軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:そして色んなモノを貰った。

ひょんな事から理の女神様と技術神様のちょっとしたわだかまりを解いた僕らは、女神様が落ち着くのを待って本題に戻ってきた。

「……よいか? まず、魔法の霊というモノは無い」

「そっかー」

んんー、残念。いたら面白そうだったんだけど。

でもオバケじゃなくても魔法を引っ張ろうとした事には変わりないので……ヒトから魔法を回収して、でも大切な思い出だから消したくなくて、大事に大事に抱え込んでいた女神様はそれを感じ取ってビックリして、『どういうつもりだ!?』って逆に僕を呼び出したんだって。

「……今回は予想外の事であったし、悪意も無かったので大目に見よう。……その……欲していた魔法も……そなたらにならばくれてやる……だが、これを元にルールを設けたので……今後、同様の手段は取れない。なのでこのやり方は、あまり吹聴せぬように」

「はーい」

多分、ロストマジックを取り戻すこと自体は、運営も想定してたんじゃないかな? 僕が変なルートこじ開けてショートカットしちゃっただけで。

だから、初回限定の思い付きご褒美で通したけど、基本は正規ルートを通ってもらうって事だね。

じゃあ今後、本をオバケ仕様にして【住居登録】したらどうなるか聞いてみたら『……紙魚の霊でも来るのでは?』って答えが返ってきた。紙魚かぁ〜

まだちょっと顔が赤い理の女神様がクルリと手を回すと、その手の中に僕が作ったまっさらな本が現れる。

その本を女神様がギュッと抱きしめた。

そうしてから渡された本には、ページにビッシリと色んな図形や文章が書き込まれている。

「これでよかろう。……その……そなたが希望していた、昔の話も……魔法と一緒に、少しばかり書き込んでおいた……」

「やったー! ありがとうございます!」

つまり、女神様の惚気入り魔導書をゲットだぜ!

なんて素晴らしいお宝!

あれ? つまりこれは、忘れられてた神話の一節とも言えるのでは? 広く普及しないといけないやつでは??

「書き込んでもらったお話は、周りに広めてもいいですか?」

「……魔法ではなく?」

「昔話の方です」

「魔法ではなく???」

何度訊いても答えは変わらないのよ女神様。

失われた古代の魔法なんてロマン溢れる代物を、ほいほい配布するわけないじゃんすか。

「女神様がイヤならやめます。内緒にします」

「……や、その……神が、神話を語られるのを、拒絶する道理は、無い……そういう、モノだ……好きに語るといい……」

「ありがとうございます!」

わーい、やったー! 本にしてフリマで配ろう。

女神様、顔真っ赤で照れるのマジでかわいいね。

「ただ……その本で授けた魔法は、一度終わりとしたモノ。今はもう……こうして面と向かい、その心根を認めたモノにしか託さぬと決めた。……もし、そなたらが一度でも『この魔法はもういらぬ』と口にしたなら、その本より跡形もなく消え失せ、二度とそなたらの元へは戻らぬ」

うんうん。同じ過ちを繰り返すなって事だね。

僕らは特別許可を貰った状態。約束を破ってはいけないっていう童話みたいな状態になっている。

これが失われた魔法を使用するのに必要なルールって事だね。

「故に、この本へ記した魔法を他の者へ施すのならば……そなたらが信を置けるモノのみにせよ」

「わかりました。……もしも他の誰かが同じように失われた魔法を預けて貰って、そのヒトが約束を破って没収になったら、僕らの本も没収になりますか?」

「いいや、それはしない。その個からのみ消え失せる」

「了解です」

まぁそういう事なら……僕らは僕ら夫婦だけで使う事にしよう。フリマとかで売るアイテムにも、この本の内容は使わない。

その内、僕ら以外にも辿り着くヒトはいるだろうし、情報を公開するかどうかの判断も他の誰かにお任せ。

もしもアイテムにして配布したくなったらね、それ用にオリジナルの魔法を考えればいいだけだから。

──称号『古代魔法の使い手』を取得しました。

あ、称号生えた。

すごーい、魔女っぽーいって思っていたら、相棒から念話が飛んでくる。

(なんか『古代魔法の使い手』って称号生えたんだけど……)

相棒にも生えてる!

僕らは夫婦で拠点が共有で、つまり【住居登録】した家も共有になるからそのせいかな? 一緒にここでお話聞いて、二人共に貰った感じだったしね。

その相棒は、僕が理の女神様から話を聞いている間、すぐ近くで技術神様に絡まれていた。

なんか、『円満の秘訣は……』とか訊かれて『……お互いを尊重する事じゃないですかね?』とか返事をしていたのが聞こえてた。

失われた魔法の本を貰って、これで用事は終わり。

じゃあ帰ろうってなった所で、僕らはニッコニコの技術神様から、それぞれひとつずつアイテムを渡された。

それは、根付みたいに細い鎖で吊るされている豆本だった。

【技術神のお墨付き】

技術神が目をかけている証。

装備していれば、本国の神々も邪険には出来なくなるだろう。

技術神を信仰する者からは尊敬の念を得られ、好感度が大幅にアップする。

「お二人は日頃から面白い事をしていますし、今回は良い気付きをさせていただいたので」

「気付き?」

「ええ……本に魔法の霊を降ろそうという発想と、妖精女王の指輪の転移は神々の領域にも及ぶという事と……そして、彼女の内心とです」

並べると結構色々あった。

「ありがとうございます」

「……ありがとうございます」

「これからも精進してくださいね」

「では、元の場所へと帰そう」

「はーい、ありがとうございました」

「……ありがとうございました」

二柱に見送られて、僕らは再びカラフルな薄布に包まれる。

そして目を開けると……そこは元の拠点の自室だった。

……そして、目の前のテーブルにポヨンとしたオシドリが乗っていた。

「お帰りなさいませ」

「「誰!?」」

思わずツッコむ僕らへ、オシドリは丁寧にお辞儀をした。

「ワタクシは恋の女神の眷属にして、本日は使者でございます。今回、お二人が理の女神と技術神の恋模様について多大なる貢献をいたしましたので。これまでの恋人達への貢献と合わせまして、恋の女神より褒美を授けることとなりました」

「……マジか」

「女神様に会ってもいないのに」

「まずはこちらでございます」

そう言いながらオシドリが差し出したのは、立派な縁取りがされた羊皮紙だった。

【名誉キューピッド認定証】…品質☆

世界の恋する人々へ多大なる貢献をした証。

受け取った本人の所有扱いになっていれば、本国の神々NPCの好感度が僅かに上昇する。

手放すと恋の女神からの好感度が大きく下がる。

「……名誉キューピッドって何だよ」

「認定されちゃったよ」

──称号『名誉キューピッド』を取得しました。

「称号も来るのかよ!」

「認定されちゃったよ!」

「次は、こちらでございます」

続けてオシドリが差し出したのは、かわいい翼をモチーフにしたペンダントだった。

【恋の女神のお墨付き】

恋の女神が目をかけている証。

装備していれば、本国の神々も邪険には出来なくなるだろう。

恋の女神を信仰する者からは尊敬の念を得られ、好感度が大幅にアップする。

「……お墨付きだ」

「会ってもいないのに!?」

「こちら、お二人は夫婦との事で、羽をこう……噛み合わせる事が可能な、ふたつでひとつの対となる特別仕様となっております!」

「恋人向けのアクセによくあるやーつ!」

「……なんだその気遣い」

「では、以上をもちまして伝達を完了といたします。今後とも、あまねく恋に悩む者たちへの協力を惜しまぬよう! それではこれにて!」

オシドリはパタパタと飛び去り虚空へと消えていった……

「……神コレ、一気に二つも増えちゃったよ」

「だな……」

「称号も増えちゃったよ」

「増えちゃったなぁ」

まぁ増えた所で、 エフォ(EFO) は特に厄介事が増える感じじゃあ無いからいいけどね。