軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ユ:突如始まる面談タイム

自称:森一味と同境遇、が現れた。

さて、どうするかな……

疑うとかじゃない。大量のプレイヤーがいるMMOだから、俺達みたいに別次元に入植したプレイヤーがいても何もおかしくはない。たぶん表に出てこないだけで、もっと他にもいるとは思う。

ただ、悩ましい理由は……答え合わせを希望しているって事だ。

いわゆる森一味と呼ばれる俺達は、情報を秘匿している状態だ。

理由こそ色々あるが、いつかオープンになるとしても、それまでは自分達の特殊な入植地を秘匿状態にして楽しみたい。その共通の考えの元、同盟を組んでいる。

だから……俺達が勝手に答え合わせをするのはちょっと気が引けるんだよな。

……ってなると、俺達が取る行動はひとつだ。

* * *

場所は闘技場の個室。

部屋の中には、キーナが木工テンプレからサクッと作ったテーブルと椅子。

揃ったのは変装済の同盟メンバー。

タイミング良く全員ログインしていたからフルメンバーだ。

そして相対するのは緊張した顔の自称同境遇。

俺達が声をかけた事により、異境同盟と自称同境遇との面談が始まった。

(……なんだこれ、圧迫面接か?)

(あー、雰囲気そんな感じ)

筆頭面接官はカステラソムリエさん。

アリスト・フェアリーになったのか羽が葉っぱみたいになっていたカステラさんは、テーブルの上に置かれた小さい椅子に座り、腕も脚も組んで自称同境遇に圧をかけていた。

「まずは名前を聞かせてもらおうか」

「ウ、ウッス! 自分、『セイレーン (♂)(オス) 』と申します! 最近 エフォ(EFO) 始めた新人ッス!」

セイレーン (♂)(オス) ……まぁセイレーンって人間部分は女性だもんな。

でもわざわざセイレーンを名乗るって事は歌うのが好きなんだろうか。

「じゃあ次に……今ここにいる俺達の人数を答えてくれ」

「? ……えっと……七人ッスよね? オレっち含めたら八人」

その答えを聞いて、カステラさんと夾竹桃さんとアルネブさんが視線を交わしてそれぞれ頷いた。

すると、なんとなく重く暗かった雰囲気が霧散する。

以前、初めてのフリマの時に俺達と会った時のような方法で、本当にセイレーンさんが俺達と同じ別次元の入植者なのか確かめたんだろう。条件に合わないと姿が見えないらしいやつだ。

全員認識出来ているって事は、本当に同じ境遇だったわけだ。

「で、そこの夫婦に接触した目的は?」

「ウッス。拠点開拓のアドバイスを貰えたらと思って声をかけたッス」

「ほう! 開拓のアドバイスとな!?」

開拓ガチ勢のド根性さんが反応すると……対照的に、セイレーンさんの目が死んだ。

「オレっちの拠点……ついさっき壊滅したッス」

「えっ」

「わぁ……」

「原因は分かってるッス……この前やってた瓶詰展示会で……バロメッツちゃん達の種を出したらバカ売れして……大金入ってテンション上げてたらエッグい量の敵に襲撃されたッス……」

ものすごく身に覚えがあるというか、あまりにも似たような境遇に俺と相棒は思わず顔を見合わせた。

アレか……クラウドバロメッツの種を出品したのはこいつだったのか。

マックラゴラの種より高額になったらしいクラウドバロメッツの種。

そしてその金を、まだ持ちっぱなしだったんだろう。

セイレーンさんはワッと机に突っ伏した。

「建築が! 建築が出来ないんスよあのフィールドー!! 防壁どころかお家も建てられなくて! 稼いだ金に物を言わせようと思ったらその金が原因でついに滅びたッス!! いや滅ぶ物も無かったけど!! 俺の羊ちゃん達はテイム済みだから拠点に復活してるだろうけど!! そろそろホームレス生活がしんどいんスよぉおおおー!!」

Oh……

セイレーンさんが言うには、入植したフィールドは雲の上らしい。

種族でトビウオの人魚を選んだ彼は、入植場所の希望で欄外に丸を書いて出てきた景色のイラストの中から、『トビウオが雲の上まで飛ぶとか凄くね?』と考えて空と雲と変な岩が描かれた所を選んだそうだ。

……で、そうしたら本当に空と雲と変な岩 し(・) か(・) 無かった、と。

「ふむ、重量のある建材も不可で地盤も安定していないどころか風で動くときたか! 中々面白そうなフィールドである!」

「気持ちはわかるけどもうちょい待ってくれ森巨人」

ド根性さんがそわそわするのを宥めながら、カステラさんは話を続けた。

「仲間に入りたい……とかじゃないのか?」

「え? いやまぁ、一味に入れてもらって相談とかたまにさせて貰えたら嬉しいッスけど……絶対オレっち信用度とか好感度とか足りてないッスよね? 情報勝手にバラ撒くかもって相手を懐に入れるの怖くないッスか? オレっちも……境遇が同じでもどういう理由で先輩方がチーム組んでるのか知らねーし。あとオレっち、リアルシフトが不定期だから、集まりとか参加出来るかわかんねーし」

セイレーンさんのその言葉に、カステラさんは深く深く頷いた。

そしてシステムウィンドウを操作して、同盟チャットに書き込みをする。

俺達もそれを確認して、承諾の返事を入れた。

全員の返答をカステラさんが確認すると、何が何やらって感じのセイレーンさんへ向かって、一言。

「よし、合格!」

一瞬キョトンとしたセイレーンさんは、面接が通ったと理解すると、嬉しそうな顔で「やったー!」と両腕を天へと突き上げた。

「……では、この感情を歌います。聴いてください」

「なんか始まったぞ」

「新入りのキャラが濃すぎる」

「ハッハッハ! 愉快な同盟メンバーは望む所である!」