軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:弓購入と、カボチャオバケ

露店広場の弓屋さんにて、僕はつい喉から声が出そうになったのを必死に飲み込んだ。

【 微睡(まどろみ) の木の短弓】…威力+11

微睡(まどろみ) の森の木を使って作られた短弓。

放つ矢に僅かに睡眠効果が乗る。

製作者︰上弦弧月

んんんん、ものすごく身に覚えのある材料だなぁー!

ボウガンについてなんやかんやとお話を終えて、いざ弓屋さんが相棒にオススメしてきたのがこれだった。

そりゃあ相棒も顔布で半分隠れてる表情を取り繕うってもんよ。

「仲間が例のフリマで仕入れた木材を使ってる……なんだ、見たことあるか?」

「…………たぶん? 似たようなのを」

「まぁ今はこの木で作ったベッドが一番睡眠バフ効果が高いってんであっちこっちで売ってるからな、目にはつくか」

知らない所でうちの木が流行の最先端になってる。

えー、いくらくらいのベッドになってるんだろ。あとで探してみよっと。

相棒は【 微睡(まどろみ) の木の短弓】をお買い上げ。

色を黒くしてもらって、ボウガンが実用段階になったら連絡をもらうって約束をした。

「絶対作ってみせるから絶対買えよ!? 絶対弓手やめんなよ!? 引退すんなよ!?」

「やめろ兄貴、やめろってコラ」

駄々っ子みたいにジタバタする小人さんを宥めるヒゲのオッサンの図が面白かった。ヌルヌル動くギャグアニメ感。

小人さんはウェーニンさんって言うらしい。

リアル兄弟だったりするのかな、接触許可オンにしてるみたいだし。

まぁ、相棒はちょっと疲れたみたいだけど。

「そろそろ帰ろうか?」

「うん」

ほら、口数がまた激減してる。

……ちなみに、帰る前に見かけた 微睡(まどろみ) の木のベッドは。

材料が少ないからプレミアがついちゃったとかで、桁がだいぶおかしな事になってた。

僕らは見なかったことにした。

* * *

拠点に戻って、相棒はさっそく弓の試し撃ちに行った。

僕は僕でやりたいことがあるから、まっすぐ自分の作業場へ。

「ジャックの服を作らないとね」

「待ってましター!」

取り出しましたのはこちら!

フリマでお買い上げした素材。

【バーンコウモリの皮】…品質★★★

燃える体液を持つバーンコウモリのしなやかな皮。

火に強く、火の攻撃を増幅する効果がある。

火の体のジャックが着るんだから、一目見て『これしかない!』って思ったよね。

これを売ってた人はやけに語気が強くて暑苦しい人だった。音声入力したら末尾に全部『!』が付きそうな感じ。

商品も全部火とか溶岩関係だったから、暑苦しい人が暑苦しい所に住んでるんだと思う。

じゃあさっそく作業開始。

【裁縫】スキルのテンプレートから、スーツの項目を開く。

カボチャオバケはねぇ、農夫っぽいオーバーオールも可愛いけど、黒スーツ黒マントを着ていて欲しいんですよ僕は。

リボンタイのヴァンパイアっぽい雰囲気なスーツを選んで……テンプレを元に体格をギュッと細くする。

それ人間じゃねぇよ割と骨だよって感じに。

で、手足をスラッと長くする。

細長いシルエットの体に、ゴロンとしたカボチャ頭が乗ってるのが好み。やっぱり人外は人外感があってなんぼよ。

満足のいくバランスになったところで、素材を使ってスキルでサクッと仕上げ。

ボタンもカワイイのをフリマで買ってあるからね。それをそのまま使う。

中のシャツは森の木で青白く染めた。

形が出来たら、いつぞや畑で採れた【迷宮夢のキャベツ】で紫色に染めた糸で、くるくるした蔦っぽい模様を縁に刺繍。

良いねぇ良いねぇ、カッコかわいいねぇ。

リボンタイもお揃いの紫色にしちゃおうねぇ。

靴と手袋もお揃いで作って……

「お待たせジャック! 完成だよ!」

「やっター!」

カボチャに入ったジャックが、首に当たるところから炎を伸ばす。

伸びた炎は作った服の襟から入り、風船に空気を入れるみたいにして服が厚みを持っていく。

手袋がぎゅっと握られた。

靴がカクンと起き上がる。

──【闇炎の痩身装束】と【揺り籠カボチャのランタン】が

──住人『ジャック』の一部となり失われます。

──よろしいですか?

お? なんかシステムメッセージが出た。

……AI君、このスーツにそんな厨二な名前つけてたの?

どうせジャックにあげるしと思ってスルーしてたよ。

具体的に何が起きるのかはわかんないけど、OK選んどこう。

別にジャックの服なんだから、ジャックの一部になった所で何も困らないからね。

──【闇炎の痩身装束】と【揺り籠カボチャのランタン】が

──住人『ジャック』の一部となり失われました。

OKを押したら、スーツ姿のジャックが起き上がった。

炎は服の中にキッチリ収まって、顔の穴から明るく見えるだけ。

人らしい関節の動きをするカボチャ頭の怪人が、自分の体を確かめるみたいにキョロキョロしながら手足を動かしている。

「……ジャック。体はどう?」

「バッチリ! ありがとうマスター!」

こっちを向いたジャックが……笑った。

くり抜いたカボチャのランタンなのに、ちゃんと表情が動いてる。

ジャック Lv9

カボチャオバケ

……なんだか感無量。

散々僕が喋り倒したからかもしれないけど、やりたい事をGMが汲んでくれた感じがする。

ひょいと作業台から降りたジャックの身長はかなり高い。体を細長くしたのと、カボチャの分があるからね。

相棒が180くらいで……カボチャのボリューム分もう少しあるかも?

そして【火魔法】と【草魔法】、あとは【鍛冶】を持ってた。生まれが反映されてる感じがするねぇ。

「よし、ジャック。さっそく相棒に見せに行こう!」

「旦那サマ! 行く行クー!」

相棒はどんな顔するかな?

逸る気持ちを抑えきれずに階段を駆け下りたら、後ろで二足歩行に慣れないジャックが転げ落ちた。

「アー!」

「ジャックー!」