軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:気ままに占い師

うっかり通りすがりのメイドさんに、僕らが森夫婦だってお察しされてしまった……っぽい。

まぁ、大丈夫だと思うけどね。

メイドさん、特に言いふらしたりしなさそうな感じの人だったし。

……とはいっても相棒は気にしちゃうだろうから、何か気分転換でもしに行こう。

なんて考えながら夕方のログイン。

インして早々、同盟の夾竹桃さんからメッセージが。

『そちらさん夫婦の変装衣装ってさー、同盟メンバーで似たようなの作ってもいいー?』

僕らが食事とかで落ちてる間に同盟の何人かで狩りに行こうとして、ショッ◯ーになるのがすごく微妙だったんだって。

だったらもう、こっちの変装スタイルに合わせたいってなったみたい。

「いいよね?」

「相棒がいいならいいよ」

じゃあ『どうぞどうぞ。ピリオの露店によくいるシイタケさんに作ってもらいました』ってメッセージを返して……ついでに相棒の方からシイタケさんに連絡を入れてもらった。

「……なんか、夾竹桃さんからめっちゃ草まみれの返事来た」

「なんて?」

「シイタケさんが部屋間借りしてた相手だったんだって」

「マジか」

世間って狭いねぇ。

* * *

「というわけで、気分転換メニューを考えました!」

「はい」

「その1、特に目的地もなく海底をさまようエンドレス水族館コース!」

「海底散歩かぁ」

「その2、特に目的地もなくネモの船でさまようエンドレス大航海コース!」

「それは遭難だな?」

「その3、レベル差にものを言わせて虫を焼き尽くしにいくエンドレス虫退治コース!」

「なんで全部エンドレスなの」

「その4、なんにもしない、拠点でおやすみコース!」

「あ、流れ変わった」

「どれがいい?」

「4かな」

「了解、ゆっくりおやすんでね!」

相棒をベッドへ放り込んで、もう思い切ってシステム使って睡眠休憩取らせた。

夜中に寝たり起きたりを繰り返してたみたいだからね、寝てスッキリしたらメンタル少しは改善するでしょう。

……さて、暇になったぞ?

まぁこんな時はね、占いと林檎のお店でもしに行こうか。

変装して、フッシーを杖に入れて、首飾りにネモ。占い師セットはインベントリに入ってるから大丈夫。

どこでやろうかな?

せっかく夏なんだし海が見たい。あと相棒がいないから、退屈したくないしお客さんが普通に来る所がいいな。

でも港の出張露店広場は行列が出来たら邪魔になっちゃうから……港の過疎ってる所を狙いに行こうか。

転移オーブで港へ飛んで……あ、港の陸の防壁も建築始まってる。

建築現場も出張露店広場もスルーして、海水浴場みたいになってる砂浜の方へ。

わぁ、海の家もある。

露店広場から続く道が海の家の裏を通ってるから……道の森側あたりが邪魔にならなくてちょうどいいかな?

日差しが暑いから、木陰に占いと林檎のお店を置いた。

これでよし。

「あああ〜〜! う、占いイイですかぁ〜〜!?」

早速お客さんが来たよ。

そんな子犬みたいな顔しなくても占うから安心して。

* * *

さて、海の見える道沿いで占い屋さんをしているけれど、幸いにも海水浴客が津波のように押し寄せて来たりはしていない。

……というか、例の林檎好きなガチャ中毒アカデミック集団が、何故か列の整理を始めてくれた。

……なんで?

ロープの低い柵をわざわざ作って列の方向を決めて、『最後尾』って書かれたプラカードを持って立ってる。

……なんで??

あ、プラカードが並んでる人の末尾に受け継がれた。

それ聞いたことある。ウス=イホン即売会とかのやつだ。

そして僕から少し距離をとった隣にもうひとつ机が置かれて、アカデミック集団のひとりがそこに座って紙とペンを構えている。

隣の机には『リンゴ内容、占い内容、情報提供募集』の立て看板。

情報提供には謝礼が出るらしくて、それがそれぞれリンゴの値段と占いの値段だった。

……すごい! 情報提供すればお客さんは無料でリンゴガチャと占いが出来ることになる!?

ヤバい! ガチャ中毒者ヤバい!

そこまでしてガチャ内容が知りたいのか!?

僕は恐ろしいガチャジャンキーの末路を目にしているのかもしれない!!

「占いひとつお願いしまーす」

「……【霊蝶さん、束ねられた知恵、助言をくださいな】」

内心で戦慄しつつも占いは止めない。

うう~ん、僕もなかなか板についてきたなぁ。

あ、列の途中にアイスの移動販売みたいな人も出てきた。商魂逞しい。

……そんな感じで、僕はゲーム内の午前中いっぱい占い屋さんを堪能した。

お昼時になるとね、人もちょっと途切れたから。『閉店中』って看板を立ててご飯にする。

こんな事もあろうかと、ピリオのパン屋さんのジャムパンがインベントリに入っているのだ。うめぇ。

そしてのんびりとパンを完食した所で……テーブルの前に人が一人、立った。