軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ユ:内装作業中

久しぶりの建築作業……とは言っても内装だけだが、それでも久々の家造り要素でキーナはウキウキと楽しそうに紙へペンを走らせている。

かわいいなぁ。

「とりあえずね、内装のイメージは落ち着いた喫茶店みたいなのが頭に浮かんでるんだけど……相棒はなんか『こんなのがいい』みたいなのある?」

「……いや、特にないかな」

「そお?」

「俺がやるとコンビニになる」

「……効率求めすぎて?」

「そう」

ケラケラと笑うキーナの手元の紙を眺める。

今の所、箇条書きで書かれているのは……

『少し暗めの空間に、ランプの明かり』

『家具は木製でチョコレート色』

『鉢植えとか、植物の飾りを多めに』

の、三項目だ。

「焦茶色の木製だと……うちの木を使うなら塗料で塗らないとだめだな」

「そうなんだよねー、観葉植物は森の木でもいいと思うけど」

「ランプは? 作る?」

「細かい小道具は前に占い用のペンとか買った店で探してみようかなって」

「なるほど」

まぁなんにせよ……木材が必要か。壁とかも、今のクローバー模様のままじゃ雰囲気と合わないしな。

「じゃあちょっと手分けするか。俺は森の木の伐採して、壁と床張っておくから。その間に塗料か素材のどっちか、どこかの店で見繕って来て」

「オッケー」

【裁縫】は植物素材から即染色が出来るが、家具や建物は塗料アイテムが無いと塗装が出来ない。

まぁ【調合】スキルで塗料は製作出来るからな。塗料があれば【建築】や【木工】のスキルで簡単に塗装が出来る。

分担を決めたら一度覚醒して作業を開始。

夢領域はこの大きさで維持してもらったまま、まだ誰も入ってこないようにと作業がしやすいように、条件だけ少し変更しておく。

そしてキーナは変装状態で買い物へ、俺はネビュラに乗って、少し遠い所へ木を切りに向かった。

* * *

集めた木材を使い、久しぶりの【建築】スキルで床と壁と天井を張る。

……うん、全面が青みがかった白っぽい空間になったな。

ちょうどそこでキーナが戻ってきたので、買ってきた素材を並べて次の作業を考える。

「じゃーん! 『 色艶(いろつや) ドングリ』!」

「ほう?」

大きな麻袋にギッシリ詰まっているのは、焦茶色のつやつやとした大量のドングリだった。

「『色艶なんちゃら』っていうのは、染料向きの素材なんだって。色が焦茶になるだけじゃなくて、綺麗な艶も出るから建築とか家具とかに人気」

「なるほど……どこで買ってきたの?」

「パピルスさんのお店」

「だよな」

知ってた。

でもそうか。建築ガチ勢があれだけ建築してるなら、染料向きの素材の需要だってあるんだな。このドングリも、パピルスさんの店に卸している誰かがいるんだろう。

「これを家具とか柱のメインに使って……で、色を薄くしてメリハリつけたい所はこっちを使おうかなって」

そう言って次に取り出したのは、大きな籠に何本も詰めてある白っぽく細長い牙。

「『ヒビ割れた牙』だって。これは砕いて粉にしやすい素材で、塗料に使いやすいって言ってた」

「なるほど」

象牙色になりそうな素材だ。需要はそれなりにあるんだろう。

「じゃあ俺はこれを作業場で塗料にしてくるから、先に家具とか作り始めてて。木材は共有インベントリに入ってる」

「はーい、よろしくー」

地下の作業場で、素材を塗料に加工する。

出来た先から夫婦共有インベントリに放り込んで念話を飛ばせば、「ありがとーう!」とハイテンションな返事が来て、しばらくしてから個人メッセージでスクショが飛んできた。

壁と床と天井が象牙色の木材になり、角を埋めるように焦茶色の丸太の柱が立てられ、柱と柱の間に同じく焦茶色の木で梁が出来ている。

おお、雰囲気良いな。

やっぱり色が変わると印象が全然違う。

塗料を作り終えて夢の中へ戻ると、内装はさらに色々と追加されていた。

片側の壁に奥行きが浅めのカウンターっぽい台。

その反対側にテーブルと、椅子が向かい合うように二つ。

そして席からカウンター側を向いて、左の壁に背の高い棚が、右の壁に小さめの扉が作られていた。

「……ド根性さんは通れないな」

「そもそもド根性さんの種族はこの部屋に入れないよ」

「それな」

もう少し広い空間を扱えるようになったらその辺は考えよう。

「……テーブルのあたりに窓欲しいな」

「あ、わかるー! 窓開かなくていいから景色欲しいよね」

とはいえ、無理に窓を突破しようとされても困るんだよな。

そう考えると、そういう発想を導かないように窓はやめておいた方がいいかもしれない。

「それなら風景画とか?」

「うん、絵ならいいかもな……相棒、描く?」

「んん〜、そういう絵は僕は向いてないからパス」

と、なると……どこかで買うなりしないといけない。

「とりあえず額縁だけ飾っておこう」

「ええ……」

何故か空っぽの額縁がテーブルの上の壁に飾られた。

ああ、でも……かなり雰囲気は出たな。

焦茶色の家具が象牙色の部屋にキッチリと収まって、統一感がある。

そうして俺達が途中経過に満足していると……ミミーが「ホーウ」と俺達を呼んだ。

「ホホーウ……主、摸摸具和の同 胞(ホー) が溢れる好奇心によりて、扉より来訪を希望している模様」

「むえ?」

摸摸具和(モモンガ) の同胞……どうやら、夢のモモンガ幻獣が、作りかけの店の夢を訪ねて来たらしい。