軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:モグラ討伐を見守る準備

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今日は小さな種族とネズミの皆さんによるモグラ討伐戦の日。

なんだろう、字面だけでかわいいね?

でも小さな種族や畑の管理者にとっては真剣な合戦です。

なんたって、普通サイズのヒトがモグラを殲滅しようとしたら、作物ごと畑全部をふっ飛ばさないといけないんだから。本末転倒。しかもどうせまた湧いてくるっていう無限地獄。

害虫に対して蜘蛛が益虫になるみたいに、環境を維持しながら敵を倒すには適正サイズってものがあるのだ。

「今日は、【死霊魔法】と【鏡魔法】は使わない!」

「はい」

「ネモはいつも通りペンダントを服の中に入れて。隠して連れて行くけど、余程の事が無ければ使わない!」

「うん」

「相棒は?」

「俺もネビュラとベロニカは連れて行かない。まぁ、そもそも俺達は地形要員だから。出番無いかもしれないし」

「だね」

気分はミニミニ大戦の見学だからねぇ。

* * *

さて、今回参加(半分見学)するにあたって、僕は小さな種族の事をちょっと勉強してまいりました。

……というか、見た目以外の種族の違いをちゃんと把握してなかったから、今さらだけど有志wikiのまとめを読んだ。

小人は見ての通り体の小さな種族。

通常サイズのアバターでは入れない所へ行けるのがメリットでもあり、通常サイズのアバターなら問題にならない長距離移動や家屋・地形の移動が困難になるのがデメリットでもある。

ステータス的には、精神が高い。

低くなるステは意外にも無いんだけど……そもそも体の大きさの差によって、筋力と俊敏にはハンデがついているような状態だから、それが代償みたいになっている。

そして【テイム】と【召喚魔法】に大きなボーナス。それから【鍛冶】を除いた製作スキルにもそれぞれボーナスが入る。

なので小人は……『自分よりも巨大なアニマルを心ゆくまで堪能したい勢』や『靴屋さんの童話みたいに小さな体で物を作りたい勢』、そして『バフ担当職が好きな勢』に人気がある。

とはいえ、同じくらいの体格を相手にするなら近接でも問題なく戦えるから、小人を選ぶ人は『小人RPをしたい』っていうのが第一なのかな。

次はフェアリー。

小人と同じくらいの小さな体だけど、背中に妖精らしい虫みたいな羽が生えていて空が飛べる。

鳥系獣人と同じく飛行専用のスタミナみたいなのがあるから、常に飛べるわけじゃないけど、それでも体が小さくて軽いからかスタミナの減りは少なめでそれなりに長時間飛びっぱなしでいられるんだって。

その代償は……とにかく柔らかくて、物理ワンパンで散るのがデフォルトって事。

ステータスは、なんということでしょう、エルフよりも貧弱です。

筋力と強靭が驚異の初期値1!

その代わりMPと魔力の初期値はヒューマンの2倍!

そしてスキルへの影響もダントツで大きくて、武器攻撃系のスキルが軒並み弱体化、魔法系のスキルが軒並み強化されている。

完全に『妖精ちゃんは魔法で生きていってね!』って感じの仕様なのだ。

なのでプレイヤーは『ファンタジー大好き魔法大好き妖精ちゃんRP超楽しい勢』と『厳しい縛りプレイじゃないとゲームを楽しめない極度のデジタルマゾヒスト』の2極というとんでもない生息図が出来上がっている。

このように、小さな2種族は体格がかなり違うから、それにあわせてバランスを取るために調整の幅も大きくなっている。

これに比べればねぇ? エルフの調整なんて可愛いもんよ。

ヒューマンを少し魔法向けにしたのがエルフ、ヒューマンを少し物理と製作向けにしたのがドワーフ、って言われるくらいだし。

なお、人魚と獣人は混ざる生き物に合わせてすごい細かい調整が入るらしいからさらに別枠です。

……さて、以上を踏まえて今回の戦場を見てみましょう。

ズラリと並んだモグラの天敵系従魔達。

木の実や草花のモチーフが多い、ファンタジーならではな装備に身を包んだ小人達とフェアリー達。

虫の殻を繋ぎ合わせて作ったお揃いの鎧を着ているワイズラット達。

「これぞメルヘンファンタジーよ」

「だな」

自分が巨人になったような錯覚を覚えるこの光景。

いやぁ、なかなかできない経験だと思うね。

今回のメインは小さい皆さんだから、僕らは『協力者の大きい人、ユーレイさんとキーナさんです』って紹介だけでサラッと済ませてさっさと準備。

今回のモグラ退治は、1匹も逃さず全滅させる事が望ましいんだって。逃げたら仲間を増やして戻ってくるかもしれないから。

だから逃げられないように、モグラ穴の出入口の周りに壁を作っておくのが僕らの仕事。

防壁の真下にモグラの巣があって、内側と外側にそれぞれ出入口がある。

なので外側へ、相棒が【石魔法】でぐるりと壁を作って広場を作るみたいに囲んだ。

壁の高さは僕らの腰くらい。モグラの大きさを考えれば充分なはず。ダメ押しみたいにネズミ返しもついている。

さらに相棒は、広場の地面も掘れないように魔法で固めてしまった。モグラにとっては完全に袋小路。

そして内側は僕が担当。

畑を縦横無尽に逃げ回られても大変だけど、畑を石でガチガチにするわけにいかないから、【木魔法】で壁と床を固める事にする。

硬い蔦と葉を敷き詰めるみたいにして広場を作ってみたよ。

それぞれ広場の外側に待機して、準備は完了。

「では! 作戦開始ー!!」

小人さんの吹く角笛の音が、農場の防壁付近に響き渡った。