軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ユ︰脱・簡素

予想外に軍資金が多く入った俺たちは、予定を変更して製材所に寄り道をした。

目的は建材、それから伐採用の斧だ。

最初の資材選択の時に選んだ農具の中に斧が入っていない事に建材が尽きてから気がついた。

斧があれば森の木を【伐採】スキルで製材できる。

……ただ、俺たちの森は木がグルグル捻れてるから、建材も使いづらい変な形になったら防壁建築に時間がかかって困る。

だからさっさと建材を買って、安全確保を優先することにした。

NPC販売の建材、多めに見積もって4万リリー。

斧もNPC品で一本300リリー、二人分の二本で600リリー。

残り2万4400リリーで装備を整える。

「僕の武器気にしなくていいのはラッキーだよね」

「それな」

まず買ったのは俺の弓。

【ヤナギの短弓】…威力+7

しなやかなヤナギを使った短弓。

製作者︰上弦弧月

これが800リリー

弓は不遇仕様だからかあまり選択肢がなくて、今日の露店に並んでいる中では一番良いのを買った。

【簡素な弓】が+2だから、そこそこ強くなっただろ。

防具は装備可能箇所が三ヶ所。頭、体、足。盾は武器の扱い。

アクセサリーは場所を問わず三つまで。

俺達の結婚指輪やβテスターの勲章みたいに『スロットを消費しない』って書かれてる物ならここにプラスできるし、効果のない完全な飾りだったらスロットを気にせず好きに着けられる。

何はともかく、初期装備の【簡素な旅装】っていう『服』を革製の軽鎧あたりにしたい。

初期装備なだけあって選択肢がほぼ無かったんだ……ローブか旅装か半裸だったら防御が欲しい物理攻撃要員は旅装を選ぶしかない。……最初の受付には装備無しの全裸(全年齢だからインナーは着ている)がチラホラいたのがオンラインゲームだなって感じがしたな。

【大鼠の革の軽鎧】…物理防御+5

麻の服に大鼠の革で急所をカバーする軽鎧をプラス。

製作者:シイタケ

【大鼠の旅靴】…物理防御+2、俊敏+1

大鼠の革で作った丈夫な靴。動きやすく長旅にも安心。

製作者:シイタケ

【大鼠の革の帽子】…物理防御+2

大鼠の革で作ったツバのある帽子。

製作者:シイタケ

ちょうどいい一式を売ってる店があったからまとめて購入。セット効果は無いけど、革が黒っぽいグレーでデザインも良い。

「うん、カッコイイ」

「どーも」

製作者のシイタケさんはまとめて売れた事に喜んで、俺が弓手だってわかると試作品の矢筒を格安で付けてくれた。

【パッチレザーの矢筒】…俊敏+1

様々な革の端材を縫い合わせて作った矢筒。

製作者:シイタケ

アクセ枠の矢筒は後回しだと思ってたから普通に助かる。

締めて900リリー。

これで残額2万2700リリー。

「……お金、全然減らないね?」

「うん」

露店に並んでる中では良い物買ってるんだけどな。

あぁ、そもそもサービス開始直後だから職人プレイヤーの技量が追い付いていないのか。

もしかしてNPCの店で買った方が良い物揃えられた可能性が……いやでもフルダイブVRでNPCとお揃いはちょっとな。

「リアルでもこれくらい金に困らない生活が出来たらいいのに」

「それな」

何気ない相棒の一言に、たまたまそれが耳に入ったっぽい通りすがった店の人までうんうんと頷いた。

次に買ったのはキーナの装備だ。

【木綿のローブ】…防御+3

しっかりした縫製のローブ

製作者:ハニーカプチーノ

【木綿の三角帽子】…防御+2

しっかりした縫製の三角帽子

製作者:ハニーカプチーノ

【リス革とウォルナッツの木靴】…防御+2

丈夫なウォルナッツの木靴。薄いリス革の裏地で足を守る。

製作者:常時特売セール中

ローブを売っていた店に靴が無かったから、そこだけ別の店で買った。

締めて710リリー。

残額2万1990リリー。

これだけ派手に余裕が残ったならアクセサリーも少し手を出そう。

「僕はアクセサリー系は自分で作ってみたいからいいや」

「ん」

相棒はクラフト好きだもんな。

俺はさっきのシイタケさんの店に戻って、目星をつけていた弓用の手袋を買った。

【薄革の弓用手袋】…弓使用時の威力+2

革を薄く鞣して弓を引きやすく仕立てた手袋。

製作者:シイタケ

物は良いのに弓使いの数が少ないからか中々売れなかったらしくて、買ったらやたら喜ばれた。

……これは後々装備がオーダーメイドじゃないと見つからなくなるやつじゃないか? 供給過多で溢れかえるか、需要が少なくて店に並ばないのは不遇職に割とよくある。

150リリー支払って、装備品は完了。

これで残額2万1840リリー。

「相棒、余裕あるならベッドの藁買おう!」

「藁?」

「敷布団無いからとりあえず藁ベッド作ったの。でも藁も無い」

「Oh……」

藁の無い藁ベッドって箱だよな? 棺桶かな?

「金あるし、敷布団買う?」

「あー、それも有りだね。どうせ藁育ててないから、交換必要だとまた面倒くさいし」

露店広場を出て、寝具屋を探す。

相棒がNPCの兵士に店を聞いて、無事に辿り着く事ができた。

毛布は最初に買ってあるから、羊毛の敷布団と麻のシーツを購入。

会計をしていると、店主の女性が世間話を振ってきた。

「そういえば、あんたたちは外で開拓してるって話だけど、明日は王国からお偉いさんが来る日だよ。見に来るのかい?」

「お偉いさん?」

「この開拓の音頭を取る人達だよ。騎士団長様と魔法師団長様と聖女様の三人。ちょっとしたパレードをしてお姿見せてくださるらしいよ」

へぇー。

店主の説明を聞くに、そのうち大型クエストとかレイドクエストがその三人から出されたりするっぽいな。

街の冒険者ギルドにはまだ行っていないから、クエストがどんな感じなのかわからないんだよな。その内受けてみるか。

ほのぼのと買い物を終えて店から出……た所で相棒が俺の腕をガシッと掴んだ。

「相棒……これだよ!」

「どれだよ」

いくら以心伝心バカップルでもね、通じる時と通じない時はあるんだ。