軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:御褒美を貰った。

そんなわけで本日の予定は、お城に褒賞を受け取りに行くのと、久しぶりに知恵の林檎を提供する事の、2本立てに決定しました。

「新聞の広告によれば、例の石版回収NPCの所で買取やってるらしいけど?」

「直接持って行くのはなんか違うかな」

僕の勝手な好みだけど、あの林檎は色んな人が齧って色んなTipsにフフッてなって、それを気になる人がぽつぽつ拾い集めるくらいがちょうどいい気がしているのだ。売れ残りを買い取る分には別に気にしないけど。

だから今日は、どこかピリオの片隅で占いでもしながら林檎売ろうかなって感じ。

「でもアレだね。この新聞広告って、もしかしたら僕らに対するメッセージだったかもしれないよね」

「かもね」

昔の推理小説とかみたいだ。居場所不明の相手に暗号を送るアレ。

まぁ『林檎求む』は暗号でもなんでもないけど。

そして別に僕らを指名で頼まれたわけでもないから、僕はいつも通りのスタンスで行く。

別に意地悪してるわけじゃないよ。先にお城で受け取る御褒美次第では流れが変わるかもしれないってだけの話。

インベントリに林檎とかその他色々入りっぱなしなのを確認して、いつも通り森夫婦スタイルに変装してからネビュラを連れてピリオノートへ転移。

まっすぐお城へ向かって、届いた書簡を見せつつ受け取りに来た旨を伝えれば、そのままいつもの応接室へ御案内。

お茶とお菓子を貰ってのんびり待ち時間の後に、楽しい御褒美タイムがやってくる。

「待たせた」

いつも通り颯爽とやってくる魔術師団長さん。

そして後ろから綺麗な箱を2つ持って入ってくる兵士さん。

兵士さんは箱を両方ともテーブルに置くと、一礼してすぐに退出した。

「では、早速今回の大霊廟について、お前達の働きに対する褒賞を渡そう」

魔術師団長さんはそう言うと、まず箱の片方を前に出す。

隅々まで磨いて艶を出した木製の箱。

表面には色の濃い木で象嵌が施されていて、それは教会の建物の装飾とそっくりだった。

「こちらは聖女アリリアより、お前達への謝礼だ」

パコッと音を立てて開いた箱の中。柔らかそうな白い布の上に、『生誕』の神様の紋章が刻まれた銀色の首飾りが2つ並んでいた。

【生誕の白銀アミュレット】…品質☆

聖女が深く感謝の祈りを込めた、銀の上となる白銀のアミュレット。

装備していると死に侵された空間による衰弱を防止する。

「聖女が現時点で作成出来る最上のアミュレットだ。そんじょそこらの堕ちた空間などものともしないだろう」

「おおー、ありがとうございます」

「……ありがとうございます」

ユニークアイテムじゃないのは、たぶんクエストの依頼主じゃないからかな。

あのイベントでの大成功報酬はあくまで魔女さんから貰うものだったんだと思う。それを聖女さんに渡したのは僕だしね。

一緒に突入した夾竹桃さんとラウラさんの分は、夾竹桃さんが先に受け取りに来ていてラウラさんに届けてくれたらしい。

他の人の分も、それぞれ聖女さんから直接渡したりしてるんだって。

僕らは本国からの褒賞があるから、こっち渡しになったけどね。

「では次が、本国の……陛下から賜った褒賞になる」

そう言って、もうひとつの……装飾控えめで派手すぎないけど『宝箱!』って感じの形の箱が前に出された。

パカッと開くと、箱の中、艶々のビロードのクッションが敷かれた上に、金色の金属で出来た円柱状の物体が収められていた。

表面にはなんだか魔法っぽいというか、ファンタジーな彫り込みがビッシリと入っていて、そんな円柱を縛り付けるみたいに金の輪がいくつかついている。そしてその輪には、色んな色の小さな輝石があちこちに埋め込まれている。

……これは、何?

「「……???」」

僕らが二人揃ってどう反応したらいいのか分からなくなっていると、魔術師団長さんは苦笑いしながら説明してくれた。

「お前達の希望を陛下に伝えた所、陛下は膝を叩いて大笑いしてから、いそいそと陛下の私的な宝物庫からこれを取り出してきた」

「私的な宝物庫……?」

「陛下はお若い頃にお忍びで冒険者をやっていてな。その頃に稀少なアイテムをダンジョン等で手に入れ所有されておられるのだ」

ふむ、つまりこれはその中のひとつ……

「陛下は『老後の暇つぶしにするつもりだった内のひとつを分けてやる』と仰っていたぞ」

「……えっと、これ結局なんなんですか?」

「わからん。封印されているからな」

封印?

「魔力を見てみろ」

魔力……あぁ! そっか、【解析】ね!

「【解析】」

スキルを使ってそれを見ると……うーわ! 色んな色の糸みたいなのがグッチャグチャにこんがらがって絡みついてる!

「え、このグッチャグチャな糸が封印ですか?」

「そうだ。これを全部ほどかなければ中には干渉できん。……だいたいこの手の物は封印が幾重にも重ねてかけられているから、まぁ時間がかかるだろうな」

なるほど……それは確かに老後の暇つぶしにはちょうど良さそう。ピースの数が多くて時間のかかるジグソーパズルみたいな物かな。

「面白そうですね!」

「そうか。ならばそれで不満は無いか? 意味深に封印されているとはいえ、中身が無価値な物である可能性はある。一応それが気に食わなかった場合は、本国より陛下がお忍びでやってきて腕試しをする権利も用意があったが……」

「いえこれがいいです」

「そうか、ならば良かった」

僕がそう言うと、魔術師団長さんは明らかにホッとした顔になった。

「陛下は『開けたら中身も好きにして良いが、何が入っていたかだけ気になるから教えてくれ』と言っていた。なので開いたら知らせてくれ」

「わかりました! ありがとうございます!」

これは間違いなく『責任の伴わない面白い物』ですよ!

さすが王様、良い物持ってますね!