軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:世間の流れと詐欺疑惑

ログインまだです。

仕事が終わって帰宅した僕は、雄夜から衝撃の話を聞かされた。

「いいぃーなぁああー!?」

「言うと思った」

だって!!

そんなかわいいムーブするクソデカバードとその子供でしょ!?

「前にアーチ潜って落下してる時に見た鳥でしょー!? 僕も会いたかったー!!」

「……あぁ、あの時のか。一応スクショは撮ったけど、見る?」

「見る!」

見せてもらったスクショには……夜の闇の中に紛れて目だけが浮かび上がる、輪郭も何もあったもんじゃない姿が──!

「見えねぇえええ! 写ってるのに見えねぇえええ!!」

「デスヨネー」

「ズルいわ! ズルいわ! 雄夜ばっかりかわいい鳥ちゃんに出会ってズルいわー!」

「かわいさよりデカさの方が印象強いんだよなぁ」

「こうなったらアテクシも街に買い物に出てキャワワなワンちゃんに出会ってモフり回してきてやるんだからぁー! あ、なんか買ってきて欲しいものある?」

「ネビュラ撫でて待ってるわ。豚肉とかソーセージ、適当に補充してきて」

「ハイヨー!」

まぁ別に怒ってないしイラついてもいないよ。本当にズルいと思ってるわけでもない。

ただのジャレ合い。相棒もそれはわかってるから、お互いケラケラ笑ってるしね。

* * *

そんなわけでログインしました。

ゲーム内朝食を済ませて、僕は宣言通りピリオノートへ、変装は無しでシマエナガのシロちゃんをお供に連れつつお買い物。

一緒にお出かけは昨日したからねー、今日の相棒はお留守番です。

春のピリオノートは、そこらの地面を見るとタンポポを筆頭に素朴な花がたくさん咲いている。

んん~……白詰草を見るとちょっとヒヤヒヤするねぇ。白夢草だったりして、とか思っちゃう。

……とか思っちゃってたら、真剣な顔をしたフェアリーが数人、飛んできて虫眼鏡片手に白詰草をチェック、手元の紙に何か書き付けてまた飛んでいった。

そうだった、お城からのクエストがもう出てるんだったね。

後続のフェアリープレイヤーがアリストフェアリーになるために使えるから、受けるヒトはそこそこ多いみたいでひと安心。

さて、買い物に来たら、まずは新聞を買わないと。

僕はあんまり掲示板を見ないから、 エフォ(EFO) の現在進行系の事件とか、注意しておいた方が良い事とか、そういうののチェックにちょうどいいんだよね。面白い事も書いてあるし。

「1部くださーい」

「まいどー」

アルバイトみたいな街人NPCっぽいヒトから購入。適当な壁際に寄って、軽く見出しにだけ目を通す。

えーっと、まずは『白詰草に御用心!』

おー、トップニュースになってる。もうお城も動いちゃってるからね、隠す理由はあんまりない。

むしろ牽制込みなのかな? 『お前らの企みは露見し始めてるんだぞー、これ以上の飴玉は無意味だぞー』みたいな。

これで敵対錬金術士達がどう動くのかは、まだ未知数だね。それこそ潜入調査で会話とかが拾えればグッド。

そして次はー……『危機対策、鏡のアクセサリーが貴族間で流行』?

んー? なんか身に覚えがあるような無いような……

さっと斜め読みしてみると……ああやっぱり。シャーロットお嬢様の披露宴で出てきたシェイプシフターの関係だね。

実際に貴族を狙ってシェイプシフターが悪意のある罠として使われたわけだから、貴族達は対策として小さな鏡を常に持ち歩くようになったみたい。

で、そこから『どうせなら、シェイプシフターへすぐに向けられる位置に身に着けつつ、その鏡を貴族として相応しい見た目の装飾品として仕上げよう』ってなるのが貴族の貴族らしいところ。

金とか銀とかで縁取りをしつつ宝石をあしらってー、みたいなのが流行っててアクセサリー職人さんに注文がたくさん入ってるんだって。

あー、だから昨日様子見した店はあんなに混んでたのかもね。

さて、1枚だけの新聞だからあとは広告枠……と思ったら、隅の方に新しいコーナーが出来ていた。

『チョビット魔女ドロップのハッピー占い』

ああ! これの事だったのかな? 魔女集会で小人の魔女さんが言ってた『新聞社に入る』っていう話は。描かれてる小さな魔女のイラストは似てないから、名前もたぶん匿名なのかも。

そっかそっか、新聞に小さい占いコーナーがあるのはあるあるだもんね。

内容を見てみると……『今週のラッキーモチーフ』がイラストで紹介されている。

『今は『桜』モチーフの何かを身に着けると、ドロップ運がチョビットだけ上がるかも!』

ほほー、【占術】ってこういう占い方も出来るんだ。

たぶん全体に向けてる分、効果はすごく微々たる物なんだと思う。期限がきちんと書いてあって、ゲーム内で3週間……つまりリアル1週間が効果範囲だった。

ゲーマスAIに提案みたいに【占術】を使ってみて、採用されたような感じなのかもしれない。

この内容ならちょっとしたブローチみたいな物を装備に加えればいいだけだから手頃だし、職人系のプレイヤーにも小さな需要が生まれそう。

「面白いねぇ」

「ジュリリッ」

新聞はひとまずオッケー。特に今日の買い物に影響が出そうな内容は無かったね。

さて、それじゃあお買い物。まずは露店広場を冷やかして……と思って足を向けると、そこに動物を売っている店があった。

売られているのは、小さめの豚。いわゆるミニ豚くらいのサイズかな? マイクロミニ豚ほど小さくはない。

ただその豚は……首のあたりに、たてがみみたいにソーセージが生えていた。あ、よく見たら尻尾もソーセージだ!

「いらっしゃいませー。これは『ブルストントン』っていう種類の豚ですよー」

「ブルストントン」

「体からソーセージが生える品種でして、豚を絞めなくても美味しいソーセージだけ切り取って食べられます! まぁ絞めても普通に豚肉は取れますけどね」

「へぇー」

「豚は飼いたいけど絞めるのはイヤってヒトにオススメですよー」

わぁー……ごめんだけど詐欺っぽーい!

豆ニワトリとかヤーンボールシープとかモーモースライムとかと似た流れを感じる……てか、豚も家畜の筆頭なんだから、もしや家畜詐欺シリーズの流れなのでは!? これは僕、ピンと来ちゃったんじゃないかなぁ!?

まぁでも、一応相棒に訊いておこう。

(相棒ー、首からソーセージが生える豚ちゃん欲しい?)

(ええ……? いらないかな……)

はい、我が家には需要はありません。

他のお客さんが来たのに合わせて、僕はそっとその場を離れた。

普通の豚肉とソーセージ買って帰ろうね。

「ただいまー」

「お帰り、なんか城から手紙来たよ」

「おや」

今度はなんだろね?