作品タイトル不明
ユ:フェスティバル当日、ツリーのプレゼント受け取り
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世の中はクリスマスイブ。
俺達夫婦は、リアルでは季節行事には熱意があまり無いから、せいぜいフライドチキンを買って食べて終わりだ。
ゲーム内のイベント関係の方が2人で手軽に楽しめていい。お互い価値観の合うゲーマーで良かった。
というわけで、 エフォ(EFO) は冬のフェスティバル当日。
特に変装はせず、イベントログイン報酬で貰ったサンタ帽を被って庭へ出れば、飾ってあったツリーの周辺にキラキラと光の粒が舞うエフェクトが発生していた。
「わぁーお! 綺麗〜!」
「うん」
リアルなフルダイブVRゲームだから臨場感もある。ゲームらしい見応えのある演出だ。
せっかくだから、ツリーの近くにテーブルを出して拠点の皆でパーティーっぽい食事をする事にした。
空いてる時間で『ローリングターキー』を狩ってきて正解だった。
七面鳥の丸焼きなんて分かりやすい料理を作れば、オバケ達含めた拠点のメンバーは大はしゃぎだ。
「フェスティバルって楽しいネ!」
「祭りは良い物デスナ」
「これがパーティーなのですね……」
「うむ! 七面鳥とやら中々味が良いな!」
「そうね。悪くないわ」
「お主ら……鳥のくせに……」
「フッシーの兄貴が細けぇ事気にしねぇのは前からじゃねぇか」
「ベロニカもカラスでなければ気にせんじゃろ」
「鳥」「オイシイ」「ジューシー」
「美味しければなんでもいいのニャア」
「そうですとも、鳥とひと口に言いましても種は千差万別多種多様。我々シマエナガ族は、この愛くるしいプリティさがオンリーワンである事をよくよく理解しておりますので他の鳥類も問題なく楽しめますとも、美味しゅうございます!」
ハロウィンな面々がマリーの作ったサンタ帽を被って七面鳥食べてるのは……そういう映画を思い出す光景だな……
賑やかな面々を見渡して……ふと、1番新入りのダディが思いがけず大人しい事に気が付いた。
「どうした、七面鳥苦手か?」
ダディはふるふると首を横に振って口を開いた。
「そんな事はございませんコケ。ダディは皆が楽しそうにしているのが嬉しいだけでコッコ」
穏やかな中年男性の声でそう返すダディ……テンション上がると荒ぶるんだが、そうじゃない時はネビュラ並みに落ち着いた大人の雰囲気を醸し出す。この中で1番若いはずなのにな……
……ダディって名前をつけたからとしか思えない。名は体を表しすぎだろ。
* * *
そして食事を終えた後は、フェスティバルのメインになるフェスティバルツリーからのプレゼント受け取りだ。
プレゼントはツリーと交換になるから、フェスティバル中は置いておくプレイヤーが多い。放っておいてもフェスティバルが終われば勝手にプレゼントになるらしいしな。
俺達はせっかくだからプレゼントに変化する所も確認しようって事になった。
「ちょっともったいないけどねー」
「そこそここだわってたしな」
こだわったからこそ、いつの間にか消えてる方がもったいないって結論になったんだが。
自分のフェスティバルツリーに触れると……システムウィンドウが表示される。
──フェスティバルツリーを使用して、プレゼントを受け取りますか?
受け取りを選択……するとフェスティバルツリーから、さらにキラキラと光の粒が溢れ出し、その光が収束してプレゼントの箱に変わった。
数は2つ。……単純に考えて、デフォルトで貰える分と、贈り物の神様のアイテム集めイベントをこなした分ってところか。
そしてプレゼントが出現し終えると、光は徐々に消えていき……最後は『ポンッ』と音を立ててツリーがテラコッタごと……縮んだ。
「……んん?」
縮んだ?
手のひらサイズになったフェスティバルツリーを拾い上げる。
【フェスティバルの思い出(1年目)】…品質☆
この地で初めて迎えた冬のフェスティバルの思い出。
寝室に飾ると睡眠バフにボーナスがかかる。
へぇ、置物系のアイテムになったのか。
見た目は俺が飾り付けたツリーそのままだ。でも飾り付けが完全にツリーと一体化しているから、飾りの変更は出来ない。
「あー! かーわーいーいー!」
横でキーナも歓喜の声を上げた。
「見て見て! 小さいお人形がめっちゃ小さくなってるの! すーごい可愛い!」
「……ははっ、ちっさ」
キーナのツリーは、最終的にネビュラやベロニカに加えてマンドラゴラ達の人形も追加されて、拠点オールスターズになっていた。それがそのままミニチュアになった状態だ。小さな置物なのに、見た目が賑やかだ。
「後で寝室に飾り棚作ろう。本棚とは別に」
「いいよ」
このサイズなら場所も取らないしな。
たぶん3Dプリンター出力用データのダウンロードとかもありそうだ。
時間をかけて準備したツリーの終着点としては、悪くないんじゃないか。