軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

気を取られていた

第14話 気を取られていた

サンブレロ村のことばかり考えていた。

煙を上げる工場。

子供たちの声が響く学校。

回り続ける蒸気機関。

整列する消防隊――

順調だ。

すべてが、うまく回り始めている。

だが――

自分が“貴族”であることを、忘れていた。

その時だった。

妙に静かだ。

森の音が、消えている。

次の瞬間――

馬車が急停止した。

「どうした?」

「危険です。強盗です!」

「中に!」

御者の少年の声が震える。

外で怒号。

ガード二名が飛び出す。

剣戟の音。

金属がぶつかり合う音が、すぐ近くで響く。

だが――

「ガード付きか、ちっ。」

相手は様子を見ると、すぐ退いた。

足音が遠ざかる。

逃走。

静寂。

社長は、自分の手が冷えていることに気づいた。

(俺が……狙われた?)

現実。

貴族は守られる存在ではない。

守る側だ。

屋敷。

家族。

領地。

工場。

すべてが標的になる。

社長は急いで商人協会に依頼し、護衛を十人雇った。

だが――

数日後。

スターユニオン新聞、一面。

ギャング団暗躍。

商人一家襲撃、全滅。

焼け落ちた屋敷。

黒く焦げた壁。

そして――静まり返った庭。

空気が変わった。

これは、ただの強盗ではない。

組織的だ。

社長は孤児院へ向かった。

少年警備隊の訓練を見る。

まだ幼い。

だが、その目には意志が宿り始めている。

社長は、静かに口を開いた。

「選抜を行う。」

ざわめきが走る。

「家臣候補だ。」

空気が変わった。

少年たちの目が変わる。

守られる側から――守る側へ。

その覚悟が、そこに生まれる。

だが――

(俺は……この子たちを戦わせるのか。)

胸の奥が、重く沈む。

逃げたい。

だが、逃げれば守れない。

社長は、目を閉じ――

そして、開いた。

(……違う。)

戦わせるんじゃない。

守るための“仕組み”を与えるんだ。

そのために――

社長は、目を逸らさなかった。