軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:主役の登場と、相談事でございます。

せっかく知っている顔に会えたから、披露宴の主役が登場するまでそのまま世間話をさせてもらった。

ゲオルクさんはお城の兵士をしていて、その場合はゲーム内でどんな生活スタイルになるのか〜とか、どんなクエストが多いのか〜とか、面白い話を聞く事ができた。

前に相棒が体術訓練をしに行った時に配布したストロングベリーがお城で話題になった話とかね。

そこから、うちの木材みたいに僕らが商人メインじゃないから中々表に出しにくい素材の話を小声で少しして。

新しい揺り籠の木でベッドを頼みたい事もあるし。フリマで封印魔法習得用のアイテムを売るつもりではいるけど、【封印魔法】を広めたいならフリマが終わってからも細々と売ったほうがいいのかなーとか。

話の流れで、その辺も今度パピルスさんの店で相談させてもらう事に。

そんな感じで話をしていると、ついに新郎新婦が現れて披露宴が始まった。

儀礼用の軍服姿で、髪もキッチリ撫でつけた上から帽子を被ってるロナウド君。

そのロナウド君と腕を組んでいる、ドレス姿のシャーロットちゃん。

ドレスはリアルのお色直しみたいな感じで、ロナウド君の髪の色と同じ紫色の華やかなドレス。いつもはツインテールにしている金髪は、ゆるくウェーブをつけて後ろにまとめてキラキラした宝石をあしらった髪飾りが飾られている。

(めっちゃかわいい!! 綺麗!!)

(うん、二人共大人っぽくなったな)

そうだね。きちんと整えた格好してるから、夏の時のドタバタした雰囲気は鳴りを潜めてるね。

幸せそのものって顔の二人が見られて、なんとなくホッとした。

すれ違いとか、あわやサメの被害者カップルとか、助けられて良かったなぁー!

しみじみしちゃうね。そして嬉しそうなヒトを見ると、良かったねーって、こっちも嬉しくなる。幸せのお裾分けを貰った気分だ。

新郎新婦を拍手で迎えてから、乾杯。

そしてお貴族様達の挨拶ラッシュが途切れた時を見計らって、僕らも主役の二人に挨拶をしに行った。

「二人共おめでとう」

「……おめでとう」

「魔女様! 導き手様! 来てくださったのですね!」

「来ていただいてありがとうございます」

最初こそパァッて感じではしゃぎかけたシャーロットお嬢様だけど、慌てたようにすました態度を取り繕って、貴族らしい穏やかな微笑みになって挨拶を続けた。

『私達は結婚して、次期バークル子爵家当主となるべく研鑽していきますので、今後ともよろしくお願いします』みたいな文言をスラスラと述べていた。

貴族として言っておかないといけない定型文って感じなのかな。若干の台本みがある。まぁ実際にあとを継ぐのはまだまだ先だろうから、その頃には板についてるんだろうね。

で、定型のやり取りを済ませると、シャーロットお嬢様が少し声を潜めて言った。

「……お二人共、せっかく来ていただいたのにこんな話をするのは申し訳ないのですが、少々心配な事がありまして……聞いていただけますか?」

「うん? いいよ、どうしたの?」

相棒も頷いたのを見たシャーロットお嬢様は、ホッとした顔になる。

「実は……先程、差出人不明のお祝いが屋敷に届いたのですわ」

「差出人不明?」

「はい……あ、珍しい事ではないのです。新郎新婦のどちらかに叶わぬ想いを寄せていた誰かが、吹っ切るために匿名で祝福を贈るのは美談とされておりますので」

「へぇ~……」

美談? それ美談かなぁ?

ていうか、貴族とかの偉い人には割と危ない文化じゃないそれ?

シャーロットお嬢様もその危険性は理解しているようで、少し困った顔になった。

「ただ、昨今の情勢を考えると、不安が大きいのも事実なのですわ。ならず者による誘拐事件等もあるようですし……」

「うん、そうだよね」

「しかし処分するにしても中身を検めるにしても、開封した時点で手遅れになるような物ならば危ないと、お祖父様と話しておりまして……」

つまり、僕らに贈り物の確認をしてもらえないかっていう話だね。

──クエスト『結婚祝いの検品依頼』を受諾しますか?

チラッと新郎のロナウド君と話をしていたパピルスさんゲオルクさんを見ると、二人共少し真剣な顔でこっちと目が合い、ひとつ頷いた。

向こうも同じ話をしていたのかな?

(受けていいよね?)

(もちろん)

僕と相棒、そしてパピルスさんゲオルクさんも、全員システムウィンドウを操作。受諾っと。

「いいよ、任せて。二人は安心して披露宴やってていいからね」

「ありがとうございます」

結婚祝いの品は、全部ひとつの部屋に集めて、聖人やってるお祖父様が見張っているらしい。

僕ら四人は特に何も無かったように新郎新婦への声かけを終えて、そのまま子爵家の使用人に案内されて屋敷の中へと移動した。

「さて、どんな代物が飛び出すでしょうか」

「飛び出さないのが一番良いんですが」

「この流れでクエストにまでなってて何も出ない気はしないかなー」

「……まぁ、何かはあるだろうな」

僕らプレイヤーは死んでも大丈夫だからね。

そういう意味ではこういう仕事は適任ですよ。