軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:ラリーストライク大会、終了。

相棒の出番も終わってのんびり観戦して、ラリーストライク大会は全部の試合が終了した。

優勝したのは、『角刈り雀』。

なんとデカイ翼っていうハンデ持ちの鳥獣人さんが、100超えの俊敏と超人的な反射神経で見事トップに輝いた。

「空飛べる人がドラゴン持っていったんだねぇ」

「そういえばそうだな」

まぁ飛行可能な種族でもスタミナ的な専用ゲージがあって飛び続けることはできないらしいから、普通に騎乗できる子は欲しいのかな。

思わずでっかいドラゴンの上にちっちゃいスズメがちょこんと乗っているのを想像しちゃう。

……実際は、角刈りヘアーのゴツい男性アバターだから、ものっすごい厳つい主従になるんだろうけど。

その『角刈り雀』と激しい優勝争いをした第2位は『戦隊レッド』。

表彰式に戦隊がいっぱい出てきて胴上げしてた。

仲良しだねぇ。

「戦隊ってみんな名前戦隊なんちゃら〜だけど、リア友なのかな? 割と謎の集団だよね」

「確かに」

3位は『雷切伝道師』。

夏のトライアスロンで水面を爆走してた忍者さん。

ただ、その3位決定戦がね……相手が魅せプレイの末に自爆したような感じの決着だったから『解せぬ』って感じの勝利だったみたい。

「でも猛禽みたいな鳥は、象よりは忍者に似合うと思う」

「それはそう」

そして魅せプレイの末に自爆した4位が『スペードの道化師』

紺色と金色の道化衣装を着て笑顔の仮面を被ってる、わかりやすいピエロ。

「スレでは『象欲しさにわざと負けた』説が濃厚」

「そうなの?」

「明らかにそれまでの実力と見合わない負け方だったから」

あー、確かに。球の扱いはズバ抜けてたもんね。

そんな感じで、上位入賞者に賞品と称号が配布されて、大会は終了。

その日は相棒が疲れてたから、控室から直接風切羽で拠点に転移してログアウト。会場の出口とか、絶対に混むからね。

* * *

そして次の日はラッキーな事に休日。

ログインはまだです。

「……俺はもうダメだ」

「雄夜のメンタルが壊れた」

うん、知ってた。

その時大丈夫でも、後から疲労が尾を引くタイプだよ雄夜は。肉体的疲労でも、精神的疲労でも同じ。

「良い天気だし、お散歩行こう。もう秋だから涼しいよ」

「ん……行くかぁ……」

人の少ない散歩道を通って、歩いた先の店にご飯と飲み物を買いに行こう。

そんな感じにリアルで軽く体を動かして帰宅。

ご飯も食べて、お昼過ぎにログインしました。

「……俺はもうダメだ」

「今度はどしたの?」

「わかってたけど個人メッセージが大量に来てる……」

「あー」

そうだね、相棒カッコよく活躍したもん……

ゲーム内だとプレイヤー名が分かれば個人メッセージは送れるから、そりゃ来るよね。

「『フレンドのみ許可』の設定にしておかなかったんだ?」

「しない……緊急の何かがあったら困るだろうし」

「律儀だなぁ」

「ハァアアアー……仕方ない、返事出すかぁー……」

律儀だなぁ。

「ちなみにどんなの来てるの?」

「えー……大体は『クラン入りませんか?』だな」

「まぁ何のゲームでも上を狙うクラン的なのは強い人を勧誘するよね」

「経験上、こういうのはお断りして時間が経てば来なくなるから大丈夫……えー……『お誘いありがとうございます。隠遁勢なので、クランに所属する事は考えておりません』……」

律儀だなぁ。

僕だったらゲーム内の勧誘なんて『すいません、お断りします』で終わらせちゃうよ。

「……うわ、AIすり抜ける文言で『奥さんに内緒で会いませんか』とかいうのも来てた」

「へぇえ? 誰? 名前教えて? 殺しにいかなきゃ」

「殺意殺意。警告ボタン押したから」

「うん、そっか。それはそれとして、名前教えて?」

「殺意」

大丈夫大丈夫。ちょっと僕の心の怨敵リストに入れておくだけだよ。

なんにもしないよ。

ほんとだよ?

「あと、知ってる人からは『ベスト8おめでとう』って来てた」

「おー、癒し枠」

「……そして行商人パピルスさんから、お祝いと『広告塔的なモデルやりませんか?』の勧誘」

「手広い」

本戦行った選手全員に送ってそう。

そんな感じでせっせとメッセージの仕分け作業をしていた相棒は……

途中、一件のメッセージを見た途端しばらくフリーズし……そしてゆっくりと両手で頭を抱えた。

「……俺はもうダメだ」

「何が来てたの?」

「戦隊のレッドから……PvPの誘いが……」

「わぁ」

「スレで『誘うの忘れてた』って言ってたから、諦めたんだと思ったのに……っ!」

ただ忘れてただけだからメッセージで誘ってきたんだねぇ。

「……受けるの?」

「受けねーよ! PvPガチ勢を相手とか勘弁してくれ!」

「じゃあ面と向かって誘われなくてよかったじゃん。顔とか声とか目の前にしたら相棒断りにくくなっちゃうんだから」

「まぁ……それは、そう」

そうしてポチポチと返事を書き続ける相棒は、深い深い溜息を吐いていつもの結論に着地した。

「人間が多すぎる……」

「全部犬だったらよかったのにねぇ」

「本っ当にそう」

大量のワンコに遊ぼー遊ぼーって誘われるならハッピーなのに。