軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:『死の狩人』

スッ転んだジャックが大丈夫なのを確認して、僕は相棒が試し撃ちをしているところにジャックを連れて行った。

「ワーイ、旦那サマー」

「……ジャック、思ってたよりでかくなったな」

ヒラヒラ飛ぶ霊蝶ちゃんたちに取り巻かれながら、フッシー達に孫みたいな扱いされてるジャック。

そんなほのぼのした光景を眺めながら、僕は相棒に機械とかカラクリっぽい物が動く条件の話を聞いた。

なるほど、魂さえ入ってれば割と何でも動く、ね。

ジャックがあっさり身体を獲得したのもそういうことなのかも。

そしてボウガンとかを動かすのに魔法を組み込むって言うならさ……

「じゃあアレ使えるんじゃない? 魔道具屋さんで買った、魔道具関係の本」

「ああ、そういえばそんなのもあった」

「部屋の本棚に入れたから、好きに読んでいいよ」

「ありがとう」

露店で時計とか見かけないのはそれが理由だったんだね。

いつか可愛い柱時計とか懐中時計とか出てくるといいな。

* * *

のほほんとした時間をすごした後、ネビュラが「よし」と呟いて相棒に話をし始めた。

せっかくだから、僕もそれを眺める事にする。いつもは僕とオバケたちのやりとりを相棒が見てるからね。たまには逆があってもいい。

ジャックは体を動かせるのが楽しくて僕の作業用ナイフ片手に外に遊びに行った。フッシーも付いて行ってくれた。お爺ちゃんと孫の散歩かな?

ジャックは体を持った事で村人とかのNPCと近くなったけど、元が死霊だから死んでもロスト扱いでどこかに行ったりはしないって。安心安心。

ネビュラは相棒の前にお座りして、重々しく口を開いた。

「さて主よ。それなりの時を共に過ごして、主の得意な戦い方を把握した。なので、そろそろ本格的に精霊である余を扱う術を教えようと思う」

おお、精霊の取説。

確かに、今のところメインが乗り物だったもんね。

動き方も割と消極的だったし、観察がメインだったのかな。

そもそも精霊と従魔の違いは何か?

従魔は完全に独立している生き物なのに対して、精霊は同行を決めた主人と一心同体って感じになるモノ。

従魔はレベルもHPも固有の物を持っていて、攻撃を受けてHPがゼロになれば登録しているリスポーン地点に死に戻る。

精霊は、レベルの数字は主人と同一になる。そしてHPのステータスが無い、だから精霊だけ死に戻る事がない。ただし、精霊が受けたダメージは全部主人にフィードバックされる。

こうやって比べると結構違うね。

「精霊使いでもテイマーでもなく、余との関係に特化した主はどこにいようとも余を呼び出すことが可能だ」

サモナーみたいに呼んだあと送還するんじゃなく、呼んだら呼びっぱなしでOK。そのまま活動もできる。

じゃあ常に連れ歩かなくても大丈夫なんだね。

まぁ相棒は犬好きだから好きで連れて歩いてた気もするけど。

「そして主の下に余がつき『死の狩人』として経験を積む事で互いの魂が馴染んできた。そろそろ余と同化して戦う事ができよう。……どれ、やってみるか」

ネビュラがワオーンと遠吠えすると、濃い紫色の影になって相棒の体を包み込んだ。

影はすぐに形を変えて……半透明の鼻から上だけを覆う狼のお面と尻尾、それから毛皮のマントみたいなオーラが相棒に生えた。

「おー、かっこいい!」

スクショ撮っとこ。

「……何がどうなってる?」

『余のステータスが主に追加される。ここぞという時に使うと良い。闇魔法も高レベルで扱えるぞ。ただ……』

少しすると、ネビュラがスポンッて感じに相棒から出てきた。

「まだまだ馴染んだばかりなのでな。同化していられる時間は斯様に短い」

「……馴染めばもっと長くなる?」

「『死の狩人』として経験を積めば継続時間は長くなる。上位職になればさらに増えるであろう」

「なるほど。MPも使わない強化は良いな」

「なれば、余と同化する合図となる言葉を決めるがよい」

「……魔法登録みたいなやつか。わかった考える」

ネビュラが言うには、エレメンタルなんちゃら~みたいな普通の精霊使いは、色んな種類の精霊を使役できる代わりに、同化はできないんだって。

同化できるのは一体の精霊と一対一の関係になる職業だけ。

「死の精霊とは死の海の管理者。簡単に言ってしまえば『あらゆる生命を死の海送りにする』のを最も得手とする闇魔法の担い手だ」

じゃあ、そもそも闇属性の魔法って何ができる魔法?

ネビュラはそんな疑問が耳に届いたみたいに頷く。

「光と闇は、単純に明るいか暗いかという属性ではない。回復魔法が光魔法の領分なのは知っておるか?」

「それは知ってる。ヒーラーは最初に光魔法を習得する」

「ならば話は早い。光が与える属性ならば、闇はその反対。あらゆるモノを奪う力」

命を奪う。

力を奪う。

光を奪う。

魂から、あらゆるモノを洗い流す。

「それがこの世界における闇の役割よ」

「つまりドレイン系?」

「レベルが高ければ即死もいけるぞ。あとは肉体デバフもそうか、盲目や沈黙等も含まれる」

想像力次第なのは他の属性と同じだね。

ネビュラは同化すると闇魔法が高レベルで扱えるって言ってたから、同化して即死魔法とか使えば通りやすいのかな。

肉体デバフ耐性は強靭のステータスで上昇するから、そのへんのステに闇魔法が勝てるか、みたいな判定なのかも。

「主ならば、自らの音を消すあたりが使いやすいのではないか?」

「消音か」

うーん、闇属性なだけに闇討ち向きだねぇ。

でもつまり相棒的には使いやすいのかもしれない。

説明を受けた相棒は、あーでもないこーでもないって魔法を使いながら長考を始めた。

いつものビルド組んでる時の相棒の顔。

……ふむ、こうなると相棒は納得するまで集中しちゃうからね。

邪魔しないように、何か別の作業でもしてようかな。

そう思った時、転移オーブの所にベシャっと何かが落ちた音がした。

「マスター……死に戻ッタァ~」

「ジャックー!?」

テンションマックスでウサギを追いかけて山の方まで行って、ワンパンベアにワンパンされたって。

フッシーがゲラゲラ笑いながら教えてくれたよ。

君達、オバケなのを良い事に死が軽すぎやしないかい?

プレイヤーの僕が言えたことじゃないけどね!