軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ユ:予告ムービーと魔武器のイメチェン

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今日の夕飯は、鶏肉と余った野菜を色々入れたクリームシチューに、パスタをマカロニ代わりに短く折って入れた、ありあわせグラタンモドキ。

「大変おいしゅうございます」

「そりゃよかった」

「パスタ短いと確かにマカロニっぽく感じるねぇ」

「イタリア人は怒って走ってくるかもしれないけどな」

「いーのいーの、我が家にそんなルールは無い」

食事をとりながら、 エフォ(EFO) の公式サイトをタブレットで開く。

今日は春のアニバーサリーイベント予定表に記載されている最後の『???』の内容が、動画と一緒に発表された。

「今回は当日まで内緒じゃなかったね」

「だな」

ムービースタート。

最初に画面に映ったのは、勝利の女神の聖女、ヴィクトリア・ファラ・シュタールだった。

聖女ヴィクトリアは語る。

語りに合わせて、童話の挿絵のような一枚絵が差し込まれる。

本国の戦の神の悩みと羨望。

そして欲に染まった分け身が開拓地へ来てしまった事。

戦の神の妻である勝利の女神がそれをたしなめ、迷惑をかけるであろうヒトの子への支援として聖女を派遣した事。

そこからは今までのダイジェスト。

俺達の寄付を始まりに、様々なプレイヤーと協力して戦の神の影を追う。

そして今日、とあるダンジョンを調べたプレイヤー達が、戦の神の影響を受けてスタンピードが引き起こされようとしている兆しを確認した。

場所は二ヶ所。

ピリオノート近くの山と、日ノ出桜の都近くの洞窟。

それぞれの街へ、同時にモンスターの群れが襲来するイベントらしい。

『どちらも最低30万はかたいと思われます』

深刻な顔をする聖女ヴィクトリアが、ピリオノートのトップ3へ進言し、それぞれが力強く頷く。

すぐに書簡を持った斥候クロウが和風の城へも飛ぶシーンが挟まったかと思えば、洋風の城と和風の城両方で慌ただしく兵達が駆け回る様子が映る。

そして和風の城で、強い武将って感じのおっさんが、女武将って感じの若い女性に『父上!』と声をかけられて頷くシーン。

『まったく、就任早々に敵対組織の相手までせねばならず忙しいというに……新しく冒険者となった新人にも迎撃に参加してもらわねばなるまい』

これが和風の街の偉いNPCっぽいな。

最後に エフォ(EFO) のロゴを大きく映してから、暗転。

ムービーはそこで終了した。

「わー……30万ですってよ」

「うん、それもあの言い方だと、片方に30万かな」

「つまり両方足したら60万? まーた エフォ(EFO) はそうやって初心者に大軍をぶつけようとするー」

「まぁ今は高レベルプレイヤーも増えてるから……」

去年の唐突な大軍よりは、前情報がある分だけマシだろう。多分。

「でも今日じゃないよね?」

「違うね。春イベントの最後だから……来週かな」

「じゃあ準備はのんびりでも大丈夫かな」

「忘れなければ」

逆に日にちが開く事で忘れる方が危険だ。

ポーションなんかの準備は、先に済ませた方がいいかもな。

* * *

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さて、今日は確認したい事がひとつある。

それは……魔武器の見た目についてだ。

卵から孵ったばかりの魔武器は、ぱっと見が石の目玉。

見た目が……うん、ちょっと好みじゃないんだよな。目立つし。

昨日ログアウトしてから掲示板で調べてみたら、寝ても覚めてもレベル上げしているような戦闘勢はそれなりに魔武器持ちが増えていて、色々と情報も増えていた。

その情報によれば、『頼めば見た目は変わってくれる』らしい。

「なにそれ素直」

「……じゃないと目玉は苦手なプレイヤーもいるだろうしな」

俺は、俺の弓で育った魔武器の核をあらためて確認する。

割とシンプルな木製の弓に石の目玉は……うん、小さめだけどやっぱりミスマッチだな。

これがガラスとか宝石っぽい見た目ならもう少しファンタジーっぽく馴染むかもしれない。

俺は魔武器の核のあたりをツンツンつついて声をかけた。

「……目玉っぽくない、ガラス玉みたいな見た目になれるか?」

目玉はクルンと考えるように視線を回すと……スゥッと半透明なガラス玉のような見た目になった。

「「おおー」」

なんとなく揃った歓声が出た。

「うんうん、これならファンタジー作品によくある謎のオーブ付き武器っぽい!」

「……掲示板によると、金属質な見た目でもいいらしい」

「へぇー!」

これだけ見た目が変わるなら、昨日のイベントの戦闘勢も分からなかっただけで魔武器持ちはもっと多かったかもしれないな。

……って事は、ガルガンチュアさんは目玉武器を気に入ってそのままにしてるって事なんだが。好みは人それぞれか。

俺は隠密がしたいから……光を反射しないような見た目にしよう。

後は色。

そして俺の弓は色が変えられる仕様になっているから、主に装備に合わせて白か黒かにする事が多い。だからまぁ、何色でも合うだろう。

「……緑色で頼む。光は反射しない感じで」

核は少し間を置いてから、またスウッと見た目が変わった。

「「おおー」」

再び揃った歓声が出た。

「いいねぇ、これだと魔武器って事も分かんないかも。相棒の弓の子だと小さいから余計に分かんない」

「うん……まぁよく考えたら、武器を新しくする度に核を引っ越すってなるなら、見た目は変えられないと困るよな」

「それはそう」

これで見た目も落ち着いた。

後は今までと同じ、武器として使っていけばレベルも上がっていくんだろう。餌や寝床のいらない育成要素だ。

「名前はどうするのー?」

「……あー……考えてなかった」

まぁ、魔武器の名前は武器を引っ越す時に必要になるだけらしいからな……ゆっくり考える事にする。