作品タイトル不明
キ:レッツ☆コカトリスフィッシング!
この山が狩場として不人気な理由をお察ししました。キーナです。
ドラゴンがいなかった頃でも、こんなどれかに手を出したら芋づる式に他のモンスターがゾロゾロ向かってくるような場所、よほどレベルが高くないと普通に厳しいよ。
そしてもしかしてだけど……コカトリスが蛇役で、スライムがナメクジ役で、カエルもいて……三すくみしてた?
そこにドラゴンが解放されてやって来たから、均衡が崩れてこんなことになってたりして……勝手な想像だけどね。
さてさて、隠れたまま山の池の合戦を観察していた僕らだけれど……どうも都合よく潰し合うには時間がかかりそう。
リアルの野生の戦いだったら、ある程度やりあったら逃げたりするもんだけどね。
ド迫力の殴り合いしてる割に、参戦してるモンスターは全然倒れないし逃げないのよ。実力が拮抗してる感じ。
だからまぁ……出来るだけ早く呪いを解きたいし、ちょっとひと工夫してコカトリスだけ一羽ずつ釣り上げて各個撃破する事にした。
「【サモンビースト:サーチワンコ】」
まずは下準備として、呼び出したサーチワンコにコカトリスの卵を探してもらいます。
「ワンッ」
「おおー、あったあった」
「ありがとな、これオヤツ」
「ワフン♪」
サーチワンコは帰還。
僕らの目の前には、ダチョウの卵よりもう少し大きいサイズで、石みたいな質感をしためっちゃ重いコカトリスの卵が、巣材に囲まれた中にゴロリと転がっている。
「で、これにそっくりな偽物を【石魔法】とかで作って囮にする」
「なるほど。囮にするならネモに卵の見た目に変身してもらった方が軽くて楽だと思う」
「なるほど」
ネモはケタケタ笑いながらコカトリスの卵そっくりになった。
そうしたら次は、池の合戦場から少し離れた所に陣取って、卵に化けたネモを連れた相棒が合戦場へ向かう。
そして、コカトリス一匹に向けて魔眼を発動!
魔眼で視界がおかしくなったコカトリスは、周りを見渡したら卵(偽物)を持っている相棒を発見!
怒って一匹だけ向かって来るという寸法だぁ!
相棒は釣り上げたコカトリスだけ誘導して、まっすぐ僕らのいる場所に取って返す。
そしてまんまとやって来たコカトリスを、待ち構えていたネビュラがガブゥッ!!っと首に噛み付いて一撃KO!
「なんという事でしょう! 僕、何もしてない!」
「……まぁネモに指示したし、適材適所だから」
悲しいね!
そして仕留めたコカトリスさんのドロップはー?
「『コカトリスの石化腺』」
「……まぁ、素材としては当たりだよ」
僕らの目的としてはハズレだけどね!
でもやり方さえ確立してしまえば、後はそれをどんどん繰り返すだけ。
「はい次!」
ガブゥッ!
「……『コカトリスの重風切羽』」
「次!」
ガブゥッ!
「『石化腺』」
「次!」
ガブゥッ!
「『コカトリスの爪』」
「次!」
ガブゥッ!
「『重風切羽』」
「次!」
ガブゥッ!
「『爪』」
出ないなぁ、お肉。
「キャトナちゃんが直接戦わないとダメとかあると思う?」
「……目に付くコカトリス全部やってダメならその可能性を考えよう」
そうだね、危ないから出来ればやりたくないからね。
「次!」
ガブゥッ!
「『爪』」
「次!」
ガブゥッ!
「……『コカトリスの石心臓』って食用肉だと思いますか!?」
「違うんじゃないですかね」
「はい、次!」
ガブゥッ!
「『羽』」
「次!」
ガブゥッ!
「んええ!? 『コカトリスの稀結晶』!?」
「なにぃい!?」
なんという事でしょう!
ガチ戦闘勢垂涎の希少レアドロップがこんな所で!
「物欲センサーさん仕事しすぎぃ!」
「……細かい仕様は帰ってから見る。落とさないように仕舞っといて」
「ウィッス」
チクショー! お肉はどこだー!
そんな感じでコカトリスをしばき続けて……そろそろ合戦場のコカトリス陣営が全滅しそうな頃。
「次!」
ガブゥッ!
「あ、来た! 『コカトリスのササミ』! これは文句無しの食用肉でしょ!」
「なんであえてササミ……」
そのまま食べられるかどうかは、後できちんと確認しないといけないけどね。
とりあえず目的のブツは手に入った!
「よし、それじゃあ撤収……」
──ゲコォオオオォォオオ!!
──プニョオオォオオオ!!
──アンギャアアアアア!!
割と近くで響いたモンスターの声。
僕らが振り向くと……いきり立ったカエルとスライム、その後ろからドラゴンまでが、まっすぐこっちに向かって来てるー!?
「ちょちょちょっ! 【サモンネクロマンス:霊蝶の群長】!」
ブワッとモンスターを覆うガラスのような蝶の群。
レベル差のある精神デバフは綺麗にモンスターの群れにかかって……コカトリスを除いた三勢力は、池から外れたこの場で第二ラウンドを開始した。
「……よし、帰るぞ」
「イエッサー!」
長居は無用! 風切羽転移入りまーす!
僕らはそこに混ざるつもりはないからねー!