作品タイトル不明
ユ:順当な狩り
俺はデューと一緒にネビュラに乗ってベロニカに見守られつつ山頂へ。
相棒はジャックとマリーと一緒にフッシー箒に乗って山頂へ。
ここまではもう戦闘すら挟まなくなった。
速さと高度でスルーするから、ワンパンベアも『ベアー?』と気の抜けた鳴き声を上げてぼんやり見送ってくるだけだ。
「やはりマスター達の移動は早いデスナ。時折、山頂まで兄弟でピクニックをしておりますガ、やはり往復は1日がかりになりマス故」
「そりゃ徒歩ならな」
山頂に到着。
相変わらずキラキラ光る謎エフェクトが他の島の山頂へとアーチを描いている不思議な山だ。
そして光のアーチは……この山頂からは7本も出ている。
「どれにしよっか?」
「どれでもいいよ」
行ってみないと違いはわからないしな。
……ただ、どこに行ったかは後から分かるようにしておいた方がよさそうだ。
「【ロッククリエイト】」
俺は『1』と彫られた小さな石の置物を【石魔法】で制作した。
「それ何?」
「使った道が後から分かるように置いておく」
「ああ、なるほど! 目印らしい目印なんて無いもんね、ここ」
そういうこと。
相棒はぐるりと光のアーチを見比べると……インベントリからイイ感じの木の枝を1本取り出した。
「また出た」
「なんだよー、イイ感じの棒は冒険の必需品だよ?」
「ソッカー」
棒をまっすぐになるように立てて……そっと手を離す。
興味津々で見つめるオバケ三兄弟の視線を受けながら、棒はゆっくりと倒れて、ひとつの光のアーチを指した。
「よし、これにしよう」
「マスターは行き先をそうして決めるのですね」
「天に委ねるわけデスナ。中々興味深イ」
「オレ達も今度やってみよ」
三兄弟がいらん事を覚えてしまった……
俺は棒が指したアーチの根元に、作った置物を設置する。
「じゃあ行こっか」
「うん」
光に触れれば、ふわりと体が浮かぶ不思議な移動。
……どうせなら拠点から山頂にもこれで行ければ楽なのにな。
* * *
到着したのはやっぱり山の上。
高い位置から、初めてやって来た島の様子を窺う。
青緑色の葉が生い茂っているから色味は拠点とほぼ変わらないが……拠点周りとは少し植生が違うな。
何より特徴的なのは、石のような骨のような素材で出来ている細いアーチ状の何かだ。
大小様々な大きさのアーチが、特に法則も無さそうな感じでバラバラに乱立している。
「わぁ〜、面白そうな地形」
「……山以外はあんまり起伏は無いな」
とりあえず、帰る方向の光のアーチにまた目印を置いて、【石魔法】で足場を作りながらゆっくりと下へ降りた。
地表に降りて……最初に目に入ったのは、拠点周りで見たような……けれども少し違うようなモンスター。具体的には、角がデカくてゴツい。
夢喰い大角鹿 Lv30
「上位互換な感じ」
「わかりやすい」
とはいえ、鹿は鹿だからな。
鼻息荒く突進してきたのをデューが受け止めて、タコ殴りにすれば呆気なく倒れた。
「戦い方は夢喰い鹿と変わんないね」
「まぁ、今のところは」
上位互換になったら行動パターンが増えるのなんてよくある事だからな。
例えば今みたいに、夢喰い鹿は目が怪しく赤く光るなんて事は無かった。
……なんて思っていたら、精神低下のデバフがかかった。
「……赤く光る目は見ない方がいい。精神低下のデバフかかった」
「ありゃ」
鹿を倒したらデバフは消えた。
時間で継続するタイプじゃないらしい。
「ドロップは……これかな?」
『夢喰い鹿の皮』、これは夢喰い鹿からの据え置きか。
そしてもうひとつ。
【夢喰いの瞳】…品質★★★★
夢を喰らう獣の眼球。
その視線は精神の防御を揺らがせる。
「目玉だ」
「目玉だなぁ」
グロくなりすぎないように配慮された雰囲気のあるリアルな目玉が、ゴロリと転がっていた。
「……この鹿ぶちのめしまくってたら、目玉コレクターみたいになっちゃうのでは?」
「えぇ……」
「……瓶にでも詰めてみる?」
「いや、もっとダメだろ」
軽口を叩き合いながら鹿を倒していくと、もう一体、見たことのあるような色違いのモンスターが見つかった。
常闇キツネ Lv35
「うん、上位互換その2」
「RPGあるあるだな」
キツネの方は常闇の名前に相応しく、【闇魔法】を撃ってくる。
……とはいえ、キツネもキツネだ。
急所を知っていれば特に脅威でもない。
そしてドロップは……
【キツネの葡萄】…品質★
何故かキツネが持っている葡萄。
とても酸っぱい。
「……やっぱり葡萄は落とすんだね」
「キツネ系は全部この葡萄落とすらしいからな」
二匹目は普通に上位互換の毛皮をドロップした。
俺の装備に使えるから、キツネは出来るだけ狩って行きたいな。