作品タイトル不明
キ:素材を結晶にして遊ぶ
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いやぁ〜、昨日は実に眼福だったね!
カッコいい相棒の試練!
外部ツールで録画しとけばよかったかなぁ。 エフォ(EFO) は配信とか録画用で外部ツール使うのはオッケーだし。
そんなわけで、無事に『エレメント・フュージョン』って種族になった相棒は早速……闇の聖域を直しに行った。
うん……昨日はね、種族変わった所で結構時間遅かったから。リアルで次の日……つまりゲーム内では3日後に直しに来るって狼精霊に伝えてログアウトしたのだ。
遮蔽物を作った初手の【石魔法】で聖域の床も柱も八割木っ端微塵だったから、それは片付けないとね。
「【石魔法】で直すついでに、もう少し聖域っぽく綺麗にしてくる」
「はーい、いってらっしゃーい」
手作り感満載の聖域も、動物の精霊がちまちま削ったと思えば可愛いけど。ヒト相手なら威厳があった方が確かにいいかもしれない。
そんなわけで、留守番中の僕はどうしようかな……あ、そうだ。
瓶詰展示会で思い出した、クロちゃんに素材を結晶にしてもらうのをやろうかな。
「クロちゃーん、お仕事とチューブだよー」
「ニャア〜」
今日のクロちゃんは機嫌が良いぞー、ラッキーラッキー。
さてさて、今回結晶にしてもらう候補はー……この3つになります。
【夢喰いの瞳】…品質★★★★
夢を喰らう獣の眼球。
その視線は精神の防御を揺らがせる。
【千夢の果実】…品質★★
数多の夢の結実。
口にすると強い幻覚を見る。
【キツネの葡萄】…品質★
何故かキツネが持っている葡萄。
とても酸っぱい。
鹿から出た目玉は、結晶にしたら何か効果あるかもなーっていうのと……この森の樹の実も色が綺麗だから、結晶にしたら綺麗かもしれないと思ってチョイス。
最後のキツネの葡萄は……目についたからなんとなく?
「というわけで、クロちゃんお願いしまーす」
「1種類につきチューブ1本なのニャア」
「ウィッス」
機嫌がよくてもオヤツは欲しい、と。それはそう。
チューブをチューチューしながらクロちゃんが素材をムギュムギュする。
いいなぁその肉球こねこね。僕も肉球でふみふみされてみたい。……クロちゃん頼んだらやってくれるかな?
そんな事を考えながら、クロちゃんの横で猫みたいに丸まりながら結晶化を見守って……出来上がったのがこちら。
【夢喰い瞳の結晶】…品質★★★★
夢を喰らう獣の眼球を結晶化した物。
精神を擦り減らす力を持つ。
【千夢の果実の結晶】…品質★★
数多の夢の結実を結晶化した物。
幻覚を見せる力を持つ。
【キツネの葡萄の結晶】…品質★
キツネが持っていた葡萄を結晶化した物。
とても酸っぱい。
「ありがとうね、クロちゃん」
「ニャア〜」
クロちゃんにチューブをあげながら結晶の仕様を確認する。
ふむ、前2つはトマト結晶の時と説明がちょっと違うなぁ。
トマトは装備すると効果があるよって説明があったけど、こっちは力を持つって表記。
……アレかな、武器とか魔道具とか、割と多用途な感じなのかな?
……そういえば、僕の杖って結晶の類が付いてないね。
枝をそのまま武器にして使ってたからなぁ……ピリオで見かける魔法職っぽい人は、大体宝石みたいな物が付いてる杖を持ってる。
……僕もそろそろ、お手製じゃなく本職さんに杖を作ってもらった方がいいかなぁ?
やっぱりどうしてもね、【武器製作】のスキルをガッツリ鍛えてる人と比べると、僕のは趣味だし。初心者向けの箒くらいならともかく。相棒も希少素材で腕の良い人にオーダーメイドするくらいになってるから、僕もあんまりヨワヨワなのはよろしくないかな。
……うん、それこそ今作った結晶を持ち込みして依頼してみるのもいいかも。オバケの籠は付いてて欲しいから……籠は自分で作って、それも素材として持ち込みして……うん、そうしよう。
まぁ杖職人さんを探す所からだけど。今まで、杖を作るのをメインにしてる人とは会ったこと無い。
……でもその辺の情報集めは相棒が戻って来てからにしようかな。
僕はあんまり店を探すのとか上手くないからね……というか、情報集めが上手くない。
うっかり変な噂のある職人に当たりたくないし、相棒に相談しながら探す事にしよう。
……で、それはそれとして3つ目の結晶ですよ。
「この紫色の結晶が酸っぱいのかぁ〜」
「色は甘くて美味しそうなのニャア〜」
「だよね?」
……気になるからちょっと味見してみよう。
ちょっとだけ、ちょっとだけね?
舌でほんのちょっとペロッとするだけ……
「……っ!? 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!!」
「ニャア……御主人がのたうち回ってるのニャア」
すっっっっっっっっぱ!?
待って何これ!? めっちゃ酸っぱい!!
レモン味のキャンデーが酸味レベル4の甘さ6だとしたら、この結晶は酸味レベル20だよ!
あまりにも酸っぱくて、僕は慌ててポーション飲んで、それでも足りなくて知恵の林檎を1個むしり取ってきて齧った。
「っ! アーッ! ……酢の物も食べられない僕が口にしていいものじゃなかった!」
「結晶化してない葡萄は食べられたのニャア?」
「……そっちは試してないや」
「なんでニャア」
なんでだろうね??
でも、もう二度とキツネの葡萄関係は口にしないよ。僕は結晶の舐めた部分を拭きながら心に誓った。
* * *
「ただいま」
「相棒、おかえり〜」
「……何してるの?」
「クロちゃんにふみふみしてもらってる〜」
「……そうか」