軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ユ:会議と自己紹介

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カステラソムリエさんに封印のヒト集めを頼んで次の日。

ちょうど日曜日なのもあってか、早々に集まる目処が立ったらしい。

「毎度おなじみ闘技場の個室に集合」

「おなじみだねぇ」

すっかり慣れた闘技場会議だ、俺達はさっさとゲーム内朝食をとって変装諸々の準備を済ませ、ピリオノートへと出発。闘技場で指定された個室に入る。

今回集まるのは『麗嬢騎士団』と『モロキュウ冒険団』、そして『マルドゥーク』という魔法使い達のクラン。そこに検証勢数人と、カステラさんが個別に声をかけたプレイヤーが何人かいるらしい。

ガルガンチュアさんの『グリードジャンキー』は今回不参加。

新ダンジョンが増えるわけでもないし、そもそも戦闘があるかも分からない。そしてちょうどピリオノートから遠い場所のダンジョンに遠征に行っているのもあって、「今回はパス」と返事が来たそうだ。

(思ったより人数が多そう……)

(本当に頭数とMPでゴリ押すつもりだな……)

カステラさんが本気だ。

まぁ、これを放置して滅びがフリーになった場合……あの綺麗な島の開拓地が犠牲になるだろうからな……俺達もそれは避けたい。

個室に入ると、これもお馴染みの円卓にお嬢様とグランド爺さん、卓の上の小さな椅子に森フェアリーことカステラさん。検証勢枠の論丼ブリッジさんと、何故かパピルスさんが一緒に。

そして……何人かの初見のヒト達。

挨拶を交わしながら俺達の席を探すと……ついに椅子二つですらなくなったか……無駄に高級そうな二人掛けのふかふかソファが俺達を待ち構えていた。

* * *

こうも人数が多いと、自己紹介だけでそれなりに時間がかかる。とはいえ初見が何人かいるからやらないわけにはいかない。

「始めまして、フェアリーで魔法職やってます『ピコトマト・ケチャップ』です」

「『☆フェアリータウン☆』の開拓主やってまーす、『魔法少女☆ドレッドノート』でーす」

初見はまず、見るからにMPが高そうな魔法職2名。

長い赤毛の三つ編みに赤縁の眼鏡と赤い服の女フェアリー……羽根が赤い蝶みたいになってるからアリストフェアリーの『ピコトマト・ケチャップ』さんは、キーナが作った『封印魔法習得セット』でドはまりしてせっせとレベル上げをした結果、もう【封印魔法】が20になったらしい。

なので【封印魔法】要員としての参加だ。

もう1人は名前の通り、絵に描いたような魔法少女風の装備を着た金髪エルフの女性プレイヤー。

『魔法少女☆ドレッドノート』さんは、自己紹介の後に森女姿のキーナを真っ直ぐ見つめると……両手をお祈りのように組んで、何回か躊躇ってから意を決したように懇願した。

「あ、あのっ……森女さんはNPCに『鎮魂の魔女』って呼ばれてるって聞きましたので……『大魔女お姉様』って呼んでもいいですか!?」

「うん? ……まぁうん、どうぞ?」

「やったぁ!」

両手を高く掲げて歓喜する魔法少女。

なんだ? 魔法少女は魔女に憧れでもあるんだろうか……なんて思っていたら、キーナから念話で答えが飛んできた。

(ドレッドノートちゃん、魔女集会にいた子なんだよね。だからかなー)

(あ、そうなんだ? ……ってそうか、魔女集会の会場って『☆フェアリータウン☆』だったか)

(そうそう)

魔女集会で大魔女扱いされてたのか。

もう手土産とかフリマで売ってた物とかで、森女が魔女集会に参加してるってのは把握されてただろうしな。

周りの会議参加者は『この魔法少女、そんなに森女のこと気に入ってたのか』って顔で少し驚いている。

それを正気に戻したのは、カステラさんの咳払いだった。

「はい、じゃあ次。『マルドゥーク』」

「「「「「「「ウッス!」」」」」」」

急に声を揃えて立ち上がるから驚いた。

クラン『マルドゥーク』。

魔法職ばかりの集団だというそのクランは、種族はほとんどがエルフかフェアリー。

装備はてんでバラバラ……と思ったら、マルドゥークの面々は無駄に揃った無駄のない動きでインベントリから陶器のペンダントと古代文明感のある耳と目がついた帽子を取り出し、一糸乱れぬ動きでその2つを装備して謎の決めポーズを取った。

「呼ばれて推参、マルドゥークです!」

「座右の銘は『ロマン求めてマイウェイ』!」

「合成魔法ぶっぱならお任せあれぇええ!」

「……はい、ありがとさん。着席」

カステラさんが慣れた感じで呆けた空気を終わらせてくれた。

マルドゥークの面々は若干それが不満らしく、絡み酒のように管を巻きながらガタガタとバラバラに椅子に座り直す。

「なんだよー、そうそうたる顔ぶれに会うから頑張って準備してきたんだぞー?」

「そうだそうだー、麗嬢騎士団と森一味がいるならこっちも制服がいるよなって、慌てて帽子とペンダント作ってきたんだぞー」

「それ即席だったのかよ……」

「ワシらモロキュウと検証勢には制服なぞ無いが?」

思わず口から出たグランド爺さんの言葉に、マルドゥークの1人は「チッチッチッ」と舌を鳴らしながら指を左右に振った。

「任せといてくださいよ。そんな事もあろうかと……ジャーン!」

そう言って取り出したのは……企業のスタッフとかがよく首から下げている、IDとか社員証とかが入っていそうなネックストラップっぽい物だった。

「はいどうぞ。おひとり、おひとつです」

「喧嘩しないでねー、全員にあるからねー」

「え、なんですかこれ、わざわざ作って来たんです??」

「うわ、検証勢が着けるとなんか違和感ねぇな!」

「いや1番似合うのパピルスだよ! スーツ着てるから完全にただのリーマン!」

「一人だけ世界観が現代!」

マルドゥーク達はバラバラな服装のプレイヤーにネックストラップを配布して、ご満悦な顔をしながらアイテムの説明を始めた。

「えー、こちらのネックストラップ……なんと1回だけクソ強い結界がドビャーンして散る仕様となっております!」

「え、そんな機能ついてんの?」

「普通にありがたい……けどマルドゥークってこういうの作るんだ?」

「何をおっしゃいますかね」

「ロマンを求めるとアマゾンの奥地とかに行かないとならん時があんだよ!」

「そんな時どうするかって? こういうの使ってゴリ押して行くんだよぉ!」

熱く語るマルドゥークに、モロキュウは苦笑いし、麗嬢騎士団はお嬢様だけが感心し、検証勢はぐうの音も出ない顔をしていた。

(……基本的にやかましいなマルドゥーク)

(だねぇ)

集団全員、テンションが高い。