軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:ダンジョンまでの小旅行

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今日はお休み!

相棒とのダンジョンデートだよ、やったね!

「ネビュラは今日はどうするの?」

テイマー系のスキル持ちだろうなってプレイヤーも、まだそんなに大きなモンスターを連れているのは見かけない。

だからネビュラがデフォルトサイズで戦うと、すごく目立つと思う。

「連れて行くけど、戦うのはダンジョンからかな。道中は人が少なそうなら考える」

そう言いながら相棒は、また小さく不透過になったネビュラを頭に乗せた。

そうだね、それが無難かな。

納得して頷いたら、今度は相棒が僕の装備を見て口を開いた。

「相棒はなんで箒持ってるの?」

「籠のついてる杖は、パレードで見せちゃってるから」

「ああ……」

ジャックを入れた杖はダンジョンに入るまでインベントリだよ。

道中はこの箒でなんとかする。

他にもインベントリには空の魂籠をいくつか作って入れてある。もしも道中仲良くなれそうなオバケがいたら連れて帰りたいからね。

ウサギ襟巻もインベントリに入れて、食料なんかの準備をして、フッシーに留守番を頼んで、いざ出発!

拠点の天気は生憎の雨だったけど、ご飯を食べて街へ転移したらそっちは晴れてたからよかった。

「どうやって行くの?」

「まずは最寄りの開拓地まで徒歩」

自分の開拓地じゃない所のオーブへ転移するには、まずそのオーブに辿り着かないといけない。

例外は拠点防衛の援軍として拠点主と一緒に転移する場合。そうすれば、拠点主の許可さえ出ていればその場で登録が出来る。

だから戦闘メインの人は、初見の拠点防衛には積極的に参加するんだって。移動のショートカット先が増えるから。

僕らは援軍なんてしたことないからね。

徒歩です。

最初の街ピリオノートの東西南北にひとつずつある門の内、西側の門から出発。

「よく考えたら僕ら、そもそも街から出るの初めてだね」

「そだね」

街の外には道らしい道なんて無い。

森の伐採跡と行き来したんだろうなって感じに荷車っぽい轍の跡だけ草が禿げてるくらい。

そこそこいるプレイヤーっぽい人達も、門を出たらバラバラに散って行く。

「そもそもまだ行き来するような街が無いから」

「それもそっか」

そうだった。周りの街もプレイヤーが作ってるんだもんね。

つまり、この先もずーっと道なんて無いって事で……

「……僕ら、ダンジョンたどり着ける?」

「たぶん」

辿り着くまでの道程はそれなりに長い。

休日に行こうっていうのはそれが理由だった。

各プレイヤーのインベントリにデフォルトで入ってるコンパスで方角を確認しながら、西に向かって歩き始める。

そしてすぐに違和感に気付いた。

「……あれ? なんか、西に向かって一直線に森の木が間引かれてる?」

「【伐採】しながら歩いた人がいるらしい」

「わぁお」

全部じゃないけど、森が切れて明るい空が見える直線がある。

僕らは二人でそこを歩いて行った。

「すごいね。道の前段階って感じ」

「確かに」

森を進むと、ウサギのような耳の生えた毛玉みたいなモンスターがうろうろしていた。

ウサボール Lv1

「ウサボール! そのまんま!」

「アレがピリオ周辺の最弱モンスターかな」

ウサボールは何もしなければ無害なウサボールらしい。

ぽよんぽよんと跳ねているのを横目に森を進む。

「何ドロップするんだろうね?」

「ウサ肉って書いてあった気がしたけど」

「モンスターからお肉が……っ!?」

「うん、普通の事だからね?」

いけませんねぇ、すっかり自拠点の森に毒されちゃって。

そういえば戦闘メインを選んだプレイヤーは、この辺のモンスターのお肉で食費節約してるって話だった。

「……美味しいのかな? 今度狩って食べてみようよ」

「いいよ」

すごいまんまるでボールみたいなお肉とか出るのかな。

想像すると楽しい。ぜひまんまるがいい。

「……肉団子みたいな肉は出ないと思うよ?」

「エッ!? ……なんでわかったの?」

「わかるよ」

さ、さすが相棒だぜ……

* * *

道中襲ってきたイノシシを返り討ちにしたりしつつ、僕らは長い長い森を抜けた。

いやぁ結構長かったよね。途中で焚き火してパンとチーズと猪肉炙って食べたの美味しかった。

炊煙を目印に、なんとか村にたどり着く。

「村だ!」

「村だねぇ」

たどり着いた村は、丸太を突き立てた防壁に囲まれている、絵に描いたような『村』だった。

木造の家が十軒くらいある。

村人っぽい人も何人か歩いてる。

「え、すごい。めっちゃ村だ」

「家が多いと村感出るなぁ」

入口の門は開け放たれているから、人が普通に出入りしていた。

勝手に入っていいのかな……緊張しながら門に行くけど、特に立ち入り禁止のシステムメッセージが出ることもなく、普通に村に入る。

「出入り自由の拠点ってこんな感じなんだね」

「だね。本当に知らないプレイヤーが勝手に出入りするんだな」

「門の上に書いてあるのって村の名前かな?」

「確かそう」

えーっと……『モロキュウ』

モロキュウ村かぁ。

村は小さな畑がそこかしこにあって、土を固めただけだけど小道も整備されていた。

畑仕事をしている人もいるし、井戸の近くで立ち話をしている人もいる。

「普通にRPGに出てくる僻地の村っぽい」

「個室は無いけど、雑魚寝の素泊りなら出来る宿っぽいのもあるらしいよ」

「ライダーズハウスかな?」

家の数に対して人の数が多いから、僕らみたいなダンジョン目当てのプレイヤーが泊まってたりするのかもしれない。

とりあえず、オーブに触って登録を済ませた。

これでいつでもオーブ経由でここに来られる。

「ここで仮眠取るんだよね?」

「そう。宿どこかな……」

二人でキョロキョロしていると、少し離れた所から穏やかな顔つきの男性が近づいてきた。

「もし、どうかされましたか?」

「あ、えっと、宿はどこなのかなと」

「宿でしたらあちらの二階建てです。ただ、雑魚寝にはなりますが」

「大丈夫です、知ってます。ありがとうございます」

「いえ、ごゆっくりどうぞ」

にこにこと笑顔を絶やさないその人は、ゆっくりと一礼して去っていった。

「……お坊さんみたいな物腰の人だったね」

「腰に吊ってた手甲、すごいゴツイ爪ついてたけどね」

「え、マジ?」

「マジ」

モンク系の人なのかな。

教えてもらった宿に行って、素泊まり雑魚寝料金一人20リリーを支払う。宿にも泊まった事無いから、高いか安いかはわからないね。まぁテントも無いから選択肢は無いんだけど。

食事については、村で軽食を買うこともできるよって教えてもらった。僕らは食料持ってきてはいるけど。

雑魚寝部屋に入って、毛布を被って横になる。

このゲーム、睡眠量はマスクデータで見えないんだけど。代わりなのか目覚まし機能はついてるんだ。

「ゲーム内三時間だっけ」

「そう」

「ってことはリアル一時間。ログアウトはしないんだよね」

「しない。休憩兼ねよう」

「うん」

ゲームの中で寝ると、リアルも睡眠状態になって脳を休めてくれる。

最近のフルダイブVRMMOで睡眠必須の物が多いのは適度な休憩のためだね。ただでさえゲーム内時間三倍は脳が疲れるから。

僕らが寝ている間は、ネビュラが見張りをしてくれることになった。

プレイヤー相手に泥棒とかはできないゲームだけど、一応ね。

「ゆるりと休むがよい」

「頼んだ」

「よろしくー」

目覚ましセットして、スコンと寝落ち。

はい、おはよう。

ガチの寝起きだからちょっとぼんやりするねぇ……ふかふかお布団の魔力が無いから『あと五分……』とはならないけど。

「……おはよ」

「おはよ」

「よく眠れたようだな」

「うんー」

ふたりでちょっとの間ぼけーっとする。

うっかりいつもの癖で抱き着きそうになるのは踏みとどまった。

ここは自宅じゃないからね。いくらバカップルとはいえ、えっと……PTA? PTO? 何だか忘れたけど、その辺はわきまえますよ。

頭がはっきりしてきたら、インベントリから出した布を魔法で濡らして顔を拭いて、お互いの身だしなみをチェックして宿を後にした。

「ご飯どーするー?」

「あー、キッチン無いしめんどくさいな……」

結局軽食を買った。

お手軽野菜サンドイッチとソーセージの串焼き。

「マヨ入ってて美味しい」

「そのうちハンバーガーとか普通に出てきそうだな」

ちょっとした旅行気分だね。

食べたらいよいよダンジョンへGOだ!