軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:夢の捜索

ミミーちゃんの力で錬金術士の夢を探して……五割が料理中の夢に突撃しています、僕らです。

「なるほど……モイモイを扱っている店はそこにあったんですか。じゃあ行ってみる事にします!」

「あ、でも確か合言葉が必要で……えーっと……なんだっけ?」

「……流石に覚えてない」

「だよねー……なんか冷めたら美味しくない芋料理の冷めたら美味しくないソースがけをテイクアウトで注文するのが合言葉でした」

「ああ、ガイモカマイムッシュのスパイシーロニオンソースがけですね! ありがとうございます!」

今回は、お袋の味が忘れられなくて、でもこっちじゃマイナーな食材は無いだろうなーと思い込み、レバーペーストとかで代用しようと奮闘していた獣人さんだった。

夢の中でまで悩んでたよ。どうせ夢なんだから故郷の料理を食べる夢なら良かったのに。

いつぞや偶然に知ったお店の裏メニューを教えてバイバイ。起きても覚えてればいいけど。

「五割が料理してる夢。三割が関係ない夢で、二割が錬金術っぽい夢って感じだね」

「だな」

流石に手掛かりに直行はしないねぇ。多分、見に行きたい夢の手掛かりが他にも有れば別なんだけど……って……

「あ、そうだ。僕、夢の中で鍋掻き混ぜてたヒトの名前、メモって来てたじゃん」

「……ああ、そういえばそうだ」

「えーっとメモメモ……あ、これだ。ミミーちゃん、今探してもらってた錬金術士で『テオドラシス』ってヒトの夢は探せるかな?」

ミミーちゃんは、少し悩むみたいにグルングルンと首を回した。

「ホホーウ……可能ではある、しかし名を用いて個を探すのならば、その名の者が夢の眠りに落ちておらねば当然夢へは入れぬ」

なるほど、それはそう。

「それでもいいよ、試してみて」

「ホーウ」

ミミーちゃんはひと声鳴いて、威嚇混じりに獲物をジッと見据えるような動きをした。

「……ホー……ホホー?」

そしてコテンと首を傾げた。

「ホー……これは異な事……主が不在にも関わらず夢が長期間維持されている」

「おやぁ?」

「警告。それは夢を扱う術を持つモノの夢。敵対すれば不利となる可能性が高い」

「ホー、然り然り。【夢魔法】か、あるいは夢魔か……」

ふむふむ……それはつまり『当たり』じゃないかな?

「じゃあそこ行ってみよう。ミミーちゃん、その夢に繋いで」

「……ネビュラ呼んでおくか」

「僕もネモ呼んでおこう、色々手伝ってもらえるし」

夢路を繋いで……まずは外から夢の様子を確認。

「……あ、ここだ。見覚えある、めっちゃここだった!」

「当たりか」

「むぅ……草だの毒だのの臭いが強いな。鼻がいまいち効かぬ」

「ペタちゃん、敵とかいる?」

「否定。確認可能範囲に敵対存在は不在」

小声で話しながら情報共有をしてから、僕らは夢の中へと侵入した。

「お邪魔しま〜す……」

「……よし、まずは情報収集だな。ネビュラ、誰か来ないか警戒してて」

「うむ」

「ペタちゃんも誰かが近付いて来たらすぐ教えてね」

「承諾」

部屋の中は前よりも素材がゴチャッと積み上がったかな? ……そしてなんとなくだけど、物が、他の夢よりもハッキリしてるというか……存在感がある? ような気がする。

「ホホー……現から夢へと持ち込んでおるな」

「あ、なんか存在感ある気がするのは、そういう事?」

「然り然り」

僕らはそんな風にミミーちゃんに色々と聞きながら、積み上がった書類なんかを主に回収した。ほとんどレシピっぽくてアジトの場所とかは分からなさそうだけど、一応ね。

「……あ、プレイヤーが書いてる錬金術の本だ」

「NPCも参考にしてるのかな? ちょっと面白いね」

んー、素材の箱に配達の伝票とか貼ってあればいいのになー。

「紙系はこれで全部かな? ……どうする? 素材も全部回収しちゃう?」

「……なるほど有りだな。素材が無いとまた仕入れる時間がかかるだろうし」

「そうそう、錬金術士の企みは一時的にでも遅れると思うんだよね」

そうと決まれば。

僕らは積み上げられた素材を片っ端からインベントリにぶち込んだ。

ポイポイポーイ。この薬草の束も、こっちの木箱も、あの樽も、全部しまっちゃおうねー。

「この鍋とか道具も貰っちゃおうよ。道具無いと何も出来ないでしょ」

「マジか」

マジです。

ポイポイポーイ。この天秤も、こっちのガラス器具も、あの遠心分離機っぽいやつも、全部しまっちゃおうねー。

「……やりたい放題だな」

「相手は敵だもん、嫌がることしてなんぼでしょ。……わぁ〜、この部屋こんなに広かったんだね!」

「……引っ越しの最後かな?」

しかも他人の夢でね!

……そんな感じでやりたい放題やったあたりで、ネビュラとペタちゃんがピクリと反応して扉の方を見た。

「足音だな、何者か来るぞ」

「肯定。ヒトの子が2人」

おっとっと。

でも何かの手掛かりになるかな?

僕らは片付いた部屋の片隅にあったクローゼットを開けて、中に隠れた。

ボロいクローゼットだから、板の隙間から外の様子を覗き見る。

足音はパタパタと僕らにも聞こえるようになって……二人組が部屋の中に転がり込んできた。