軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ユ:パレード後のあれそれ

「……で、ホラー系ダンジョンを召喚しないといけないクエスト受けたの?」

「そう」

「間違いなく入る事になると思うけど、大丈夫?」

「大丈夫じゃないけど……迷惑かけられてるオバケのこと考えつつ『全部理不尽野郎のせいだ!』ってキレ散らかせばなんとかなる気がする!」

「そっかー」

パレード見物後、俺達は無事に合流して拠点に戻ってきた。

キーナは エフォ(EFO) のハロウィン設定に出てくる魔女に会って、ダンジョン召喚が含まれるクエストを引っ張ってきたらしい。

流れを聞く限り思考時間が長かったから、またAIを困らせたんじゃないだろうか……

もしかしたらゲーマスAIのアドリブが入って、その場で新しいクエストが構築されていたかもしれない。

スレの書き込みによれば、パレードを見に行ったプレイヤーはもれなく白いモヤの中で何かと会うイベントが発生していたようだ。

【死霊魔法】と【召喚魔法】のレベルが高めのプレイヤーは、相棒と同じように魔女と会っていた。

要望は色々で、ドラゴンの霊なんてのも通りはしたらしい。ラリーストライクの景品がドラゴンだったし、一応ドラゴンそのものはアンロック扱いなんだろう。居場所を見つけられていないだけで。

【鏡魔法】を使える霊、なんて要求を出したプレイヤーもいた。

意外だったのは、『森女が夏イベントで足場を作っていた霊』を希望したプレイヤーがそれなりの数いた事だ。

希望は通り、ネモと同じ『名前の無い霊』を手に入れたプレイヤーがその仕様をスレに上げて、なんという名前にするか悩んでいた。

『名無し』の意味を持つ名前をつける事に辿り着いた検証勢が、その場合の仕様も上げている。

『名無し状態は器用貧乏。想像力に自信が無いなら、不足を補う形にした方が無難』という注意も併せて出されていた。そうだな、そこは大事だ。

精霊と契約しているプレイヤーは、死の精霊に会うらしい。

狼精霊だけじゃなく、猫だの爬虫類だの魚類だのと色んな種類の死の精霊の報告が上がっていた。

俺はネビュラと契約しているから、その大元で固定だったんだろう。

複数の精霊と契約しているプレイヤーは大喜びで契約。

対して、単独の精霊と契約しているプレイヤーは、契約を乗り換えたり断ったりした。

死の精霊は出会う機会が少ないからか、乗り換えても特にペナルティは無かったようだ。

逆に今の契約を優先して死の精霊との契約を断ったプレイヤーは、おそらくだが契約中の精霊との関係が向上したんじゃないかと言われている。

このイベントの直後に、同化が可能になったプレイヤーが急増したらしい。

このどちらにも該当しないプレイヤーは、それぞれ関わりのあるオバケと遭遇するようだった。

クエスト関係の手掛かりを教えてくれるオバケだったり、過去に倒したボスが出て来て『生まれ変わってお前と再戦する』と予告されたりするんだとか。

精が宿っている事に気付かず処分してしまった装備の精が出て来て、取り戻す事ができたりもしたらしい。

人によっては、出てきたオバケから無念を晴らす系のクエストを受けたりもしたようだ。

そんな風にスレで情報を集めてみたが……魔女本人からクエストを引っ張り出した話は他に見かけなかった。スレに書き込んでいないだけかもしれないけどな。

どちらにしても、今回のダンジョン召喚も珍しいクエストの部類に入るだろう。

「……で、今回はどう進める?」

相棒と一緒に、魔女から渡されたアイテム……【魔女の契約書】を眺めながら相談する。

前回はサモナーが7人だったが、今回はかなり減って3人。

そして必要なアイテムは、この契約書と、一緒に渡された鍵。そして『清めた鋼鉄の檻』。これまた前回に比べればかなり少ない。

儀式をする場所の指定も『大霊廟を支えられる大地』となっているだけだ。

砂漠の時よりも小規模で簡単に済むと思われる。

だがキーナは、難しそうな顔をして「う~ん……」と天井を見上げていた。

「えーっとね……やるならまたカステラさんに声かけてお願いしたいなーと思うんだけど……」

「うん」

カステラソムリエさん本人も、次があったらまた誘ってくれって言ってくれたしな。

だが、相棒の心配は、その一歩手前だったらしい。

「この霊廟って、本国にあるって話じゃん? ……権利とかどうなるのかなって」

「権利」

「ダンジョン化しててもさ、霊廟だからお墓でしょ? 管理してる御遺族がいるよね? ……いるかな?」

「……さぁ?」

「そういう人達がいたとしたらさ、大事なご先祖様が眠るお墓が、ある日突然異世界に消えちゃうわけでしょ? それはダメだと思うんだよね」

「……確かに?」

まぁ、そうだな?

前回のダンジョンは所有者が全員死んだ後の遺品の継承だったが、今回は生者がいる世界の建築物だ。

所有者がいたとしたら窃盗になる。

明らかに人知を超えた存在っぽい魔女が、その辺りの根回しをしているかと言ったら……していない気がするな?

「だから……協力者に声をかける前に、NPCに相談したい」

「なるほど」

そうなると……まずは城か。

俺達はいつも通りに、森夫婦変装スタイルへと切り替えた。