエータを動かすだけ。それでも脳が焼ききれそうになる。

まあ、Aボタンを押したらパンチをする、と思ってもらえれば良いだろうか。

アースキャノンでのシャイニングショットは以前作ったエアライフルを大型にして、圧縮空気を弾丸形状で収納保存したもの。弾頭にはバイオディーゼル燃料と高濃度アルコールが充填されており、着弾と同時に炎が上がるようになっている。

日曜日の朝的にいうならナパームと呼ばれるやつだ。

弾丸も炎もドラゴンにはなんの痛痒も与えないのは、まあ仕方のないところ。ただの見せ技である。

最後のバーニングブレード稲妻斬りでは、バイオディーゼルを纏わせて着火すると共に、刀身を大地変容で加熱した状態にし、ジェット推進で飛び上がってから落下の勢いで打ち付けたわけであるが、ライオネルさんの防御力を貫けるわけもなく、技の際には刀身の根元まで粉砕してしまった。

その後の爆炎は最後に残ったありったけのナパームである。単純に見せ技なわけだ。

結論。ドラゴンなんかに勝てるわけないだろ。

「ええと、それで、僕はなぜ呼ばれたんでしょうか?」

一緒に風呂に入っている三人目。ドラスレ君ことノストさんである。

「いや、なんか知り合いだっていうから……?」

「その節は、お世話になりまして」

頭を下げるライオネルさん。

要するに、あれだ。ドラスレ君が退治したことになっているドラゴンの人がライオネルさんだったわけだね。

世界って狭いなあ。