作品タイトル不明
キ:リアルで一夜明けて
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ナナちゃんの風邪予防は無事に成功。
相棒お手製のクスリンゴ入り生姜湯で、ダルさは完全に消えたみたいでひと安心。
キャトナちゃんとサナ君も、体調は異常無し。
なのでリアル次の日の今日は、ピリオノートの従魔用品店に行く事にした。
そこは、色んな種類のフードや、ベッドやマットや小屋とかの家具類に加えて、武具とか鞍なんかのオーダーメイドも受けているお店。
リアルでペットが飼えないプレイヤーはゲーム内のペット要素・テイム要素にのめり込む人が多いから、関連商品の専門店まで出来ているんだって。
楽しみだなぁ。ペットを飼ってなくてもペットショップは楽しくて好き。生き物に合わせた小さな物が多くて、生き物の生態が窺えて知的好奇心がそそられるし、かわいいから。
のんびりとゲーム内朝食を食べながら従魔用品店に思いを馳せつつ、先に買ってきた新聞を読むと……気になる記事が一面を飾っていた。
「相棒、飴玉の事が新聞に載ってるー」
「どれ?」
記事は『謎の飴玉に御用心!』という見出しで始まり、見覚えのある薬包紙に包まれた飴玉の写真が添えられている。
その記事によると……どうやらこの飴玉、春祭りの開会式をやってる時間帯にピリオノートにいたヒトの何人かがいつの間にか入手していた代物らしい。
「冒険者も住民も問わずだって。ランダムだったのかな?」
「入手経路は不明、そこそこの人数が入手していたけど特に共通点は無しか……」
そして記事では、なんと勇気ある記者が飴玉を食べて昼寝してみたらしい。
「食べてから眠ると夢を見たけど……目隠しをされていたみたいに何も見えない。で、体は硬い場所に寝かされて拘束されていたっぽい……怖っ」
「その状態で周りを囲まれて見下ろされているみたいにボソボソと話し声が聞こえる……」
「なんか宇宙人に攫われて生還した人の体験記みたい」
「まぁ悪夢だな……」
それ以外は特に何も起きなかったとは思うけれど、知らずに持っていた物なんて何が入っているか分かりません。って記事は注意喚起をしていた。
「『記者の知り合いの魔女によれば、中に悪夢が入っている可能性が』……知り合いの魔女によれば、だって!」
「……相棒、記者に知り合いいた?」
「ちょっと会話はしたけど知り合いって程の知り合いじゃないし、そもそも昨日のペタちゃんの話は他にしてないよ!」
「だよなぁ」
って事は、僕以外の魔女さんが誰かいて、飴玉の中身を確認して記者さんに伝えたって事になる。
「……それこそ前の魔女集会で夢守の事を教えた誰かが魔女になってるんじゃないか?」
「かもしれない!」
とりあえずその魔女さんのおかげで、僕らが動かなくても中身についての情報は出回った。
ふふふ、もしも魔女集会から誕生した魔女さんだったら嬉しいなぁ。魔女ライフを楽しんでるって事だもんね。
「これはもう、次の魔女集会には絶対に行かなきゃ」
「ああ、春イベント中にあるんだっけ?」
「うん」
もしも僕らみたいに夢守に飴玉の事を聞いたなら、【夢魔法】を習得出来るキノコはきっと喜んで貰えるはず。
「え、魔女衣装とか新調した方がいいかなぁ……? 前と同じ衣装だったら皆がっかりするかな? どう思う?」
「……透明なのはそのままにして、衣装は変えてみたら?」
「なるほど、じゃあそうする」
後でマリーに相談しよっと。
記事は最終的に、『怪しい代物だし、食べても良い事無さそうなので、皆食べないようにしましょうね』で締められていた。
プレイヤーには情報共有を、そしてNPCに食べないでっていう呼びかけをするための記事かな。
ピリオノートのNPC住民に広く注意喚起するなら、新聞はちょうどいいのかもしれないね。
「それにしても、何なんだろうね? この飴玉」
「……さぁ?」
不穏な雰囲気だけが無差別でふりまかれた感じ。
「結局、新聞記事でもぶつかってきたNPCが原因かは分かんなかったし」
「……まぁ有力候補って事で」
中に薬が入っているから、たぶん錬金術士の仕業って思ってるけど……その辺も確定出来てないから、情報としてはふわふわしたまま。
首を傾げていると、相棒が新聞記事を片手にシステムウィンドウを開いて掲示板のチェックを始めた。
「……ああ、検証勢は飴玉を調べ始めてるな」
「お? そうなの?」
「錬金術士のプレイヤーが飴玉の中の薬について調べようとしてる。飴玉持ってていらないプレイヤーは売ってくれってさ」
「へぇ~」
そっか、錬金術士のプレイヤーはそっちからアプローチを始めたんだ。
「ふむふむ、それなら僕らの飴玉も提供しようか」
「そうしよう。ついでにぶつかったNPCの事も話しておいたら?」
「だね」
検証勢に預けておけばしっかり情報として確保してくれる気がする。
従魔用品店に行くついでに寄る事にして、僕らはお出かけ準備を整えた。